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お兄ちゃんの誕生日

 明日はお兄ちゃんの誕生日。

 大学の受験で忙しいみたいだし、誕生日ぐらい良い思いをさせてあげたいなぁ。

 でも、何が喜ぶんだろう。

 私には男の人の嬉しいものなんて分からないしなぁ。

 大人の女の人なら分かるかな。

 そう思って隣に住んでいるカズハ姉ちゃんに相談した。


「……って事なんだけど、カズねえどう思う?」

「さぁ、私に聞かれても……いや、待てよ。今お兄ちゃん部屋にいる?」

「ううん」

「じゃあさ、お兄ちゃんの部屋に入って調べたらいいんじゃない?」

「あぁ! カズねえあったまいい!」

「ベッドの下とか、机の一番下の引き出しとかを調べると良いよ……クヒヒ」

「うん! ありがとう!」





 カズねえの言った通りに調べてみた。

 すると、ベッドの下からゲーム? が出て来た。

 大きな箱のゲームだ。

 裸のお姉さんの絵が描いてある。

 お兄ちゃん、こういうの好きなんだ。

 おっぱい大きいなぁ。


 そうだ、お兄ちゃんこういうゲームが好きなら、私が買ってあげよう!

 えーっといくらぐらいなんだろう。

 あ、後ろに値段が書いてある。どれどれ……?

 うっ、9000円もする。

 ぐぬぬ……私のお小遣い何カ月分なんだろう。

 どうしよう、これは買えないよ……。





「ということで、カズねえお願い! お金ちょうだい!」

「えーやだよ。何であたしが」

「私のお小遣いじゃどうしようもないもん。カズねえ社会人だからお金あるでしょ?」

「何であいつのエロゲーの為にお金を出さなきゃいけないのよ」

「エロ? でも、じゃあどうすればいいの?」

「簡単な方法があるじゃない」

「……カズねえ、笑顔が怖いよ」

「そのゲームは、あいつが好きな事そのものじゃない」

「そうなの?」

「そうなの。だから、あいつにそのゲームみたいな体験させてあげればいいのよ」

「おぉ! それならお金かからない! ありがとうカズねえ!」

「ふふ、面白い事になったわね」





 ▲ ▼ ▲ ▼ ▲ ▼





 予備校での退屈な時間が終わった。

 サインコサインって何だよ、ブイサインしか分からないぞ。

 あーもー知恵熱が出そうだ。


 スマホを取り出してメールとラインをチェックする。

 もうこんな時間か。あ、そういや今日は俺の誕生日だ。

 何とも楽しい誕生日だったな。全く。


「ただいまー」

「おかえりなさい! お兄ちゃん!」


 出迎えてくれたのは10歳の妹だ。

 妹は妹なんだが、少々訳ありで初めて会ったのはこいつが8歳の頃だ。

 いわゆる異母兄妹という奴だな。

 そういう事情があってからか、こいつは非常に俺に懐いてくれる。

 ちょっとアホな所があるのはご愛嬌だろう。


「お兄ちゃんお兄ちゃん」

「どうした」

「お誕生日おめでとう!」

「おぉ、ありがとう」

「それでね、それでね。後で私の部屋に来て欲しいの」


 モジモジする妹。

 可愛いな。髪留めについてるサクランボの飾りがフリフリと揺れる。

 ポンポンと頭を撫でて、一度部屋に戻る。





「……なっ」


 エロゲーが何故かベッドの上に置かれていた。

 それもいくつも散らばるように。

 何故こんなところに。両親はまだ帰ってないはず……くそ、俺の出かけた後で何かあったのだろうか。

 後で説教されるのかなぁ。やだなぁ。

 ……いや、もしかして妹がやったのか?

 どちらにしても、隠し場所変えよう……うん。


「おにーちゃーん!」


 妹の部屋から呼び声が聞こえる。

 もしあいつが犯人だったら、説教してやらんといけないな。

 勝手に他人の部屋に入っちゃいけないよって。

 ……あと、適当に口止めをしないと。

 隣のカズねえに知られたら何を言われるか……。






「お誕生日、おめでとう! お兄ちゃん!」

「あぁ、ありがとう。……何でお前制服来てるんだ?」

「えへへー」


 モジモジしている妹。

 可愛いけど先ほどのエロゲーが気になって仕方ない。

 プレゼントでもくれるのだろうか。

 説教はそれを受け取った後でいいか。


「お兄ちゃん、あのさ」

「何だ?」

「お兄ちゃんって、ああいうゲーム好きなの?」

「ぐっ……」


 死にたくなった。

 エロゲーを発掘した犯人はお前か。妹よ。

 あぁ、終わった。俺の人生終わった。

 いっそ死にたい。誰か殺してくれ。


「あのね、あのね。私、思ったの。お兄ちゃん誕生日じゃない?」

「え? あぁ」


 あれ?

 これってもしかして、あのゲームと同じ体験をさせてあげるって流れじゃないか?

 エロゲーみたいな体験が出来るのか!?


「でね、あのゲームみたいな事をお兄ちゃんが出来たら、お兄ちゃん喜ぶかなって」


 キター!

 これは来ましたわ!

 本番は流石に犯罪臭がするけど、色々ペタペタ触らせてくれるのか?

 あぁ、もしかして制服なのもそれが理由なのか!?

 やべぇ、ドキドキが止まらねぇ。


 妹は自分の後ろの机から、何かを取り出した。

 そこには1つのタッパーだった。

 何だ? これ。


「あのね、あのね。私、一生懸命に集めたんだよ」

「集めた? 集めたって何を?」

「お兄ちゃんが好きなものを」


 俺の好きなものを集めた?

 その中身がタッパー?


 いや、まてよ。

 確か俺の部屋のベッドの上にあったエロゲー、何かが無かったような。

 それは確か……触手ものの……。


「お兄ちゃん、そういうのが好きなんだね」

「……うわあああぁぁぁ……」


 タッパーの中には、大量のミミズが入っていた。

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― 新着の感想 ―
[良い点] おうふ、そういうオチですか。さすがに主人公が思っていたことを実行したらノクタ行きですからねι
[一言] かわいらしい。 犯罪周臭のしない安心・安全感がいい。 だからこの作品に感想書いてもロリコンじゃない。
[良い点] 笑える話だった
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