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第八話 神坂ゆかりと言います。水も滴る良い女が主食です†


 その後は順調に何事も無く秘め事も無く絵里との楽しい下校タイムを満喫する私。


「ふふ……。もう……ゆかりったらそんな事ばっかり言って……」


 ああ、可愛い。


 おお、愛おしい。


 喰いたい。


・・・


 どうして絵里ってこんなにも屈託の無い笑みで笑う事が出来るのだろう。


 その笑顔は私の心を掴んで握って結んで開いて股開いたら華が咲くくらい可愛い。


 この雲ひとつ無い青空に昇る輝く太陽拳でさえ今のオラを倒す事はできねえべ。


ゴロゴロゴロ。


「…………ん?」


ポツリポツリ。


「…………あ」


ザアアーーーーーー。




 雨かよ。





◆◇◆◇





 近くのシャッターの閉まっている商店街の店の前で雨宿りさせてもらう私達。


「うわあ……もう、ビショビショになっちゃったねゆかり……」


 急な雷と豪雨で頭の先から尻尾の先までびっちょりの私達。


 そして私は目を疑った。


 絵里が。


 絵里の。


 制服が透けて下着がばっちりくっきり浮かび上がってしまっているのを!


 私は咄嗟に右手が絵里のスケさんに向かっていくのを反対側の左手で何とか制する事に成功。


「??……何、してるの?ゆかり??」


 邪神の宿った右手と聖女の宿る左手の壮絶な戦いの最中、


 目の前にはあどけない笑顔でスケさんで首を傾げながらこちらを向く女神がいた。


 流石の左手の聖女も本物の女神には敵わないと悟ったのか。


 右手の邪神にその先の行為を容認するような態度を取った。


 そして右手に宿る邪神がにやりと笑い、目前の女神の貞操を奪おうとしたその時。


 空気を読まない選択肢が登場した。




 静止する世界。


 雨粒さえも中空で静止する。



「てか空気読んで!……くっそ……ここまで来てこんな姿を拝まされて我慢できる訳……!」


 私は手を伸ばし、あと数センチでスケさんに手が届く程の距離で『スコンッ』と後頭部に衝撃を喰らう。


「…………。………分ってるわよ…………」


 頭を抑えながら誰が真犯人か推理しなくても理解した私は選択肢の前に仁王立ちする。


「ええと……なになに………」




   →《選択肢を選んでください》

   絵里とちょっと良い雰囲気になる

   店のシャッターが開き※※※※※

   ※※※※※※※※※※※※※※※




 私は選択肢を選ぶまでもなくソッコで1番を選択し、光の速さで『決定』のボタンを押した。




 静寂から一転、土砂降りの音が辺りの一切の音を掻き消す。


 私は興奮最高潮で展開を待つ。


「……ゆか、り……」


 何だか艶っぽい声を出し私の名前を呼ぶ絵里。


 なんだろう。どんな展開が待っているのだろう。


 『ちょっと良い雰囲気』とはどのくらいの規制を超えても大丈夫なのだろうか。


 私は改めて絵里の全貌を垣間見る。


 ・・・。


 透けてる。


 頑張れ、スケさん。


「……えっと、ね……?さっき……私を突き飛ばしたじゃない?」


 なんだか俯き加減で少し顔を赤らめながら話し出す絵里。


 うわ、この光景すげぇな……。


 土砂降りの商店街での雨宿り。

 周りには人っ子一人江戸っ子一人居ない。

 そして全身ずぶ濡れのスケさん美女が。

 ちょっと顔を赤らめながらこちらの様子を伺っている。


 ・・・。


 やヴぁい。


 何か生えてきそうな予感。



「……あの後……凄い勢いでトラックが私達を通り過ぎて行ったわよね……?」


 今は私が凄い勢いで襲い掛かりそうだけどね☆


「あれって……ゆかりが、私を突き飛ばさなかったら……」


 今すぐ突き飛ばして押し倒して『ミッドナイトフィーバー!!』って叫びたいんだけどね☆


「今頃私……グチャグチャになってたのかも……知れないんだよね……?」


 私は既にグチャグチャだけどね!ミッドナイトフィーバーが☆



 そんな私の脳内フィーバーを知ってか知らずか、


 絵里は私の長い髪に手を伸ばし、こう言った。


「本当に、有難う、ゆかり。ゆかりはいつも私が見てない所でも……いつも私を助けようとしてくれているんだよね?」


 絵里の手が私の濡れた髪を撫でながら、そのまま頬まで撫でてくれる。


「私はいつもゆかりに守られてばかりだなぁ……。でも、私だってゆかりを守れる位にならなきゃ駄目、だよね……」


 ……あれ?


「ゆかりは凄いよ、本当に凄い。私はゆかりの事が自慢なんだ。何でも出来るし、何でも持ってる。……でも一番大切な『目に見えない物』だってちゃんと持っているんだもの。」


 ……なんか……目に雨粒が入ってきたな。


「これからもずっとゆかりと一緒に居たい。……だってそうでしょう?私達、親友だもんね?」


 絵里は優しく私を抱き締めてくれた。


 何故か私はこの一世一代の大チャンスなのに、全く身動きが出来ない所か―――。



 ―――絵里の胸の中で、ただただひたすらに、やけに目に入る雨粒と戦っていた。


















  

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