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第四話 神坂ゆかりと言います。下ネタ話が大好きです†


「か、、、、かみかみ、、、かみみみ、、、、、神坂ああああああ!!!!!!」


 かみかみウルセェなぁ……松永のやつ……。


 取り合えず松永の目が飛び出しそうなくらいに私の身体をガン見して来るので一歩後退。


「ゆかり……!ど、どうして急に裸に……!?」


 あ、いや、なんか鎌でズバッと……。


 取り合えずそれなりに恥ずかしいので教壇の影に隠れる私。


「も、もう……先生は……収まり切らないぞコノヤロウッ!」


 松永が教壇を飛び越えて私に襲い掛かって来る。


 そうか。私の貞操もここまでか。


 そう諦めがついた私(ごめん、嘘。)に、再び選択肢が現れる。


「………おい」


 停止する世界。


 松永はカエルみたいな格好で空中で停止している。


 ……こんな事も出来んのかよ……このゲームの世界は……。


 取り合えずこの停止時間を有効に使って、ロッカーにジャージを取りに行く私。

 下着を穿かずにそのままジャージって何かカサカサして嫌だけど仕方無い。


 着替え終わった私は選択肢の前に移動する。



  →《選択肢を選んでください》

   絵里をお姫様抱っこして逃亡する

   そのまま窓の外に松永が飛び降りる

   松永が二つに割れる



「・・・」


 松永が……二つに割れる……?


 ………え?



 私は思案する。


 二つに……割れる?

 何が?どうやって?そしてどうして??

 うわ、超選びてぇ……。選びてぇけど何か怖い……。


 例えばだ。

 そのまま縦に割れたとしたらスプラッターストーリー(なんか良くわかんないけど)に進むのだろうか?

 絵里も私も血だらけになって?それは嫌だな。うん。嫌だ。


 じゃあ……腹筋が割れるとか?ただのギャグ的な?


 ……でも二つじゃ少ねぇよな腹筋……。


 あとは何だ……?二つに割れる物……。うーん。


 ………分裂?


 細胞分裂?松永が二人になる……?いらねぇよ二人も。


 うーん。うーーーん。うーーーーーーーん……。




 飽きた。



 私は適当に2番を選択しようとしたが、わざわざ自らバッドエンドを迎えるのは嫌というか面倒くさいというか、松永にはこのまま飛び降りて欲しい気持ちを抑えて1番を選択する。


 動き出す世界。


 私の身体は勝手に絵里をお姫様抱っこして教室から飛び出している。


 何か後ろの方で大きな音がしたが予想はつくので放っておく。



「???あれ……?ゆかり……?いつの間にジャージを……?……どうして私はお姫様抱っこを……?」


 何が起きているのか全く把握が出来ていない様子の絵里。

 そのキョロキョロしている眼球にかぶりつきたい。可愛い。でも喰っちゃ駄目だ。人食反対。


 私の身体は勝手に廊下を走り抜け下駄箱前でようやく止まる。


「……ふぅ。ここまで来れば大丈夫さ、姫」


 なんか良く分らない台詞が私の口から勝手に発せられ、抱えていた絵里を下ろす。


「……う、うん……。あり、がとう……?」


 戸惑いながらも礼を述べる絵里。

 お嫁さんになって下さい。


「……じゃあ……取り合えず帰ろっか?」


 どうせ先に進めばまた選択肢を選ぶ羽目になるのだ。


 何処で出現するかは分らないが校舎にいると松永フラグばっかで何一つ私的にはおいしく無い。


 ここはさっさと下校して絵里と二人っきりになるに限る。


「う、うん……。そだね……」


 『そだね』の言い方で萌え死しそうな私の心を知ってか知らずか。


 私は絵里と共に校舎を後にする。





◆◇◆◇





「……でさあ、幸人ゆきとの奴がさあ、部屋に入った途端に焦った顔しながら私の方を振り向いてさあ……。『お、お姉ちゃん!さっき友達と出掛けたんじゃ……!』とか言ってなんか慌ててズボンをさあ……」


 弟の面白話を絵里に聞かせている最中、後ろからトラックのクラクションが鳴った。


「ふふ……。ゆかりの弟君っておっちょこちょい……」


 絵里が不自然な形で停止する。


 世界が、また止まった。



「……なんだよー。せっかく絵里と楽しく下ネタ話で盛り上がってたのにぃ……」


 ぶー垂れた私は選択肢に視線を移す。




  →《選択肢を選んでください》

   絵里がトラックに轢かれる

   絵里がトラックに撥ねられる

   絵里がトラックに衝突する




「・・・」


 ……なんだよこれ……。


 ……轢かれる?撥ねられる?衝突する?


 選択権無いじゃんこれ……。


 結局全部絵里が轢かれるんじゃんかよ……。


 私は頭に血が昇った。


「おい!『使者』とかいう死神!」


 上空に向かい叫ぶ私。


 聞こえてるだろ絶対。



 そして何も無い空間からあいつが現れる。


『……なんだ?神坂ゆかり』


 不機嫌そうな顔の『使者』さん。


「なんだじゃねぇだろ。何だよ、これ」


 私は選択肢を指差す。


『……見ての通りだと思うが?』


 何か鼻で笑われた。ムカつくこいつ。


「見ての通りって……。じゃあ何?すでにこのルートは絵里が死亡でバッドエンドって事?」


 嫌だよそんなの。

 どうして私が愛して止まない篠塚絵里のひき肉ミンチシーンなんて眼前で目撃しなくちゃいけないのよ……。


 頭おかしいだろこのゲーム……。


『……何か勘違いをしていないか?神坂ゆかり』


「……何よ……勘違いって……」


『……さっきも言った筈だと思うが……。お前の使命はこの『ゲーム』のルールにのっとり、これを『クリア』する事にある』


 うん。さっき聞いたけど。


『……ならば神坂ゆかり。お前がやるべき事は一つだけだろう。……そんな事でいちいち僕を呼ぶな』


「お、ちょっ……!………行っちまいやがったあいつ……」


 ……私の、やるべき事?


 選択肢を選べって?この中から?


「……まじかよ……嫌だよ……選べるわけ無いじゃんよ……」


 私は悩む。


 轢かれる。

 撥ねられる。

 衝突する。


 ……正解あんのこれ?



 私は選択出来ずにカーソルをクルクル回す。



「……あれ?」


 私は何かに気付く。


 もう一度試してみる。


「……うん?」


 気のせいでは無かった。


 私はそこにカーソルを止めたまま考える。




   《選択肢を選んでください》

   絵里がトラックに轢かれる

   絵里がトラックに撥ねられる

   絵里がトラックに衝突する

  →



「・・・」


 ………うん。


 選択肢は3つ。


 でも・・・。




「……『四つ目』にカーソルが行っているけど……なんかあんのこれ……?」


















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