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第二話 神坂ゆかりと言います。弟を弄るのが大好きです†


 次の日の放課後。


 私はまた人気の無い図書室の一室に向かう。

 今日も誰もいない。

 私は鞄から携帯ゲーム機を取り出しスイッチを入れる。


 イヤホンを本体に刺し、耳に当てる。

 画面にタイトルロゴが表示される。



   ◇秘密の学園『花園高校』へようこそ♪ ~貴方に彼女はゾッコンラヴ~◇

   

   →

    NEW GAME

    LOAD GAME

    OPTION

    秘密の画像室




 私はここでRボタンを押しながら『↑ ↑ ↓ ↓ ← → ← → × 〇』とボタンを順に押す。


「・・・」


 何も起こらなかった。


「(くっ……!俊介の奴……!私を嵌めたわね……!後でぜってー殺すっ!)」


 弟の俊介が言うには、タイトル画面でこの裏技を使えば、篠塚絵里のお宝水着ショット画像が見られると言っていたがどうやら釣りのようだ。

 帰ったら裸にひん剥いて、一生消えないトラウマを植え付けてやろう。

 女の期待を裏切るとどうなるか、その身に刻み込んでやる……クックック……。


 私は気を取り直し、『LOAD GAME』を選択し『決定』を押す。




    LOAD画面


   →

    前回の選択肢からLOAD

    直前の分岐ルートが発生した選択肢からLOAD

    最初の分岐ルートの選択肢からLOAD

    戻る




 私は記憶を遡る。


 確か昨日はくしゃみで選択肢を間違えたからBAD ENDに向かっちゃったわよね…。

 ならもう一度あの選択肢の所に戻ってストーリーを進めるか。

 それとも直前の分岐ルートまで戻って、そこから再開するか…。


 この美少女ゲーム、略して『花園』をやり始めてから早一週間。

 今更最初の分岐ルートから再開する気は無い。

 この一週間で迎えたエンディングは昨日も含めて10個。

 その全てが今の所『BAD END』だ。

 一体この『花園』にはいくつのBAD ENDが用意されているのだろうか。


 ……いやいや、ゆかり。そうじゃないだろう。


 私はかぶりを振る。

 もう何度もこの『花園』をプレイして来たからこそ、慣れてしまっている感覚。

 そもそもこのゲームは我が弟も持っているくらい、世間一般的に売り出されている『美少女ゲーム』なのだ。

 では何故?


 何故、『私だけは、ゲームをプレイすると、このゲームの世界に、その身を飲み込まれてしまうのか』。






◆◇◆◇






 誰からも答えが返って来ません。


 私は気にせず『前回の選択肢からLOAD』を選択し、『決定』ボタンを押した。


 と同時に吸い込まれるような感覚。

 ていうか本当に携帯ゲームの画面が掃除機みたいに私を吸い込んで行くし。

 思いっきり顔が引き伸ばされて『かわはぎ』みたいな顔になっていく私。

 あ、かわはぎってお刺身にすると美味しいんだよ?

 身が小さいから捌くのが結構難しいんだけどね?

 なんて関係の無い事を付け加えながら女子力をアピールしている私をよそに、ドンドンと画面に吸い込まれていく私の身体。

 良いじゃん、少し位アピールタイムを設けてくれたって…。


 そして完全に携帯ゲーム機に吸い込まれた私の後に残ったのは。


 弟から借りパクした携帯ゲーム機と私の鞄だけでした。






◆◇◆◇





「……ん……」


 私は目を開ける。


 目の前には越後屋みたいな低い姿勢からこっちを気持ち悪い顔で覗き込んでいる松永。

 そして斜め後ろには私の嫁の絵里ちゃん。


「……この事は内密にしてくれるか?」


 いきなり意味フな台詞を吐く松永。


(……じゃないや……。確か、この少し前で松永が教室に忘れていったエ〇レンタルDVDらしきものがポロリしちゃって……)


 尚も迫り寄って来る松永。

 警察呼ぶぞコラ。




  →《選択肢を選んでください》

   分りました。100万円で手を打ちましょう

   せ…先生が……私の彼氏になってくれるんだったら…///

   取り合えず顔が気持ち悪いので上履きを脱いで頭を叩く




 ようやく現れる選択肢。

 なんか松永の顔がムカついたから、私は3番を選択し『決定』を押した。



スコンッ


 という良い音が教室に響く。


「ちょっ、痛ぇなおいっ!先生の頭を上履きで叩く生徒なんて聞いたことねぇぞ!」


「すいません。つい先生の顔が気持ち悪くて」


「ゆ、ゆかり!」


 絵里が私を嗜めるように諭す。


「……そうか。先生、顔が気持ち悪いか。そうか……」


 そう言い、しょぼくれる松永。


 ……よし。何とかBAD ENDは回避出来たぞ……。

 という事は、選択肢は3番で正解だったって事か?

 思わぬ所で正解ルートを引き当てた私。

 松永が気持ち悪い顔の教師で良かった…。

 ※イケメン教師として生徒に大人気の先生です



「と、とにかくだっ!この事は口外しないようにっ!せ、先生だってなぁ……!夜中に急にムラムラきて眠れなくて眠れなくて、どうしてもオカズが必要な時だってあるんだぞっ!」


「先生。表現」


「ま、松永先生……」


 絵里が恥ずかしそうに顔を赤らめている。

 今すぐにでも押し倒したい衝動を抑え、私は次の選択肢の出現を待つ。




  →《選択肢を選んでください》

   どうせ普段は私の事をオカズにシェイクシェイクブギウギを楽しんでいるんでしょう

   ……もしかして男優の方が目当てなんですか?

   とにかく気持ちが悪いので窓から突き落とす




 私は困惑する。


 なんかどれを選んでもまたまた変な方向に進んでしまいそうな気がするし……。


 私は思案する。



 一体どれを選んだらいいんだよコレ……。



















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