プロローグ†
「わ……私も、あなたの事が……す、好きだよっ……。だから、ずっと一緒にいたいって思うし……。でもあなたは『女の子』なのよっ……?こ、こんなの駄目だよ……。……ね?今なら無かった事に出来るよ?……ね?そうしよう……?」
→《選択肢を選んでください》
そ、そんな事言われても、私の心はどうなるの……!?
・・・(無言で絵里の目を見つめてキスを迫る)
隠し持っていたナイフで胸を突き刺す
(あー……どおすっかなー……。取り合えず、今ムラムラしてるから2番目かなー……)
3番目の選択肢に突っ込みたい気もするが、今は欲情しているからスルーしよう。
《選択肢を選んでください》
そ、そんな事言われても、私の心はどうなるの……!?
→・・・(無言で絵里の目を見つめてキスを迫る)
隠し持っていたナイフで胸を突き刺す
『決定』
「・・・」
私は無言で絵里の目を見つめてキスをしようと迫る。
絵里の唇は淡いピンク色で瑞々しくて、そりゃあもう美味しそうでたまらないです興奮します。
「だ、駄目だよぅ……こんな所で……。部活帰りの子達とかが戻って来ちゃうかも知れないし……」
顔を真っ赤にしながらも教壇の方へと後ずさる絵里。
そんな仕草も私の心を掴んで離さない。
私はひょっとこみたいな顔をしながら、尚も絵里にキスを迫る。
ガラッ
と、教室のドアが開く音で私は一瞬のうちにひょっとこ顔から能面顔へとチェンジ。
こういう時に日頃からしている変顔で鍛えた表情筋が役に立つ。
「……うん?お前等、まだ教室に残っていたのか。………神坂。お前……何でそんな『いったんも〇め』みたいな顔をしているんだ?気持ち悪い……」
担任の教師の松永が良い所で邪魔しに来やがった。テンプレ通りに。
「先生。色々と言いたい事が山ほどあり過ぎて何処から憤慨すれば良いのか選べません」
「……そうか。先生、色々と地雷踏んでるか。そうか……」
そう言い、しょぼくれた松永は教壇の下から忘れ物らしき何かを抱え込み教室を出ようとする。
→《選択肢を選んでください》
先生っ!袋の隙間からA〇のパッケージがチラ見しちゃってますよ!
先生……。実は私……。先生の事ががががが……
隠し持っていたナイフで背後から突き刺す
私は悩む。
(……これ、どの選択肢が『正解』なのよ……)
さっきからウザイ3番は無いとしても……。
2番を選んでしまっては今後の展開が『教師と生徒の禁断の恋』のルートに行っちゃいそうだし……。
ていうか私『男』嫌いだし……。
特に松永みたいな若くて自分がハンサムだと勘違いしているちょっと良さ気なスーツとか着ている奴は特に嫌い。
禿げれば良いのに。
思い悩んだ挙句、私は1番を選択する。
《選択肢を選んでください》
→先生っ!袋の隙間からA〇のパッケージがチラ見しちゃってますよ!
先生……。実は私……。先生の事ががががが……
隠し持っていたナイフで背後から突き刺す
『決定』
「先生っ!なんかその小脇に大事そうに抱えている薄いブルーの色した袋の隙間から女優さんらしき人のパッケージがこんにちわしてますよ!」
松永は驚いたように袋を確認し、慌てて半開きになっている蓋を閉じる。
「……見た?」
「うん」
「……は、はい。ちょっとだけですけど……」
気を利かせて絵里は伏し目がちにそう告げる。
良い子なのよ~、絵里は。
なんせこの私が一目惚れしちゃった位だから。
さっさと松永やり過ごして絵里とトゥルーエンドを迎えたいんですけど。
早く進んでくれないかなぁ……ストーリー。
「……この事は内密にしてくれるか?」
なんか越後屋みたいな低い姿勢からこっちを覗き込む様に見てくる松永。
マジきもいから勘弁してよ。
そして松永の趣味嗜好とかに全く興味が無いから早く先に進んでくれませんか?
もう私、ムラムラが抑えられないんですよ、ホントに。
→《選択肢を選んでください》
分りました。100万円で手を打ちましょう
せ…先生が……私の彼氏になってくれるんだったら…///
取り合えず顔が気持ち悪いので上履きを脱いで頭を叩く
おい。
これマジで絵里とのトゥルーエンドストーリーから離れて行ってない?
(……一体どれを選べって言うのよ……。1番?3番?……3番やったら怒られるだろ……)
分らん。
でも取り合えず1番を選択しても大事には至らないだろう。ストーリー的に。
《選択肢を選んでください》
→分りました。100万円で手を打ちましょう
せ…先生が……私の彼氏になってくれるんだったら…///
取り合えず顔が気持ち悪いので上履きを脱いで頭を叩く
「……くしょんっ!!!」
《選択肢を選んでください》
分りました。100万円で手を打ちましょう
→せ…先生が……私の彼氏になってくれるんだったら…///
取り合えず顔が気持ち悪いので上履きを脱いで頭を叩く
『決定』
「あ・・・」
間違えた。
てかくしゃみで一個行き過ぎた。
そして選択を間違えた私の口は勝手に喋り出す。
「せ…先生が……私の彼氏になってあんな事やこんな事をいーーーっぱいしてくれるんだったら……///」
おいおい。
そこまで選択肢に書いてなかっただろう、私の口。
俯いていた松永の顔が徐々に砕けて行く。
違う意味で砕いてやりたいほどにムカつく顔に変化して行く。
「そ、そうか……。神坂は……俺の事がそんなにも好きだったのか……」
気持ち悪い顔で徐々に近寄ってくる変態もとい松永。
「あ……あ……ああ……」
駄目だ。やっぱり無理だ。
反論しようにも言葉が発せない。
もはや『このルートからは逃げ出せない』と言う事か。
と言う事は、このルートは……。
(……松永にお召し上がりにされちゃうルートだっつうのかよ!嫌だよ私!こんな奴に食われたくない!)
必死ににじり寄って来る松永から逃れようとするが、口だけでなく身体も硬直して動かない。
もはやリアル蛇に睨まれた蛙状態。
絶対絶命。
さらば、私の貞操……。
「……のね……」
「へ?」
静かだと思っていた絵里が俯きながら何かを呟いている。
なんだ……?
「……そだったのね……」
「……絵里?」
そして顔を上げた絵里。
私はその顔を見てちょっと漏らしました。
「嘘だったのねええぇぇぇぇぇぇ!!!!!!」
急に私の首を両手で締め出した絵里。
まさに鬼の形相。
あれ?私の心のヒロインの絵里ちゃんは?
あれ?この人誰?
「お、おい……篠塚……?」
「私の事ぉぉ……『好き』だって言っていたのはあぁぁぁぁ……嘘だったのねえええぇぇぇ!!!!!」
「ぐ、、、ぐるじい、、、、ちぬ、、、!」
いや……え……?
松永助けろよ早く!
逝っちゃうよ?私このまま逝っちゃいますけど?
何でビビッて逆に後ずさってんだよお前!
こっち来いよ!この手を解いてってば!
「ひ、ひいいい!……誰か……助けを……!!」
そしてそのまま教室を出て廊下を走っていった松永。
お前駄目教師決定。
てか……ホント死ぬ……。
でも絵里は両手で絞めていた首を片手に変えたよ。
私は絞められる力が半分になったからちょっとは楽になったよ。
でもね。
絵里は空いたもう一方の手を私のポケットに突っ込んで、図工の時間で使う小刀を取り出したの。
こんなの持ってたから選択肢の3番が毎回出てたんだよね、きっと。
そして絵里は器用に片手で小刀の鞘を外し。
私の頚動脈にすっとスライドさせたんだ。
教室は一瞬で真っ赤な血の海になったんだよ。
でも絵里は私の返り血を浴びながらも笑ってたの。
そして一言、私の意識があるうちにこう言ったんだ。
『これで、ゆかりは、永遠に、私のものね』
だって。
あ。最後に私の名前、初めて言ってくれたね。
でもいっか。もう終わっちゃったんだし。
あーあ。また最初っから始めないといけない。
一体いつになったらクリア出来るんだろう。
この『美少女ゲーム』は・・・
→ BAD END5 『嫉妬の先に咲いた赤い向日葵』