第8話
第8話
『吉晃よ、我の声が聞こえるか』
なんだ、へんな夢でもみているのか?
真っ白い空間に年老いた男の声だけが聞こえる。
『吉晃よ、我の声が聞こえるのなら返事をするのだ』
なんだよ、聞こえているよ。いったい誰だよ。
『我はこの世界の神だ。お主に伝えることがあってお前の夢を媒介に会話している』
随分とご都合主義だな。んで、いったい何の用だ。まさか神様自ら魔王を倒せと命令するつもりか?
『そんなことはしない。お主に謝罪をしに来たのだ』
謝罪?まさか、間違えて俺を召喚しましたなんて言わないよな?
『そのまさかだ。あの姫が召喚を間違えたのだ。普通なら穴が開いたとしても塞ぐことができたのだが、あの姫は間違って上にまで穴をあけてしまい塞ぐことができなんだ。申し訳ない』
上に?とはどういうことか詳しく説明しろ。
『お主は世界がどのようにできるか知っておるか』
そんなもん知るはずないだろ。世界創生なんて神がするんじゃないのか?
『その考えは間違ってはおらんが正しくない。新たな世界は世界が創るのだ』
意味がわからんな。
『お主はこの世界がゲームの世界と全く同じと思わなんだか』
たしかにそう思った。
『それはお主のいた世界がこの世界を創ったから知っておるのだ。世界の住人がこんな世界があればいいと世界の人間達が想像し、それが世の中に定着することで新たな世界がうまれるのだ』
そんな話はどうでもいい。なんで上に穴が開くと塞ぐことができないんだ。異世界召喚なんてそういうもんじゃないのか?
『この世界での本来の召喚とは正也のいた世界のように隣り合う別の世界から召喚するのだ。しかし、お主の場合は創りだした世界から落ちてきたのだ』
この世界や正也がいた世界は、俺がいた世界が創りだしたもので、俺のいた世界もどこかの世界が創りだしたと言いたいのか?
『そうだ。そして我もお主達から創られたのだから、我らから見ればお主は世界の創生神と同じ立場だ。上に逆らえんのは世界の条理。だから、我にもどうしようがなかったのだ』
つまり、俺を元いた世界に帰すこともできないんだな。
『あるにはあるが天文学的確率になってしまう。お主が上の世界から引き上げられれば、そこから元の世界に戻れるやもしれん』
天文学的って結局ないに等しいもんじゃないか。ということは、俺はこの世界で生き続けるしかないのか……
『そうなる。だが、お主の力は向こうの擬似世界でのものだから、なんの問題もなかろう。それに、この世界にはない知識を持っておるからそれを利用することもできるはずだ』
しかし、なぜ今更こんな説明をした。昨日の夜でもできたんじゃないのか?
『お主の世界がつくった設定で、信託というものは神の存在を信じない者にはできないのだ。昨日のお主は我が存在するとは考えておらなんだ。しかし、さっき神に文句を言いたいと神の存在を信じたからこうして話すことができるのだ』
なんというメタ発言!そんなセリフ言って大丈夫か?
『なんじゃ、お決まりのセリフでも言ってほしいのか?あいにく、それを言うと問題になるから言わんがの』
失礼、つい言ってみたくなった。
『全く……では余生を楽しむのだ。魔王に関してはもう一人の異世界人にまかせても問題なかろうが、無理だったとしてもそれが世界の定めならしかたない』
神様が人類の手助けをしなくてもいいのか?
『必ずしも人類を助ける必要はないのだ。ただ我はこの世界を消滅から防ぐだけだ。だからもし、お主が世界を消しさるというのであれば我はお主に対して何らかの措置をせねばならん』
安心しろそんなバカげたことは今のところするつもりはない。
『その言葉ではいつかするかもしれんような言い方だが、我でも対処できるかわからんからお主がそうならないよう祈っておる』
神様が祈るって誰にだよ
『それもそうだな。今回のことは本当に申し訳なかった。良き出会いがあらんことを。ではさらばだ』
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神様が笑いながら去って行ったような気がする……まあ、これで神様公認で自由人になった。明日からどうするかな。
次回で城を出ます。