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第7話

第7話


俺の部屋は現在準備中……とのことでおとなしく正也の部屋で夕食を食べ、のんびりしていた。


「それにしても、吉晃さんは規格外すぎますよ。チートですよチート」


正也があきれたような顔をしてそんなことを言ってきた。


「それは俺のセリフだ。俺はゲームの状態でこっちに召喚されたからゲームでの努力の結晶だ。授業をサボってまで費やした俺の努力をチートと言うんじゃない。それに比べて、お前は何の努力もなく高レベルの魔力を手にしているんだからお前の方がチートなんだよ!」


正也はどう考えてもチートだ。魔力もそうだが、魔法属性が3つも初めから持っていて、剣道でどれ程の実力者かは知らんが手加減とはいえ騎士隊長と互角に剣でやりあえ、おまけに俺のスピードについてこれるかもしれない……


「授業サボっちゃだめですよ!」


「なに、卒業まで単位をとればいいだけだ。まわりのやつらも似たようなもんだし、最初からバカみたいに授業をとって遊べないのは大学生ではない」


「まじめに授業を受けている大学生に謝ってください!」


まじめ君の正也がイスから立ち上がり怒こってそう言う。さすがにさっきのは大学生に失礼か、心の中で反省。


「人それぞれということにしといて、それよりもこの国のやつら問題あり過ぎだ」


王さんにはじまり、騎士隊長、バッカスなどの大臣……オージェとかはまともな人間みたいだったが、よくこんなんで国として成立するんだ?


「そうですか?最初のがあるから吉晃さんのせいでもあるんじゃないですか?僕は普通に対応してくれますし、昨日なんか姫様が部屋に来てさびしくないようにって話し相手になってくれたんですよ」


「ほぉー、わざわざ姫さんがねー」


座りなおした正也がうれしそうに言ってきた。なるほど、だから昨日は早々に追い出されたわけか……どうみても下心満載で来たと思うぞ。どうせ、姫さんと正也をくっつけて王の権力を見せつけるためとかじゃないのか。


「まあ、そんなことはどうでもいい。暇だからちょっと散歩してくる」


「部屋から出て迷子になりませんか」


「なんとかなる。んじゃ、魔法の確認がてら行ってくるわ」


そういって俺は『ハイド』を使って姿を消した。


「吉晃さんが消えた!?こんな魔法もあるのか……」


正也は驚いてはいるようだが、ファンタジーの世界だからなのか、俺だからなのか、もうなんでもありみたいに思ったのか、そんなセリフを言った。あきれているみたいだからおそらく俺だからなのだが、もういいや。


「『ハイド』という姿を消す魔法だ。もし誰か俺を尋ねに来ても知らないと言ってくれ。じゃ」


さてと、姿を消して散歩することといえば、情報収集だ。急遽部屋を変えると言っていたから、さすがに俺の対応方法も変わるだろうが、その後どうするのかも気になる。それに国の弱みでも握ることができれば、いい交渉材料になる。


城内を徘徊して、情報収集に励んだ。ほとんどのやつが正也について噂をしていた。しかし、俺の聞きたい情報はなかなか手に入らない。やっぱ、王さんや大臣とかから情報を引き出せればいいんだが……

なんて考えていると姫さん発見!ビバ尾行!いっておくがストーカーじゃないし、あわよくばなんて考えてないからな!



しばらく、ついていくと大きな部屋の前に来た。


「お父様、クリスティーナです」


まさか、王さんの部屋まで連れて行ってくれるとはラッキー。そうして姫さんと一緒に王さんの部屋へ入った。


「クリスティーナよ。実は大事な話がある。今からでもヨシアキを虜にするのだ」


王さんが神妙な顔をして言い放つ。


「いやですわ。私にはマサヤ様がおります。あんな男と同じの場所にいるだけでも嫌です」


随分と嫌われたもんだな。別に何かしたわけでもないのに……純情な俺ショック。


「これは、王からの命令だ。よりにもよって、ヨシアキがあんなに力を持っているとは誤算だった。最初は口だけの厄介者で、あやつが傀儡になりそうにないから、不備に扱えば向こうからやめるといってくると思いやっていたが、魔力はオージェを超えるほど、単なる魔力だけのもやしかと思えば、戦闘はマルサスすら気絶させられる。また、魔力だけあるタンクと思ったらそれを引き出す能力がある。あれほどの者を失うわけにはいかんのだ」


王さんが切羽詰まったような感じで言っているが、今更だな。


「絶対に嫌ですわ。それにリリシアがいるではありませんか」


「そうだ、リリシアだ。リリシアを今すぐここにつれて来るのだ」


そう言って兵士を呼び、王女を呼びに行かせた。しっかし、使えそうにない道具はゴミ箱へとはひどい王さんだこと。王女に関して、なんでそんなに嫌われるのか全くわからん。顔か!?顔が気に入らんのか!?面喰いなのか!!



「それにしても、ヨシアキめ。本当に厄介なことをしてくれたものだ。国民から勇者の支援のためとあの事件以降からしていた徴税をなくすなど、これでは国民から騙して徴収できんではないか。それに各国から勇者の実力を見せつけ資金を調達することもできん。まったく、今まで計画していたことがほとんど台無しになってしまうわ。まあ、世界を救う名目で他国から謝礼をもらえばよいが、勇者に直接渡され大金を請求することができんだろうがの」


腹黒王め。いや、そんなんだからこそ逆に王としてやっていけるのか?


「そうなのですか?しかし、本来なら勇者は一人であるのですから、あの男がマサヤ様の力を奪ったに違いありません」


姫さんが断言するが、そんなことは全くない。あいつには十分勇者補正がかかってると思うぞ。


「おそらくそうなのだろう。忌々しい男だ」


本人がいるのによくもまあ、そんなことが言えるもんだ。怒鳴りつけたいがまだ情報を聞き出してないから、もうしばらく耐えた後にたっぷりとお返ししてやるか。


「お父様、リリシアです」


「おお、リリシアか。早く入りなさい」


そう言われて黒髪ツインテール、第1王女のクリスティーナよりも少し高く、胸もそれなりにあるの美女が入ってきた。ん?よく見たら昨日地図を見せたメイドさんだ。まさか、王女がメイドに変装していたとは思いもしなかったな。それによく考えたら黒髪は異世界で珍しいんじゃないか?王さんや姫さん、王妃も金髪だったし……にしても、これで妹とか姉の面目丸つぶれじゃないか。


「お父様、お話とはなんでしょう」


「リリシアよ。今すぐにヨシアキのところへ行きお前の虜にするのだ」


「お父様、そういうことなら姉さんが適任では?それに、わたしにはナスカ王国のウェールズ王子という婚約者がいるのではないのですか」


リリシア王女は平然と答える。


「あんな男嫌よ、リリー。私にはマサヤ様がいるのよ」


なんかもう、王女の言葉に対してどうでもよくなった。


「クリスティーナには、マサヤを任せる。それにあんな国の王子なんぞ捨て置け。それよりもヨシアキの方が大事だ」


「大国の王子に対してよく言えますわね。まあ、1度もあったことのない男性よりあの人の方が魅力はありますけど。そもそも、こんなことをしなければならない状態にしたお父様に問題があるのでは」


「ええい、うるさいわ!お前はワシの言うとおりに従えばいいのだ」


みごとなまでにダメな王様だな。こいつらに言われて魔王退治なんてバカらしくなってきた……


「はぁ、こんなので大丈夫なのでしょうかねヨシアキ様」


なに!?俺がいることに気がつかれただと!!

まあいい、情報収集するのもアホらしいし、別れのあいさつでもするか。


「よく俺がいることがわかったな」


そういって俺が姿を見せると王さんと姫さんは驚いた顔をして言葉を失っている。


「いえ、ただ違和感がしたので、あなたならやってのけると思い言ってみたまでですよ」


女の勘ってやつか?しかし、よくもまあこんな王さんから落ち着いた王女ができたもんだ。いや、姉を反面教師としたのだろう。


「なんだ、俺が単に出てきたマヌケってわけか。それにしても、王女がメイドの格好で会いに来るとは思わなかったぞ」


「ああした方が、本来のあなたに近い状態を確認できると思ってやったまでです」


俺とリリシア王女がそんなのんきな話をしていると王さんが復活した。


「お、お主。い、いい、いったい、いつからおったのだ!」


「第1王女が来たときからずっといたぞ。随分とまあおもしろい話をしてくれたもんだな。かわりに俺もおもしろい物語を聞かしてやろう。ごく、ありきたりなことで魔王が表れ勇者が倒して平和になった後のことだ。多くの人が勇者をほめたたえていたがある男が言った。


『あんな恐ろしい魔王を倒すなんて勇者はホントに人間なのか』ってな。


その噂はたちまち広がり勇者を化け物なんて考えるやつらが出始めた。勇者は人々から冷たい目をされるようになりそんな状態に耐えきれずどこかへ姿を消したそうだ。数年後、新たな魔王が表れた。そしてその魔王は魔王を倒したはずの勇者だったのです。魔王となった勇者は人々を苦しめ新たな勇者が自分の前に表れるまで世界を支配し勇者を待ち続けたそうだ」


「まさか、その話の通りにやろうと思っておるのか!?」


王さんは再び驚き姫さんは驚きを越えたのかフリーズ中。そんな中リリシア王女は平然な顔をしている。平然な顔をしているということは、こいつは俺の排除に関与していないのか……


「バカか?なんでわざわざ魔王を倒しに行かにゃならん。俺はとっととこの城を離れて自由気ままに生きていくだけだよ。安心しろ、魔王と結託して世界を滅ぼすなんて考えちゃいねーから」


「そうですか……ヨシアキ様、考え直す機会をくださいませんか」


リリシア王女がそんなことを聞いているが今更態度を変えられてもこんなバカらしい話の後に俺の気持ちが変わるはずがない。


「残念だが、そんなものはないな。勇者は正也がいるから大丈夫なんだろ?それと、正也に変なことをしたら、ただじゃおかないからな」


「お主が魔王を倒しに行かぬのなら犯罪者として、牢屋に入れるだけだ。ワシの部屋に無断で入っておいてただで済むと思うな!」


王さんが怒鳴りつけるが別に怖くもない。


「兵士を呼びたければどうぞご勝手に止められると思うならな。俺は目の前に表れる全ての敵を殺してここを出るだけだ」


俺を止められる者がいると思うならばやればいい。王さんは俺の実力を忘れていたのか俺のセリフで無理と判断し苦虫を噛み潰したような顔で、


「いいだろう。ならここで起きたことはなかったことにする。今すぐに出て行けと言いたいが夜が明け次第出て行ってもらう。せめてもの慈悲だ」


「へえー。随分と慈悲深いことで。かってにこの世界に呼んでおいて使えないと思ったら捨てるくせに」


俺のセリフに王さんが再び怒りをあらわにした。


「これ以上の侮辱はゆるさん。ワシの気が変わらんうちに今すぐ部屋から出て行くのだ」


さすがに寒空の下に放り出されるとまずいからここらで引き下がるとするか。


そうして兵士に連れられ自分の部屋へと行った。ったく、神様がいるなら文句をいってやりたい。




~~☆~~☆~~


「お、お父様、いくらなんでも今のはまずいですわよ。あの男は国をも滅ぼす力がある男なのに、昼の魔法がもし攻撃魔法でしたらこの城はなくなっていたかもしれないのですわよ」


しばらく固まっていた姉さんがようやくしゃべりだした。


「あれでいいのだ。今更ワシが取り繕っても無駄だ。それにするのであれば今すぐにでもやっているはずだ。だが、これで少なくとも朝まではこの城にいる。リリシアよ、今からヨシアキを説得するのだ。お前にしかできん。まあ、もし説得できなくともあれだけの力の持ち主を魔族が放っておくはずがない。藪蛇であやつの反感を買い、滅んでくれるのが一番理想だがそうなるとは限らん。できる限りの可能性をつくるのだ」


「今から行っても無駄です。姉さん、あの人はこの国を破壊するようなことはしませんよ。話が終わったのなら私は自分の部屋に戻ります」


「リリシア、必ずヨシアキと話だけでもするのだ!いいな!」


父と姉さんを無視して私は部屋に戻る。もしその気があるのならとっくにやっているはずだ。それができるだけの力はある。しかし、それをしないのはあの人のやさしさからだろう。姉さんはわかっていないようだが、父はそれをわかって利用する……


「おかえりなさいませ。リリシア様」


そう言って専属メイドのエリーゼが出迎えてくれる。

私の周りは腐っている人間が多すぎる。父も母も姉さんも、大臣や兵士達も……まともなのはエリーゼとオージェ、それに一部の大臣くらいかしら?


「エリーゼ、旅の支度をしなさい。明日の朝、出発します」


「旅といいますと、ヨシアキ様について行くおつもりですか」


エリーゼは流れるように聞いてきたが、いったい、いつその情報を手に入れたのか……いつものことながら驚かされる。


「ええ、そうよ。このままここにいても人形として一生を終えるだけよ。それなら、あの人について行った方がいいわ」


「しかし、王様がおゆるしになるでしょうか」


エリーゼはそう聞くが、心配そうな顔を全くしていない。


「旅をしながらあの人を説得するとでもいえば問題ないでしょう。お父様もあの人の力はどんな手段を使っても手に入れたいようですし。それにもしダメだといっても置手紙でもして勝手に出ればいいだけのことです」


城を出る絶好の機会、こんなチャンスはもう2度とない。


「そうでございますね。ですが、あのお方がおとなしく連れて行ってくださるでしょうか」


「昨日あった時の性格が本来のものなら、なんだかんだいって、最終的には『ついてくるなら勝手にしろ』とでもいうでしょう」


さっきのやりとりからも私が敵でないと判断したようだし、そう考えていいでしょう。


「おそらくそうなるでしょう。リリシア様にご命令されてからヨシアキ様を監視しておりましたが、性格はひねくれているかもしれませんが悪人ではないようです」


優秀なエリーゼがそう言うのであれば、その見立ては間違っていないのだろう。


「なら、なんの問題もないわね」


「かしこまりました。では、わたくしは準備に取り掛かりますのでリリシア様おやすみなさいませ」


姉さんには悪いけど我がまま娘で姉らしくない。エリーゼが私の姉だったらいいのに……といつも思っていたが、ヨシアキを連れてきたことだけは感謝しておいて明日からが楽しくなりそうだわ。

忙しい時に限って現実逃避したくなるのはどうしてなんでしょうか

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