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第49話

大変お待たせしました。相変わらずの鈍行ですが続きをどうぞ

第49話


「7、8、9、100っと。ふぅ……師匠なんで、俺は大剣で素振りをしているんだ」


師匠ことアンジュの指導で剣術を学ぶことになったが双剣使いの俺がなぜか大剣で素振りをされられていた。


「メインの大剣がまともに操れなければ、双剣では複雑な斬撃ができない。まず基礎ができるか確認のためじゃが……やはりイマイチじゃな」


嘆かわしいと言わんばかりに溜息をするが、俺の才能がないことでの嘆きではなく、こんな素人相手に押しきれなかった自分が情けないとぶつぶつと呟いている。


「そろそろ、港に到着するわよ。準備は大丈夫?」


声がする方を向くとリリー達3人がいた。それぞれ、手荷物を持っていて準備万端のようだ。俺は道具袋があるおかげで特に準備をする必要がない。


「まず、向かうのは城でいいのか?」


今後の方針を確認すべく聞いたが、俺としては遠慮したいところだ。別の大陸なのでそうそうばれることはないと思うが、相手は大国。おそらく俺の正体がばれていると考えた方がいいな。


「そうね。挨拶もしないとまずいし、大会の受付も城の入り口でしているからアンジュさん、それでいいかしら?」


「そうだの、いつもの宿代わりにあいさつをせねばならんが申し込みが先でも問題なかろう。今年は子どもが出来て、ちと忙しいかも知れんがな」


新婚夫婦?のところに赤ん坊が産まれたとなると、そこに泊りに行くのは気が休まる気がしないならしい。


「宿であれば、私の従者用に1部屋当てられるのでその部屋を使わないか?」


「……城はあまり好かんのじゃが、どちらにしろ本戦に残るのであれば同じことじゃな。ご厚意にあやかろう」


「俺は、どうなんだ?」


なにやら師匠が意味深なことをいっているが、俺はどうなるのだろう。紅一点ならぬ黒一点?と女性陣だらけに男が1人だけだし、追い出されるなんてことも考えられる。


「ヨシアキ様もお嬢様の従者として城に泊まれるよう手はずがいっているはずです」


そのことを聞いて一安心したが、女性陣を狙う国の陰謀で厄介事に巻き込まれそうなのは否定できないと思ってしまった。


『港が見えたぞー』


男の声につられ、船首を見ると街が見えてきた。厄介事は今までにもあって来たことだからそうなったら、その時に考えよう。


~~☆~~☆~~~


「アルトランド第1王女ディアナ様、ユルカ第2王女リリシア様。お迎えにあがりました。どうぞこちらの馬車にお乗りくださいませ」


船から降りると身分の高そうな兵士達が俺達の前に表れた。


「リリーのはわかるが、ディナの来ることを知っていたようだな」


「城の滞在期間が長引いたおかげか、相手側に文を渡すのは間に合ったようだな」


よくよく思い返せば出航日を2回ほど延期させていたので、知らせが届くには十分の期間だよな。


「相手方を待たせるわけにはいかないわね。早く馬車に乗りましょう」


「城にはどんな面倒事が待ち構えているのやら……」


「ヨシアキ様の場合は否定できないところがございますからね。難儀な星の下で生まれたことを嘆くしかないのでしょう」


他人には聞こえない程度で嘆いたが、どうやらエリーゼには聞こえたらしくそっと肩に手を置いてそう言われた。


師匠ことアンジュがいるので、人数が増えていることは伝わっていないが、それでも全員を乗せても十分な大きさの馬車に乗り城下を移動する。窓から見える景色はこれから始まる祭りのおかげか人が大勢いて、活気のある……いやあり過ぎる街だと思った。


~~☆~~☆~~~


城に着くとそのまま謁見の間まで案内されると思ったが、どうやら王様は大切な会議中らしくしばらく時間がかかるとのことで、客間にて待機するようになった。


現在部屋にいるのは俺とリリーとエリーゼだけで、ディナと師匠は闘技大会のエントリーや要件を済ませに行っている。


「そういや、ここにはリリーの婚約者がいるんだよな」


「ああ、ウェールズ様の事ね。謁見が終われば早々に会いに行くのよね……」


何やらリリーは少し暗い空気を纏った。なぜと一瞬思ったが、リリーと旅をしている名目は婚約者に会いに行くと言うことになっている。その目的が達せられたらリリー達とは旅ができなくなってしまう可能性が高い。そのことを懸念して暗くなったのか……


「ただい・・・どうしたのじゃ?」


タイミングを見計らったようにディナと師匠が帰って来た。


「部屋に入った途端暗い雰囲気をだして。そうだ、時間もまだあることだし、部屋で閉じこもっているよりも庭で花でも愛でぬか?」


ディナが気を利かせてそう提案すると、使用人がすぐに確認をとり許可が下りたので庭へと移動する。


「城が大きいだけに庭のスケールも想像以上だな」


窓からも見えていた景色だが近くで見ると圧倒する程の花が咲き誇っており花畑と思えるほどの絶景だった。


「……まさに圧巻ね」


「いつ見てもここの庭はきれいだな」


「これ程となると花に興味のない妾でも感動的だな」


女性陣にも好評らしく、部屋での空気はなかったような感じだ。


「ん?あそこに誰かいるみたいだな」


庭を見まわしているときらびやかな服を着た青年がいた。年齢は俺と近いがおそらく年上だろう。


「あれは、センドリック王子じゃな」


あちらもどうやらこちらに気がついたらしく、こちらに近づいてくる。


「お久しぶりです。ディアナ様、アンジュ殿。お元気そうでなによりです」


「久しいな、センドリック王子」


「お久しぶりです。センドリック王子。私達は旧知の仲だが、後ろの方々を紹介してもいいかしら」


「おっとこれは、失敬。そちらの方々ははじめましてかな?ナスカ第2王子センドリックです。以後お見知りおきを」


ディナとのやり取りを見て好青年というイメージを持ってしまう王子様だな。王族だから、腹芸を学んでそうだが、素人目からすれば素の状態で話しているように見える。


「はじめまして、センドリック王子。私はユルカ第2王女リリシアでございます。後ろのふたりは従者のエリーゼとヨシアキと申します」


リリーが代表して俺達のことも紹介してくれるが、表向きとは言え従者と言われてもリリーへの態度はすぐにボロが出ると思うので変えるつもりはあまりないから、それが原因で面倒事が起きそうだな。


「あなたがウィルの婚約者のリリシア様ですか、こんな美しい女性をもらえるなんて果報者だな」


「お世辞がお上手でございますね」


センドリック王子の性格を見なおそう、好青年ではなくお調子者の様な性格をしている気がする。威厳たっぷり(まき散らす)ような王族ではないようなので、そっちの方が俺としては気が楽だ。


「そうだ、あいつにも教えないとな。ウィル!!ウィル!!どこにいるんだ?」


まさか、ここで噂の王子様とご対面になるとは!?いずれ会うことはわかっていたが、急な話で驚きを隠せないがなんとか顔に出さないよう無表情を意識する。声がする奥の木々からセンドリック王子に似ているが気の弱そうな少年が現れた。……少年?


いつもながら、次回投稿は後書きにて

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