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第48話

今回は早く投稿できました。

後書きにてあの告知が……

第48話


聖剣を所持していることをばらしてしまい神妙な空気が部屋中に漂っている。


「しかしヨシアキ殿、いったいいつどこでそれを手にしたのだ」


異世界人の説明はしたが、自分達がゲーム上の住人という説明をしていないので、どうしたものか……


「神託かな?夢の中で神様と名乗る奴が俺の道具袋に入れておくと言われて起きたら入ってた」


「エルドラ様が……そこまで世界は深刻な状態に陥っているのか」


子供じみた嘘だが、あっさりと信じやがった。というか、あの神様じいさんそんなに偉かったのか?


「まぁ、その話は置いておいて最後に妾から問いかけてもよいか?」


「なんだ?」


「お主、妾の下で剣術を学ばないか?」


「つまり、弟子になれと?天下の閃光様の弟子なら普通ならこちらから頭を下げてでもお願いするところだが、今の話をした後だと納得がいく説明でなければ分かるよな?」


普通に考えれば聖剣をねらっていると思われても仕方のないことだ。しかし、ゲーム設定上でのアンジュの性格からすればその可能性は低い。


「……しいのじゃ」


「なんだって?」


小さな声で何か言っているようだが、俯きながらつぶやくような声なので聞き取りにくい。


「だから悔しいのじゃ!!冒険者になって生死をかけた生涯をステータスによって素人に負けるとは悔しいのじゃ!!」


「はい?」


机を叩いて立ち上がりながら不満をぶちまけるアンジュ。その思いもよらない行動に皆唖然としてしまう。


「先も剣術では圧倒しておるのにステータス差のせいで手加減され。全力でやったとしても素人に負けたとなっては妾の気がすまぬのじゃ!!」


「つまりどういうことでしょうか……」


ここにいる全員の疑問を代表してエリーゼが聞く。


「ステータスで負けただけなら気がすまぬのじゃが、剣術もそれなりにできるのであれば話は別。だから、妾の下で剣術を教えて納得がいく負けを求める!!」


なんというわがままな理由。しかし、設定の性格を知っている俺からすればこれ以上にない分かりやすい理由だ。ここで考えなきゃいけないのは弟子になった時の利点と問題点だ。利点は言うまでもなく、俺の剣術が上がることだ。力加減が不十分なせいで余計な殺生をしてしまうと思っていただけに、手加減をきちんとできるようになるのは願ってもないことだ。逆に問題点は正也の方だ。アンジュがメインメンバーではないのは、イベント戦後でアンジュが仲間から外れてしまうからだ。ゲームのストーリーと同じようになってしまった場合、正也をかばってアンジュが……。2周目以降も別の誰かをかばって……と必ずアンジュに悲劇が起きてしまう。ゲームの設定とはいえ、現実となった今ではそっくりそのまま同じイベントが起こるとは限らない。主人公よろしく2人とも助けるという選択肢ができればいいが、いつ起こるか分からないからずっと見張っているということは論外だ。


「……あ、そうか」


「何がそうかなの?」


「いや、こっちの話。よろしく頼むよ、師匠」


考えたら俺は出会った人間すべてを見殺しにできないというような出来た人間ではない。自分の守れるだけのこと、やりたいと思ったことだけをすればいい。正也は勇者なんていう危険を伴うことを引き受けたのだ。今更ながら、そんな考えを行動するなら最初から見捨てずについて行くべきだし、そうなった場合は自己責任だ。それに今いるのはゲームの世界じゃない。現実となった世界だ。登場人物が同じなのはそうなるように作られただけで、物語は決まっているわけではない。もし、同じイベントが起きるとしたら闘技大会の後だ。本当にヤバいならそん時に助ければいい。


「そうか!ビシビシと鍛えてやるぞ。えっと……よ、ヨシュアキ」


俺の名前ってそんなに呼びにくいか?シャ、シュ、ショは発音しにくいと一部の人に言われるが、スフィア語は日本語と同じだから普通に呼べそうなんだが……


「呼びにくいなら、弟子とかでもいいし、親しいやつからアキと呼ばれていたからそれでもかまわないぞ」


腹立だしいことに吉晃という名前からでっ〇ゅうと同じあだ名を呼ばれていたが、仲間に吉田がいた為、すぐに廃れアキと呼ばれるようになった。ただ、親しいという言葉にアンジュ以外の3人が反応したような気がした。


「ならアキと呼ばせてもらおう。妾のことは師匠でも名前でもかまわんぞ」


「呼び名のことでこの際だから言わせてもらうが、私のこともそろそろ変えていただきたいのだが」


「姫さんは、王女様なんだから姫さんでいいんじゃないのか?」


「はぁ、リリー殿も王女であろう」


そういえばそうだった。リリーがあまりにも王女らしさとかけ離れた行動を共にしていた故に王族であることをすっかり抜け落ちていた。


「んじゃ、なんて呼べばいいんだ?」


「ディナと呼んでほしい」


「ディナね。了解」


そう呼ばれ、なんだかうれしそうな顔をする姫さ……じゃなくてディナだった。


「ね、ねぇ。ヨシアキ――わたしも……」


「ん?」


「な、なんでもないわ」


リリーが何か言いかけたような気がしてリリーの方を見たがすぐに否定した。その隣のエリーゼは微笑ましい顔をしてリリーを見ていた。エリーゼから見れば、かわいらしい妹の様な存在かもしれないが、周りから見れば母親のような……


「ヨシアキ様、何か不名誉な考えをしていらっしゃいませんか?」


有無を言わせないエリーゼの雰囲気に先程の考えを取っ払う。


「それにしても、王女ふたりとメイドにお嬢様口調の冒険者。随分と偏ったメンバーだな」


「妾のことか?仕方がなかろう。昔は普通に話していたが上位ランクになると貴族どもから傘下に入れとうるさくてな。下手に出るよりもこの口調の方がことが運びやすいからこの話し方に慣れてしまっただけじゃ」


そんな裏設定があったとは!!ゲームで口調については知っていたが、その理由については公式の発表はなくネットであれこれ書かれていたがここでしれたのはゲーマーとして嬉しい限りだ。


「さて、そろそろ乗船開始の時間だ。荷物をまとめて港へいくとしよう」


~~☆~~☆~~~


船に乗り港を出た俺は部屋で休まずに一人甲板で海を眺めていた。


「ここにいたのね」


ふと隣を見るとリリーが同じように海を眺めていた。


「なんだかんだで、1ヶ月近くこの世界で過ごしたんだよな」


この世界で来て5日と経たない内に魔将のリデルに会い。シーバムの村では盗賊騒動。それにディナの王位転覆騒動。普通の生活じゃありえない濃密な1ヶ月だ。


「そうね……あの出会いからもうそんなに経ったのね」


普通ならロマンチックなシーンだが、いざ自分が体験してみると見ている方は恥ずかしいが、見られる方は普段と変わらない感じなので、ロマンのかけらも感じない。


「この世界に呼び寄せられたことに対して恨んでいる?」


「今までにさまざまな騒動に巻き込まれたが、そこまで嫌ってはいないさ。昔を憎むよりもこれからを楽しんだ方が俺には合ってるよ」


平和な旅を願うが、多少のスリルを味わうくらいならいい刺激だ。次はいったいどんなことが起きるか、まだ見えない海の先に待つ街を思い描くのだった。


というわけで、3章終わりです。

投稿して2年ちょっとということで、再度疑問点が出ているだろうと思います。つまり……番外編の後にQ&A回をネタがあればやります!!

1/21に投稿しますので、それ以降でお願いします

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