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第27話

第27話


ギルドからシーバムの村にワープした俺は、村長の家へ向かう。風景を覚えることに意識していて気が付かなかったが、ところどころに旅の途中であろう人達がいる。盗賊騒ぎで普通なら早々に村から出るだろうに何でここで待つんだ?考えてもわからないから早く村長に報告するか。


~~☆~~☆~~


「ただいま」


マーサさんとメアリーちゃんに連れられて、さきほどの部屋に戻るとリリー達が話し合いをしていた。


「おかえりなさいませ。マスターはなんとおっしゃっていましたか?」


「すぐに騎士隊に連絡してくれるそうだ。あ、そうだ。村長、これマスターから依頼申込書。手数料はいらないから、書くだけ書いといて出してくれ」


俺がそう言って用紙を渡すと村長達は驚いた。


「これって本物だよな。マスターのサインも書いてあるし、判子も今日の日付だし……ほんの十分程度しかたっていないのにどうやって王都まで行ったんだ」


エリックさんが聞いてきたが、さて、どう説明したもんか……


「彼は変わった魔法が使えるのよ。そのおかげで私達はCランクでもあるの」


俺の変わりにリリーがそういうと「便利な魔法があるんだな」と納得したようだ。


「思ったんだが、なんで旅人はこの村に立ち止ってんだ?言い方は悪いが普通なら村から早々に出るだろ?」


話題を変えるためにも来るときに思った疑問を聞いてみる。


「理由としては時間がかかるのと盗まれた物のためでしょう。森を迂回して王都に行くには2週間ほどかかります。しかし、いつ来るかわかりませんが騎士隊の方々が来られ、無料の護衛として王都まで連れて行ってくれるのです」


村長が説明してくれたが、騎士が無料で護衛してくれるとは、すごいサービスだな。


「それに盗賊の被害といっても今のところ物を強奪されたぐらいで人攫いにあったという報告はないな。騎士隊の方々が盗賊を捕らえた時に盗まれた物を早く取り戻すためにもこの村に残っている商人達もいるんだよ」


そういう理由でここにとどまっているのか……


「ヨシアキのいない間に話し合ったことなんだけど、私達は村の外には出ず、村に滞在して警備をすることになったわ」


「俺だけでも盗賊探しをした方がいいのか?」


野営の時にやった感知モドキをやれば居場所を見つけることは簡単なはずだ。でも、捕まえるのはできそうだが、連れて帰る方法が思いつかないな。


「ヨシアキ様なら問題ないと思いますが、村の方々は高ランクの冒険者がいるだけで安心します。ですので、捜索は騎士隊が来てからでお願いします」


そういうことならおとなしく村にいるか。範囲を広げるとしんどそうだし、人の判別ができないから旅の団体さんと間違える可能性もあるしな。


「そういうことだ。明るいうちは大丈夫だと思うが、俺は見回りの仕事に戻るから、メアリーの相手でもしてくれ」


そんな仕事は俺達のような冒険者に任せればいいのに。ああ、村長の息子としての仕事だからか?そういう理由なら仕方ないか。


「なら、メアリーが村の案内する~」


元気に手を挙げながら宣言をする少女。たしかに、警備をするなら場所がわからないと意味がない。子どもなのにそんな気遣いができるとはええ子やわ~。歳を聞いていないから、実は見た目は子ども、頭脳は大人という落ちはないよな。


「よろしくお願いするわね。かわいいガイドさん」


そんなバカな考えは置いといて、リリーがメアリーちゃんに近いて頭をなでる。


~~☆~~☆~~


メアリーちゃんに連れられて村の中を歩き回る。宿や店など主要な場所をこちらが聞く前に連れて行ってくれた。マジで賢すぎる。村長の孫娘ということで、たびたびこういう機会があったのか?


「そういえば、メアリーちゃんは何を探していたんだ?」


俺が助けに行った時は何も持っていなかったから、みつからなかったのだろう。騎士隊が来るまで時間があるからその間に探してあげようと思って聞いてみた。


「ないしょ。でも、そのうち見つかるからいいの。それよりも村の案内をするの」


メアリーちゃんはそういうと俺の手を引っ張り駆けだした。村の案内が一通り終わり、村長の家に帰る途中エリックさんに会った。


「あ、おとうさん!」


「おお、メアリーか。ちゃんと案内できているか?」


「ええ、お嬢さんは私達が思っていたよりも案内をしてくれましたよ」


リリーがそういうとメアリーちゃんはエッヘンという感じで両手を腰に当てて胸を張った。うん、十分誇れる案内だったぞ。


「あ、見せたいものがあるからメアリー採って来る。おねーさん達は先にお部屋に戻っててー」


「すぐに帰って来るんだぞ~」


駆けだしていったメアリーちゃんをエリックさんが見送る。


「盗賊騒ぎの中で1人にして大丈夫なのか?」


まだ明るい時間とはいえ、子ども1人が出歩くのは危険なはずだ。


「俺も後からこっそりとついて行くから問題ない。じゃ、見失わない内に行ってくる」


そいうとエリックさんもメアリーちゃんの後をこそこそと追いかけて行った。取り残された俺達は、とりあえず村長の家に行く。


「ただいま戻りました」


村長の家に着くとマーサさんが出迎えてくれた。


「おかえりなさい。メアリーがご迷惑をかけませんでしたか?」


「途中、ご主人にも会って言いましたが、お嬢さんは私達が思っていたよりも案内をしてくれましたよ。後、お嬢さんはまだ出かけていますが、ご主人が見ているはずです」


「それはよかったわ」


2人が戻って来るまで家で待っているとエリックさんが帰ってきた。


「ただいま。メアリー帰っているか?」


そのセリフから、みつからなかったか、途中で別れたようだ。


「あなた、メアリーと一緒にいたんじゃなかったの?」


「申し訳ない。途中で見失ってな。もしかしてと思って家に帰ったんだが……」


マーサさんがエリックさんに聞いたが、嫌な予感がする。


「た、たいへんだ!」


男登場!この展開は予感的中な気がするが、今回ばかりはハズレであってほしい。


「そんなにあわてて、どうしたトーマ?」


登場してきた男は息を整えると聞きたくない言葉を言った。


「メ、メアリーちゃんがさらわれたんだ!」


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