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第1話

さすがに王様がひどいといわれたので最初のから少し変更しました。


もしかしたら、また変更するかもしれません

第1話


どうやら俺はゲーム内ではなく異世界に飛ばされたと諭され放心状態になってしまっている中、正也は冷静にフォローを入れつつ質問した。


「彼はいきなり知らないところへ連れてこられて動揺してこんな風になっているだけです。申し訳ないですが、先ほどの言ったように元の世界に戻れますか?」


「残念ながら、召喚は一方通行で元の世界に戻すことはできんのだ。当然、魔王を倒した後の生活も補償しよう」


「勇者達、他に何か聞きたいことはあるか」


「僕は今のところは思いつきません」


「王様、いくつか尋ねたいことがあるのだが、いいか」


おきまりですねー。仕方ない、こうなったらとことん今後の生活を安定させるために交渉するか。嘗められるといけないから口調は変えない方がいいな。


「よかろう、して何を尋ねたい」


「まずは、俺達が魔王を倒したとしてその後の生活は具体的にどうなるんだ」


「勇者が魔王を倒してくれるなら人生を3回遊んで暮らせる大金を用意しよう。その後は特に考えておらんかったが、国の重役になるもよし、冒険者になるもよしと勇者達次第だ。できれば以後もこの国を守ってほしいのが本心だ」


「では、俺達は国に関わらなければ、魔王後の外交で戦争や政略に使われることはないんだな」


これは重要なことだ。魔王がいなくなり用無しになって使い潰しされたらたまったもんじゃない。それに最悪の場合は暗殺されるかもしれないがそこは今はどうしようもない。王様は痛いところを聞かれたのか苦笑いをしている。


「ま、まあそうだの。勇者達が内政に関わらなければ政略なぞ無関係だの。戦争は我が国から起こさぬし、起こされぬ努力はしよう。しかし、万が一襲われるようなことになれば勇者達が我が国にいれば防衛として頼むやもしれん」


絶対に勇者を使ってなにかしようとしていたな。ここは釘を刺しておくか。


「ならば王様、ここで勇者を戦争に巻き込まないと宣言していただきませんか?なに、実際に起こってしまったら俺達の主観で関わるなら協力するとここに宣言しよう。正也もそれでいいか」


「僕もそれでいいです。戦争なんか起こらない方がいいですけど、もし助けが必要とあれば僕はどこにいても駆けつけますよ」


「わかった、できる限り約束しよう。しかし、魔王を倒してからのことは分からないのでな。今のは別として、魔王を倒してからのこと以外で他にあるのか?」


とらぬ狸の皮算用といわれれば仕方ないな。なら一番大事なことを聞いておく。


「最後に、俺達の立ち位置だ。勇者はみんなからあこがれるような存在だが実際に考えるとそうでもない。勇者といえば聞こえがいいが、別の言い方をすれば国の奴隷だからな。あんたらは俺達のことを勇者と言ってかってに崇め、活躍できなければ『勇者なのに情けない』と、かってに幻滅される。それに、今だってそうだ。勇者だからといわれて最も危険な魔王を討伐しに行かされる。本来勇者は英雄と同一視され、誰もが恐れる困難に立ち向かい偉業を成し遂げた者を勇者と呼ぶべきだと俺は思う。たしかに、誰もが恐れる困難を成し遂げようとしている者に対する敬意として勇者と呼ぶこともあるが、そんなことを認めれば、子どもが『僕は魔王をたおすんだー』といって家をとびだし旅に出たら、子どもの戯言といってもその子を勇者と呼ばないとあんたらのいう勇者の説明に矛盾する」


俺はいつも勇者が出る話を読むたびに思っていることだ。毎度毎度、『勇者が表れ魔王を倒し世界は平和になりましたとさ、めでたしめでたし』なんて終わり方をしているが、物語の勇者なんて当時の状況からすれば魔王を倒す前は魔王に挑むバカな男の一人と思われているに違いない。


「話が長くなったが、俺は魔王がいなくなるまで勇者なんて呼ばれたくない。簡単にまとめれば俺達は平民、貴族、奴隷、王族のように位でいえばどの位置になるんだ」


王様は考えもしなかったことを言われて返答に迷っているようだ。周りも同じように今まで当たり前だと思っていたことを否定され、勇者をどうあつかえばいいのかわからないようだ。ただ、正也だけは俺の話に共感したのかうなずいているようだ。


「た、たしかに言われるとそうであるな。そうだのう、勇者いやヨシアキのいうとおりであるがしかし、勇者とは、我々の希望なのだ。我々では魔王を倒すことができないから、勇者に大きく期待を持つことは当然のことなのだ。習慣というものはすぐさま変えられるようなものではないのだ。実際に今でも勇者が現れることを民が望んでおるから、我が国は最後の手段として異世界からお主達をここへ呼んだのだ」


そりゃ自分達で解決できないから勇者を呼ぶからあたりまえのことか。自分が異世界から来ましたなんて言えば人々は勇者だと思い、魔王を倒すことができる人物が現れたとして期待もするか……


「まあ、勇者と呼ぶのはかってにすればいいさ。それで俺の質問に対する返答は?」


「そうだのう、伝統から判断するに我と同等の位置づけが妥当であろう。しかし、勇者は我と違って下の者に命令権がないから王族より少し低いくらいだ」


「なるほどな、そういえば1つ聞き忘れていたな。確認と願いに近いが、いいか?」


「内容にもよるが、できる限りのことはしよう。してどんな願いだ」


「簡単なことだ。勇者の支援のためとかいって、国民から税を課すことをしないこと。また、他国から支援金を要求しないことだ」


「それでは1つではなく2つではないか。しかし、なぜそのようなことをせねばならんのだ?」


「理由は単純。あんたらの本質的な願い事のためだよ」


そう俺が言うと王様は呆けた顔をしている。


「何をいっておるのだ?我らからの願い事は魔王を倒してほしいのだ。そのために勇者達に資金援助のために民や他国から資金を集めてはならんのだ」


「あんたのいっている願い事は間違っている。いや、正確にいえばどんな結果がほしいと言っているのではなく、どんな方法でしてほしいと言っている。あんたは単純にこのままでは魔王に世界を壊滅されてしまうと考えたから原因である魔王を退治してくれと言っているんだろ」


「そうだ、それのどこが間違っている!」


言葉遊びができないのか王様は怒っているようで大声を出した。


「間違っているとはいえないが、正しいとはいえないな。そうだな、分かりやすく例を挙げて説明しようか。魔王を倒すために各国から集めれるだけの国民や兵を集めて、1週間休まずに魔王に攻撃をする。そして疲労した魔王を俺達勇者がとどめをさす。それなら高い確率で魔王を討伐できるぞ」


生物として寝ないのは自殺行為に他ならない。外道といわれようとも勝てばいいというのであればこれが一番簡単なのだが、魔王に寝る必要がなければあまり効果がないかもしれんな。


「そんなことできるわけがなかろうが!大勢の民を犠牲にして何の意味があるというのか!」


「まあそうだな。だから、正確にあんたらからの願い事を言おうか?『魔王によって世界が危険にさらされているから国を守るために魔王をどうにかしてくれ』だろ?そこで、さっきの俺からの願い事だ。国民の平和を守るために魔王を倒してくれと勇者に頼んでおいて、勇者のせいで重税を課せられ苦しい思いをしたら本末転倒だからだよ。動機と要因を間違えたら意味がない。他国からの支援についても結局は同じ事だ。もし必要であるなら俺達の方からお願いしに行く」


ここでの要因は魔王が攻めてくることで、動機は国民を守るため。要因よりも動機が重要なのだが、理解したのだろうか。


「たしかに僕達のせいで人々が苦しむのはよくないですね」


正也も俺の言ったことを理解したようで同意した。


「わ、わかった。しかし、今まで集めていたものを返すことはできんので以後そのようなことがないようにしよう。今すぐにとなると民の反感を買う者もいるのでな、その者達に説得しなければ王は勇者を見捨てたと思い内乱が起こってしまってはもともこうもないのでな。他国に関してもこちらからは勇者を召喚したことは報告せねばならんのでな。その時に他国から渡される以外は請求することのないようにしよう」


王様の言葉により一部の大臣らしき人達がなにやら俺をにらみつけているな。どうせ、課せられていた税金を着服していたんだろう。ざまーみやがれ。しかし、そう返されたらいつできるかわからないからこのまま、あやふやにされてしまうかもしれないな。


「勇者ユシアキよ他に何かあるのか?」


「いいや、もうさすがに思いつかんな。また何かあればその時に言わせてもらう」


「そうか、ではこれより勇者マサヤと勇者ヨシアキに魔王討伐を任命する。今後の訓練に励んでほしい。勇者達よ今日はゆっくりと休むがよい」


そうして、俺達は謁見の間を出ようとした。しかし、どこにでもバカはいるようで俺の通り過ぎざまに『冒険者風情が』と嫌味を言ってきた奴らがいた。たしかに俺の格好は冒険者だが、そんなことをいわれる筋合いはない。なら俺も言わせてもらうか。


「そういや、この国での誘拐罪ってどんくらいの罪になるのかな」


独り言のようにあえてここにいる全員に聞こえるよう言った。よく、勇者を召喚した国をほめたたえることがあるが、『異世界から誘拐しましたよ』と、どうどうと宣言しているのだ。この国の姫が召喚してもそれを王族だけの独断でなく、ここにいるであろう重役による議会によって召喚を行ったと考えるのが普通だ。ここにいる全員が犯罪者であるといっても間違いでないと俺は思う。


周りの反応を楽しみたかったが、独り言としていった以上さっさとでないと、わざと言ったことになるから何か言われる前に出るに限る。


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