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第18話

主人公の努力シーンがないということで、3/1に付け足しました。

第18話


マスターに報告した後のことを話すと長くなるので、要点をまとめながら1週間の出来事を説明しよう。


まず、服だがマスターと別れた後店に行くと、休業日というズッコケイベントがあったが作ってもらえた。素材のミスリルが足りないということで手持ちのミスリル鉱石を渡すと、「これだけあれば十分作れる。すぐに作業にとりかかる」と言われた。必要なものだから3着作ってもらい、それでも材料が余るといわれ買い取るかと聞かれた。いろいろと世話になったし、これからも世話になるだろうからリリーやエリーゼの分も1着ずつ作ってもらった。

超高級品だけあって材料費抜きでもかなりの値段、白金貨1枚になったが、リリーとエリーゼが大喜びして抱きついてきた。その笑顔と腕に当たっている柔らかい感触はプライスレスということで素直に支払った。随分と安い男だなという奴、実際に味わってみるといい。ただし、味わえるもんならな、ハッハッハァー


ギルドランクだが、Cランクにランクアップと言いたいが、やはり問題があるようでCランクにはなれるが、もう少し待ってほしいとのことだ。さすがに例外を証明しようにも魔人の遺体がないから証明できないので、いろんな依頼を受けて超スピードで成り上がったルーキーということで偽造をしているらしい。

裏技として依頼は原則1人1つということを利用して、受ける人を個人名義にしてチームの人数分の依頼を受ける。それをチームで依頼をこなす。これによりポイントは個人にしか入らないが報酬は変わらないので短時間でお金を稼げるのが本来の裏技。それを受ける人を個人名義のところをギルドが報告後にチーム名義に変えるらしい……

そんなことをして大丈夫なのかと聞くと「もともとギルドに所属していて再発行という建前でいろいろとやっているから問題ない。ばれるようなことはないし、依頼をこなしているペースは一流といえるレベルらしく、ばれたとしても問題ない」だそうだ。それに、人手不足のせいで他のギルドでもやっているので暗黙らしい。こんなんでいいのかギルドよ……


マスター(いわ)く、「わしの考えは、ギルドランク=強さ、ではない。ギルドランク≦強さ、なのだ。どんなに強かろうが、最初は最低のFランクから始まる。そんな使える連中を野放しにしておくのはもったいない」ということで、この裏取引を作ったらしい。普通にランクを上げられたら貴族連中に引き抜かれるが、裏取引をした連中は恩を感じて、そのまま冒険者として活動してくれることが多いらしい。


マスターの強さの基準は同感だ。例えば、国の騎士団長がやめてギルドに入ったら、その人の実力はFランクといえるのか?俺のように、元Cランクの連中に絡まれて勝てないといえるのか?


答えはNOだ!あくまでも、ギルドランクはギルドに対する貢献を基に換算している。だから、依頼を受けず、魔物狩りをして強くなることもできるのだ。まあ、そんなバカなことをする冒険者はいないだろうがな。


マスターからの情報でリリーについてだが、どうやら本当に婚約者に会いに行ったと公式発表があり兵士達も捜索している動きもないそうだ。俺については懸賞金など一切なく、リリーの護衛の1人とされているようだ。……あの王さんが何を考えているのかわからんがそういうことなら放置でいい。


次に魔物だが、はじめの方はリバース発動していたが、今は普通に狩れる。魔法も実践で使ってみて「威力が強過ぎる。地形を変えるつもり!?」など注意されながらも魔法の行使も慣れたし、レジストも問題なくできた。


結果で言えばそうなのだが、魔法の行使はものすごく大変だった。

試しに、初歩の初歩であるフレアショットでゴブリンに攻撃すると、魔物を貫通し、後方の木々を焼き払ってしまった。慌てて水魔法で消火しようとしたら火は消えたが、周辺の木が折れてしまった。カンストのせいで手加減が難しすぎる。

というわけで、威力制御のためにゴブリン相手に魔法を放ちまくった。そのせいで、コロニーを潰しまわるハメになった。

ホントに大変だったよ。まず、貫通させないよう、物に当たると燃えるようにイメージした。それでも、消失からはじまり、消し炭、真っ黒こげ、一部黒こげ、やけど、という感じで特訓の末、ようやく扱えるようになった。倒せるなら、消失レベルでもいいと思うかもしれないが、討伐の証として、魔物の一部を剥ぎ取るので、そういう訳にはいかないのだ。

当然、その他の魔法も威力の強過ぎで特訓の末に扱えるようになったのだ。まあ、最初の特訓おかげで、他のは早い段階で扱えるようになったけどな。


後、詠唱だが初級は『我が魔力にて』で始まり、中級は『我が魔力を集めて』、上級は『我が魔力の結晶よ』で始まるのが一般的らしいから、もし唱えるならそうした方がいいと言われた。


それからお決まりの異世界に来たなら果汁入りポーション作成!


これは成功でもあり失敗でもあった。普通に売られているポーションは当然苦い。というわけでありきたりだが、果汁を入れてみた。試しに飲んでみると甘くて飲みやすいポーションになった。これは売れる!なんて思ってたくさん作ったが半日ほど放置するとポーションからへんなにおいがする。試しにサーチで確認したら傷んだポーションになっていた。パンみたいに生だったからダメになったと思い煮沸させてから入れてみるが、それでもダメだった。


エリーゼ(いわ)く、実際に同じ考えを持った人がいたらしく試したが、ポーションに入っている人体に無害な防腐剤と果汁が反応して、腐りやすくなってしまうようだ。


ポーションといえど飲料だから保存のことを考えて防腐剤を入れていたとは不覚!

それなら失敗じゃないか、と言われそうだが、俺のポーチは入れた状態のまま保管できるので腐ることがないから自分達だけなら問題なく使用できることが判明した――ゲーム内でも時間の流れはあるし、素材で○○の肉なんて物もあるから当然と言えば当然――ので成功といえるだろう。


ついでに、ポーチのことだが、やっぱり俺以外では取り出すことができなかった。ふたりが試しに手を入れると腕まで突っ込んでも何も触れなかったらしい。ポーチの使い方だが、リストがあるわけではないが、自分のイメージした物が見える。

ある程度許容範囲があるみたいで、素材とイメージすれば該当するものが全部見える。そこからサーチで何が入っているか確認できた。今までは無意識にやっていたみたいだが、この発見で道具探しが楽になった。あきらかにポーチよりも大きい物を出し入れしていて、今更になるが、ポーチの口は亜空間みたいのが発生しているので、サイズを無視して出し入れ可能。お決まりなのか、生き物は入れることはできるが、出す時には死んでいる。これを使えばモンスターも一撃必殺と思ったのだが、モンスターは入れることができなかった。素材状態にしてはじめて収納可能のようだ。


さらに文字について、

宿の名前や俺の武器の名前から、もしかしたらと思っていた人もいるかもしれない。この世界の文字はスフィア語というのだが、言ってみれば英語で言うジャパニーズ。つまりスフィア語という名の日本語なのだ!!この歳になって一から文字を覚えるなんて大変だと思っていたが日本語でOKとは、ありがとうスタッフ!ありがとう日本語!ありがとーーーーー



ゴホン、多少脱線したが本題に入ろう。比較的平和な時間を過ごしていたが、宿にある男が尋ねてきたのだ。その日の晩に起きた出来事について話そう。


~~☆~~☆~~


夕食を済まし、部屋に戻って後はのんびりとするだけだった。俺達はイスに座って今後の予定を話している時だった。


「今日も無事に終わったな」


「そうね。明日にはカードの更新が終わるらしいけどその後どうするの?このまま、ここで過ごすなんてつまらないわ」


リリーの言うとおり、このままここにいたら面白くない。


「そうだな。んじゃ、更新したら他国にでも行ってみるか?」


「そうでございますね。他国となるとここからだとアルトランドかロマリアになりますがどちらにいたしましょうか?」


エリーゼも賛成みたいで提案をしてくる。


「俺はどっちでもいいな。行く時の気分で決めるよ。まあ、他国を巡るならアルトランドになるだろうな」


地図でわかりやすく言えば、ユルカはアメリカ、メキシコがロマリア、アルトランドはカナダとアラスカ州だ。ロマリアから移動となると前にも説明したように赤道と極地周辺は通れないから船の移動時間が長くなる。アルトランドに行くのがベストだろう。


「そうね、それがいいわ。それならナスカに行く途中ということで、私がいてもおかしくないわ。寝るにはまだ時間が早いけど、どうしようかしら」


リリーも同意のようだな。


「特にするようなこともないだろ」


「そうですね。だったらわたくしは部屋を出ますので、おふたりは仲良く『ぎしにゃん』でもなさったらいかがでしょうか?」


突然、エリーゼが爆弾発言をする。


「エ、エリーゼ!?なんでそうなるのよ!!」


「不安でしたらわたくしがお手伝いをいたしますが」


3○だと!?たしかにリリーやエリーゼと仲良くなったがそんな行為に至るほどじゃないはずだ。一瞬考えてしまったが、15歳の女の子とやるのはアウトのような気がする。ふたりはこそこそと話し合って『急ぎ過ぎ』だの『倍プッシュ』だのそんなセリフが聞こえる。


「エリーゼはともかく俺の世界じゃ未成年に手を出すと捕まってしまうからあんまし誘惑しないでくれ」


どうやら相談が終わったようで俺の定義を否定する。


「それなら問題ございません。この世界では15歳から成人で、結婚もできます」


昔の日本じゃ14歳で成人だったらしいから、15歳ならよくある話か……

ん?リリーが成人しているなら、何で結婚していないんだ?おそらくずっと前から婚約者がいるのにまだ結婚していないとは……


「なら、なんでリリーは結婚していないんだ。年齢も問題ないし、婚約者がいるんだろ?」


疑問に思ったら聞いてみるのが一番ということで聞いてみた。


「婚約者の方に理由があるからよ。順番的にも婚約者と結婚は、まだ先になるわ。それに実際にナスカに行ったら、婚約者に会うでしょうし、その時にわかるわ」


婚約者といっても側室で、正妻がまだ結婚していないとか?もしくは、他にも側室がいて、結婚したら期間が必要とか?まさか、実はおっさんで年齢の差で倫理的な問題があるとか言わないよな。


「――というか、エリーゼって何歳なんだ?」


ふと、気になってエリーゼに質問してみた。


「ヨシアキ様、女性に年齢を聞くのは失礼ですよ。まあ、仕方なくお答えいたしますが21でございます」


へえー、21って予想よりも若いな。


「あれ?エリーゼってたしか今年でにじゅう――」


「お嬢様、何をおっしゃろうとしているのですか?わたくしはピチピチの21歳でございますよ」


エリーゼが目を尖らせながらリリーの言葉を遮る。サバをよんでいるな。胸のことと一緒で、触れてはならないものなんだな……


コン、コン。


「こちらに、ヨシアキさんがいらっしゃるとフロントに聞いたのですが」


「はい、少々お待ちを」


よかったなリリー、助かったぞ。しかし、誰が俺を尋ねて来たんだ?普通に考えればギルドの人くらいか。エリーゼが来客者の応対しようと扉を開けると、ローブで身を覆い帽子を深くかぶって、いかにも怪しい人物が部屋の前にいた。


「こんばんは、夜分遅くに申し訳ない」


そう言って男は帽子をとって顔を見せる。そこには、あの時の魔人リデルがいた。エリーゼはとっさに下がり戦闘態勢をとる。


「なんの用!ここはあなたが来るような場所じゃないはずよ」


リリー立ち上がり、いつでも動けるような体制で言い放つ。


「いや、申し訳ない。場違いなのはわかっているのですが、実はヨシアキさんにお詫びしなければならない事になってしまって、謝りに来たのです。ついでに近くの店でケーキを買ってきたので、どうぞお召し上がりください」


リデルはケーキの箱を見せながら言っている。


「そんな嘘が通用するとでも思いですか?そのケーキには毒でも盛っているのでしょう」


リリーやエリーゼは疑っているが、俺はそうは思えない。


「何が目的かは知らんがこいつの持ってきたケーキは普通のケーキだ。サーチで確認したから問題ない。とりあえず、中に入って何がどうなって俺に謝らなければならないのか話せ」


「本気なのヨシアキ!?」


ふたりが正気なの!?といいたそうな顔をする。


「マジもマジ、大マジだ。本当に何か伝えることがあるからここへ来たんだろう。何が起こっても俺が責任を持って処理する」


リリーとエリーゼはリデルをにらみつけているが、リデルはニコニコしている。


「わかったわ、あなたがそう言うなら責任をちゃんととってよ」


リリーが折れてイスに座りなおした。


「了解」


「それでは中に入らせていただきますね」


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