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第17話

第17話


「またこのパターンか……」


気が付くとベッドに寝ていた。二日連続になると同じネタは使えないし、まだ酔いが残っているのか頭がハッキリしない。……まだ眠い。再び目を閉じて、寝返りをする。


『ムニュ』


なんか手に当たった?……試しに手で揉んでみる。なんかどっかで触ったことあるような気がするが思い出せない。触り心地がいいから別にいいか――――やっぱり気になり、ふと目を開ける。


まぁ、なんてことでしょう。リリーが隣で眠っているではありませんか!?ってことは俺が揉んでいるのはもちろん……


「ん?おはよう。私の胸を堪能できたかしら?」


リリーが目を開けてそう言ってきた。


「お、おはよう」


そう答えるが胸から手が離せない。何か言い訳はできないものか……


「昨日は大胆だったわね。酔った勢いとはいえ、ベッドに押し倒して私のはじめてを奪って……」


リリーは両手をほほに当ててそう言ってきた。


は、はじめてだと!?そう言われて驚きのあまりようやく胸から手を離す。なんで思い出せないんだ。今こそ覚醒の時だ!全ての記憶を呼び覚ませーー!!って、よく考えたら酔うと寝てしまう俺が襲えるわけもないし、ベッドを確認してみるが血の跡もない。


「酔って寝るタイプの俺が襲えるはずないだろ!!それに血の跡がねーじゃねーか!!」


そう言いつつ、魔法でキレイにしましたとか言われたらどうしよう……


「わかっちゃた?でも、胸だけでこんなに興奮するなら、本番はどうなるのかしら」


リリーはおちゃめに言っている。胸を揉まれていたのに平然と答えるなんて……


「胸揉まれてなんで平気なんだよ」


「恩人に対してのお礼なんだから問題ないわ。それに胸なんて脂肪の塊、飾りよ」


そんなセリフを言えるのは持つ者だけだ!!ついでに、俺は女性の胸なら巨と虚、どっちでもいける派だ!


「その言葉、エリーゼの前で言えるならどうぞ……」


俺のセリフにリリーはとっさに手で口を隠した。


「ごめんなさい。今のエリーゼに絶対言わないで」


そういえばエリーゼが見当たらない。それに恩人ってなんだ?


「エリーゼはどこに行ったんだ?それに恩人って何のことだよ」


「まず、エリーゼだけど私も知らないわ。ふたりでヨシアキを挟んで寝たんだけど起きたらいなかったわ。恩人というのは、昨日の魔人から私達を守ってくれたからよ」


エリーゼも一緒に寝てたのね……居場所については、わからないと。しかし、昨日の出来事で恩人扱いとは――


「昨日のは特に何もしなかっただろう。あいつの攻撃は威嚇射撃で当たらなかっただろうし、勝手に退散しただけで、俺が何かしたわけでもないだろう」


リリーは首を振って否定する。


「そんなことないわ。ヨシアキがいたからこそ魔人が手を出せなかったのよ。私とエリーゼだけだったら死んでいたでしょう。それにもし、ヨシアキと一緒にいられなかったらあの森を抜けてこの国から出ようとしていたの。だから、あなたが何と言おうとも私達の恩人なのよ。恩人にお礼をしたいと思うのは当然のことでしょ」


そういうことなら否定することでもないな。


「それなら今後アルコールが入った物を飲まさないようにしてくれ」


アルコールを摂取するたびに寝るようじゃ心配だ。


「そんなことでいいの?」


「さっきのも含めたらこれ以上はもらい過ぎだ」


リリーの頭をなでながらそう言った。


「そうですか。お嬢様、ヨシアキ様おはようございます」


突然のエリーゼ登場により俺はベッドから飛び降りた。


「エ、エリーゼさん。いったいどちらにいらしたのですか!?」


「いえ、おふたりがいい雰囲気となったらいつでも『ぎしにゃん』できるようにと部屋を出ていたのですが……ヨシアキ様は玉無しなのですか?」


男に言ってはならないそれを言われるとは失敬な!


「失礼な!!これでも童○ちゃうわ!!」


「では不能ですか?その歳で立たないとは……」


いつぞやと同じようにハンカチを取り出して、お涙ちょうだい状態――もう放置でいいか……


「それとお嬢様。何やら胸がどうこうと言った話が聞こえたのですが」


一芝居終わったのか、反応しない俺から、さきほどの話していた内容から標的をリリーに変えた。


「リ、リリーには着替えがあるから俺は先に下で茶でも飲みながら待ってるぞ」


急いで部屋を出た後、ふたりが『早い』とか『無理』とか言うようなセリフ聞こえたが、リリーの胸発言で怒っていらっしゃるであろうから巻き添えにあわないようとっとと降りる。


~~☆~~☆~~


朝食を食べ終えて俺達は報告のためにギルドに来た。昨日と同じで人がほとんどいない。


「おはようございます。ヨシアキさん達は、もしかしてマスターに用ですか?」


どうやら受付嬢のマリサさんは俺達のことを覚えていてくれたみたいだ。


「ああ、マスターいるか?」


「はい。今すぐマスターに知らせるので少々お待ち下さい」


そういって裏方の子に伝えてしばらく待つとまたその子が帰ってきた。


「マスターが部屋に来てほしいそうです。この子がお連れしますのでついて行って下さい」


言われたとおりについて行きマスターの部屋に着いた。


「こんなにも早く来ると思わなんだぞ。まあ、座ってくれ。それにしても、まさかだと思うが、もう魔人を倒したのか」


イスに座って信じるかわからんが報告をする。


「そのまさかだ。昨日の魔人と出会った。魔人は倒していないがここから立ち去ったはずだ」


「そうか。倒せなんだか……しかし、いなくなったのなら問題ない。さすが勇者だな。城にいる片割れ勇者もこれぐらいやってくれればいいのだがな」


まさか俺が異世界人とばれていたとはな……それに正也は片割れ勇者なんて言われているのか。


「俺は勇者じゃないぞ?というか勇者は城にいる奴だけだろ」


苦し紛れに言ってみるがマスターは報告書らしき紙を見せながら、


「残念だがネタはあがっている。少しの時間だが、城について調べていたらお前さんが異世界人だということはすぐに調べがついた。それに、前に城から光が出たのはお前さんだろ?あれくらいことができるなら魔人相手にも対応できたとしてもおかしくはない」


マスターに城について調べさせたらばれるのは当たり前か……これくらいなら問題ない。


「そうね。たしかにヨシアキは異世界人だけど勇者になるつもりはないようだし、誰かに利用されるような男じゃないわよ」


リリーが牽制をいれる。


「わかっておるし、そんなつもりもない。ただの確認じゃ」


マスターはそんな気はないといわんような顔をする。


「それでお城について他に情報はないのでしょうか」


エリーゼがマスターに確認をする。


「そうじゃな……王女様がなぜここにいるのかと思って調べさせたが、噂ではナスカ王国にいる婚約者に会いに行って、ついでに今度開かれる世界大会を観戦するために城を出たなんて言われておるな。これはあくまで噂だから後々、国の正式発表があるはずじゃ。他は時間がなくて調べきれんかったからもう少し時間をくれ」


1日でそんだけ調べられればすごいと思うぞ。しかし、リリーについてが気になるな。(おおやけ)に失踪しましたなんて言えないから、そういうことになっているのかもしれない。


「では、後ほど伺いますのでいつ頃尋ねたらよろしいでしょうか」


「そうだの……依頼の確認の後ぐらいならそれなりに報告できそうじゃ、4日後に1回来てくれ。その時にランクアップと一緒に調べたことを伝えよう」


妥当だな。その間に買い物やら戦闘というよりも魔物の死体に慣れるなどやることはあるな。


「わかった。その間に依頼を受けてもいいんだよな」


「問題ないが受けられるのはEランクまでで、ポイントはやれんぞ」


「報酬が出るのなら問題ない」


「そうね。ヨシアキが魔物の死骸(あれ)に対して慣れるには、依頼を受けるのが一番よね。毎度あれじゃね……」


リリーからダメだしされ、エリーゼからもあれはないと言いたそうな顔をしている……わかってますよ。努力しますよ。


「それでは、用事も終わったようですし、ヨシアキ様の買い物に行きましょうか」


エリーゼから提案される。


「そうだな。んじゃ案内頼む」


「4日後はマリサに言ってくれれば、わしの部屋に通すように手配しておく」


「わかったわ」


「んじゃ、マスター頼む」


こうして平和な日々が来ると思っていたがあんなことになるとな……

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