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第9話

第9話


朝になり、王さんと何かあると面倒になりそう(出て行った後に指名手配とかされるとマジでメンドイが、そん時は容赦なく消し去る)何か言われる前にとっととおさらばしたいが、正也に別れのあいさつを言ってから行こうと思い正也の部屋に行った。


「吉晃さん、本当に行っちゃうんですか。まだこの世界について知らないことがたくさんあるのに……今からでも考え直せませんか」


正也が俺を引きとめようとしているが俺はあんなやつらとかかわることはもうしたくない。


「悪いがそうするつもりは全くないな。世界については旅をしながら覚えればいいさ。正也も嫌になったら勇者やめていいんだからな。俺達は被害者なんだ。わざわざ魔王を倒す義理もないんだからな」


そんな俺のセリフに正也は首を振る。


「ううん、やっぱり見過ごせません。僕は僕のできる範囲でやってみます。どうしても無理だとしたらその時は吉晃さんに助けを求めますよ」


陽気な顔をしてなんてことを言いやがる。こんなセリフ言われたら、ここのやつらに注意しろなんて言ったら今後の生活に支障が出そうだな。常に疑って生活するなんて辛いだろうし。そうなった時は自己責任でいいか。


「おいおい、俺を頼りにするな。お前にかかわる=この国にかかわるになんだから俺を巻き込むなよ。まあ、俺から一つ忠告だ。どんなに正しいと思うことでも、それはお前の考えだ。必ずしもそれが正しいとは限らない。だからちゃんと裏を取ってから行動しろ。じゃーな」


「わかりました。また、どこかで必ず会いましょう」


こうして正也と別れた。


~~☆~~☆~~



「さてと、残りの人生どうすっかな?」


城を出て軽く歩いたが、まだどうするか決めていなかった。金はあるが異世界に来てニートはないし、世界を見て回ろうとも考えたがそれだけじゃつまらん。やっぱり異世界といえば、第1候補である――


「ギルドで働いてみるのはいかがでしょう」


「俺の考えが読まれた!?そしてなぜにメイドさんがいる?」


いくら城から近いからってなぜにメイドさんがいる?ってこのメイドさん俺達の世話をよくやってくれたメイドさんだ。


「それについては私から説明しましょうか?ヨシアキ様」


そしてなぜか上品な素材ではあるが旅の格好で表れたリリシア王女。腰には剣まで装備とは、まあ想像がつくけど。


「おおかた、姫さんが俺について来ると言ってそのお世話役としてメイドさんを連れてきたのだろう?」


「改めまして、わたくしはリリシア様の専属メイド、エリーゼ=ランフォードと申します。気軽にエリーゼとお呼び下さい。ヨシアキ様どうぞよろしくお願いいたします」


そう言われてメイドさんを改めてまじまじと見た。栗色のおかっぱで背は正也とほぼ変わらないから170cmくらいか、胸は普通で年上のきれいなおねーさんって感じだな。


「ヨシアキ様、どこを見ていらっしゃるのですか?」


エリーゼから冷たい目線を感じる。やっぱり女性はこういうことには敏感ですな……


「いや、なんでもない。それにしても、王様の命令か?そうじゃなくても連れて行くなんておことわりだ」


「いいえ、私の意思でヨシアキ様について行くこうと思ったのです。父には、置手紙をしておきましたので大丈夫でしょう」


リリシア王女が平然と答えたが、それって家出にならないのか?


「だから、連れて行かないって言ってるだろ。それに置手紙で済ましたなんて、王さんが俺のことを王女誘拐で指名手配するんじゃないのか」


今朝の懸念がよぎる。


「ヨシアキ様に対して問題が起こるようなことは絶対になりません。そうですか?わたくし達を必要でないと?」


絶対にないって本当かよ……エリーゼへの答えだが、


「ああ、必要ないな」


実力は世界1だろうし、金に困るようなこともない、他に困るようなことはたいていなんとかなるだろう


「そう?ならしかたがないわね。私達は予定通りにヨシアキ様を追うということでこの国から旅立ちましょうか。ヨシアキ様は読み書きできない、世界常識はない、物価がわからないなど、多くの困難がありましょうが私達には関係のないことですし」


そう言ってリリシア王女達が立ち去ろうとする。


そういや、まだ文字を教わる前に飛び出してしまった。まあ、文字や世界常識は田舎者として知らないで通せるかもしれないが物価をしらなかったらぼったくられるし、法律なんか知らないと危ないことに巻き込まれるかもしれない……


「ちょっと待ってくれ。なんで王女が城を出たがるんだ?」


俺のセリフに反応してくれ、ふたりは立ち止り振り返ってくれた。


「あなたには関係のないことでしょうがまあいいでしょう。あなたと同じく、単にこの国の人間に嫌気がさしただけのことよ。呼び止めたのはそれだけですか?」


「い、いや、えーっと、そのー」


今更どの面下げてお願いすればいいのかわからんな。


「リリシア様、ヨシアキ様をいじめるのは、ほどほどにしませんと王様みたいになりますよ」


「それもそうね。もう一度聞きます。私達が必要ですか?」


ふたりが笑っている。仕組まれてた!!まあいい、利用するだけ利用して後はおさらばすればいいか。あの城の人間だが、城の腐った連中とは別の部類になるから例外としてもいいだろう。あの城の連中のせいで、この国の住人全てが悪人と決めつけるわけにもいかないしな。


「わかった。しばらくの間だけだからな」


「わかったわ。あなたもエリーゼも私のことは私のことはリリーと呼んで。私がいくら顔を知られていない、期待されていない王女であっても名前でバレる可能性もありますし問題になるから」


「わかった、俺のことはヨシアキでいい。にしても、期待されていないってどうゆうことだ?」


実力についてはわからんが、今までのやりとりでただもんじゃないことは分かる。なのに期待されていないとはどういうことだ?


「そのことについては後々説明するわ」


リリーの顔が一瞬暗くなったが、聞いたらまずかったか?


「リリシア様、リリシア様をそのように呼ぶなんてわたくしにはできませんので、お嬢様で妥協してくださいませんか」


メイドさんが俺の失態をなかったようにするためかマイペースなのか……できれば前者であってほしい。


「ほんとはリリーって呼んでほしいのだけど、貴方の格好からすれば、どこぞの貴族の娘と使用人ふたりと見られるから別にそれでいいわ」


「おいおい、俺がリリーの使用人ってひどくないか?ふつうに考えればそうしか見えないけど」


気品のある美少女とメイドさん、それにさえない冒険者。


どう考えても貴族の娘がお忍びで旅をしているようにしか見えない。メイドさんを引き連れている時点でお忍びにならんとは思うが――


「それでは、なごやかなムードになったところで、ギルドへ向かいましょう。ギルドはここから東にあり大きな赤い看板があるのですぐに分かりますのでついて来てください」


そう言ってメイドさんことエリーゼは振り返って歩き出したが……ってちょっと待て!


「おい、俺の勘違いでなければそっちは真逆の西じゃないのか」


エリーゼは極度の方向音痴なのか?


「なるほど、やはりヨシアキ様は悪い方ではないようですね」


振り返ったエリーゼは、なぜか確信を持ったような顔をしてうなずいている。


「自分の間違いをそんな解釈をするな!!」


全く、こんなんで大丈夫なのか。


「いえ、さきほどはわざと間違えました。もし、ヨシアキ様がわたくし達と本当にかかわりたくないのであるなら、道筋はお教えしたので、さきほどのやりとりを理由に、わたくし達を置き去りにしてご自分一人でギルドに向かえばよかったのです。常識のない田舎者が都会のギルドでひと儲けしようとすることはよくあることでございます。聡明なヨシアキ様がそうしなかったということは、ヨシアキ様はわたくし達を必要としている。あるいは、悪人ではないということになります。これまでのヨシアキ様のご様子から判断するに、後者であると思うからです」


エリーゼが淡々と言っているが、だれがそんな考えできるんだよ……


「では、仕切りなおしてギルドへ向かいましょう」


こうしてリリーとエリーゼに連れられてギルドへ向かうことになった。

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