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MAIN TRAFFIC2  作者: 浜北の「ひかり」
Sasago Vocational College Episode:1
9/108

193列車 スパイラルスタート

前回の答えは宗谷本線(そうやほんせん)士別(しべつ)駅。

読み方の通りです。


北海道のとある駅です。

「加賀に住む弟子に会いに行こう。」どこでしょう。

 4月12日。今日から授業が開校する。この先一週間はどの授業も授業らしくない。一番最初は説明だけで終わる。

「ナガシィ。早くいくよ。」

玄関で(もえ)がせかしている。

「分かってる。ちょっと待って。」

「ちょっと待っててさぁ。もう8時45分だよ。早くいかないと遅刻しちゃうよ。」

「まだ大丈夫じゃないの。」

と言いつつも授業で使う教科書類をすべて持って部屋から出た。

「大丈夫。忘れ物ない。」

「大丈夫・・・。あっ。」

「やっぱり忘れ物したんだ。」

(もえ)がそう言うのが聞こえたけど・・・。僕は部屋の中に戻ってすぐに学生証を探した。これがないと授業は出席しても欠席扱いにされる。そうならないためにも。よし。今度こそ大丈夫だといってコーポから出た。コーポを出て数歩歩くと、

「あっ。学生証忘れた。」

(もえ)が声を上げた。

「ナガシィ。ちょっと荷物持ってて。すぐに取って来る。」

と言ってカバンを僕に手渡し、大急ぎでコーポに戻っていった。まだ学校についてないからよかったけど、忘れ物のほうは僕よりひどい。

「はぁ・・・はぁ。ありがとう。」

息を切らして戻ってきた。カバンを渡して、学校のほうへ歩きはじめる。入学式の日に満開になったここの桜並木はだんだん葉っぱが目立ってくるようになった。だが、散る桜はまだきれいだ。

「ナガシィ。ちょっとストップ。」

(もえ)が声を掛けた。携帯(ケータイ)を取り出したからここで写真でも撮るのだろう。僕はそう思ったけど、携帯(ケータイ)を持ったまま(もえ)は僕の後ろで何かしている。

「・・・まさか。」

「正解。」

「あっ。もう。ここまで来てもそれするの。やめて。」

「ほら。早く行こう。」

「ちょっ、ちょっとこれ恥ずかしい。」

「別にいいじゃん。ナガシィ見た目は女子なんだから。」

「関係ねぇよ・・・。」

何にしても僕は(もえ)のおもちゃであるはどこに行っても変わらないまま行くのだろうか。正直この格好は平百合(ひらゆり)たちには見られたくない。その間に(もえ)が取ってくれるとは思えないし・・・。緑地公園(りょくちこうえん)に通じる道を上がっていく。緑地公園(りょくちこうえん)に行くスーツ姿のサラリーマン。今ここを歩いているようでは遅いのではないかと思ったが、その人も笹子(ささご)の中に入っていった。笹子(ささご)にはスーツを着る日が定められている。しかし、スーツを着る日は火曜日。今日は木曜日。日も間違えているのではないかと思った。

 笹子観光(ささごかんこう)につくとはずは鉄道学科の教務室のほうに回る。ここでいつも出される毎日プリントを提出するのだ。

「トラベル・鉄道学科、鉄道コース、1年、永島(ながしま)です。失礼します。」

と言わなければならない。ここはもちろん受付にもこのようなことを言わなければならない。さすが将来の即戦力を育てるための学校である。他の専門学校がどのような方式をとっているかは知らないが、他もだいたい変わらないだろう。

「はい。おはようございます。」

入ると難波(なんば)さんがいた。今現在この部屋の中にいるのはトラベルコースの担任と鉄道コースとトラベルコースを受け持っている講師一人。

「おはようございます。毎日プリント提出に来ました。」

「分かりました。」

難波(なんば)さんに手渡してからこの部屋から退室する。退室時ももちろん「失礼しました。」と言わなければならない。僕が部屋から出てから、(もえ)が同じ手順で部屋の中に入った。(もえ)を待っていると女子が来た。入学式の時に覚えた草津(くさつ)高槻(たかつき)平百合(ひらゆり)は顔が一致するようになったがまだ全員覚えきれていない。

「・・・。」

「おはようございます。」

挨拶をしてきたら返さなければ。

「失礼しました。」

(もえ)が部屋から出てきた。するとこの人は驚いたようだった。

「えっ。坂口(さかぐち)さん。」

「あっ。おはよう。内山(うちやま)さん。」

「・・・そっちの人って。」

「ああ。ナガシィだけど。分からなかった。」

「えっ。あたし坂口(さかぐち)さんだと思ったんだけど。」

だんだん会話が聞きづらくなってきた。

「早く行こう。」

(もえ)にそう言ってすぐここから離れた。一番最初の授業が行われるのは4階。4階まで階段で上がる。この教務室などがある場所は2階。だから、次の階は3階である。4階まで上がってくると顔を隠して歩きたくなった。目線を下に向けて、うつむいた状態で歩く。僕たちが受ける授業の教室は4階の一番奥にある部屋。奥には扉が二つあるが、その右側の教室で受ける。もうちょっとで教室というところで僕は歩みを止めた。先に(もえ)が教室の中に入る。しばらくすると(もえ)が戻ってきた。

「何してるの。早く入りなよ。」

「入れって。まずこれ取れ。」

すると(もえ)に強引に押される形でドアのところまで歩いていかされた。中を見ると平百合(ひらゆり)はまだいない。だが、栗東(りっとう)草津(くさつ)高槻(たかつき)(あかつき)がいた。栗東(りっとう)は僕の顔を見ると「おはよう」と言ってきた。それを返すと、

「にしてもどうしたんだよ。その格好。」

別に驚いている気配はないから、何とも思っていないのだろう。それに感謝して、席に着いた。授業のギリギリまでこの格好のままだったけど、授業前に(もえ)が外してくれた。

 1時限目の授業が終わると次は2時限目。2時限目の授業は鉄道旅行プランニング。どういうことをするのかは大体見当がつく。他に一週間の授業内容を言えば、時刻表の基礎を勉強する時刻表基礎。安全輸送、パッセンジャー概論、鉄道業界研究などなど。専門的なことを学ぶものもあれば、今日の1時限目の授業の社会など一般常識を蓄える授業もある。その授業の中で僕が一番気になっているのは木曜日にある新幹線基礎。いったい何を勉強するのだろうか。

 2時限目の授業が終わると授業がない。学校ではこの時間を休み時間と呼ぶかもしれないが、空き時間と呼んでいる。この間にご飯とかを食べればいい。僕たちは7階に向かった。7階にはテーブルといすが置かれている。ここは模擬結婚式とかが行われない限り、自由に使っていい。

「外か中かどうする。」

(もえ)に聞いた。(もえ)は中のほうがいいといった。なので、中の端にあるテーブルに腰掛けた。

永島(ながしま)。」

見てみると高槻(たかつき)だ。

「座っていい。」

「いいよ。」

と答えると高槻(たかつき)が腰かけた。

「なぁ、お前次の時間にある管理者対策って受ける。」

と聞いてきた。管理者対策ってどんなことするかわからないけど、僕はその授業を受ける気はない。なんか最初から自分の逃げ道を作っているような気がするからだ。確かに就職の幅が広がるというのはいいことだが・・・。

「受ける気はないけど。管理者関係で受けるんだったら各種運賃だけかなぁ・・・。」

「各種運賃ねぇ・・・。じゃあ、国内観光地理とかも受けないわけだ。」

と言った。

「そう言えばさぁ、入学式の時に行ってた「荒天(こうてん)草津(くさつ)」ってどういう意味。」

「えっ。ああ。お前知らないっていってたなぁ。」

「何その「荒天(こうてん)草津(くさつ)」って。」

「うちのクラスに草津(くさつ)いるじゃん。あいつのあだ名みたいなもんだよ。」

と言ってから説明が始まった。

 草津(くさつ)高槻(たかつき)は小学3年生からの鉄道仲間らしい。その時から草津(くさつ)高槻(たかつき)も鉄道の写真を撮っていたそうだ。あって数か月しかたっていない夏。高槻(たかつき)草津(くさつ)にどちらがフォトコンテストで上位に入るか競ったそうだ。高槻(たかつき)の写真は選外だったが草津(くさつ)の写真は審査員特別賞に入った。その写真は雨の中を疾走する16両の100系新幹線。「涙雨(なみだあめ)」。この年の人間には難しい構図を撮りきったという意味で雨と雪をものにする天才。荒天の天才ということで審査員がコメントの中に「荒天(こうてん)草津(くさつ)」と言ったのがそれの始まりだそうだ。

「まぁ、ただそれだけのことだよ。」

ここで高槻(たかつき)の説明が終わった。僕は無性にその「涙雨(なみだあめ)」を見たくなった。しかし、それは草津(くさつ)に言わないとだめらしい。高槻(たかつき)がその写真を持っていないからだ。

(もえ)。」

声のした方向を見ると木ノ本(きのもと)留萌(るもい)だ。木ノ本(きのもと)留萌(るもい)もマックスの袋を持っている。僕たちがコーポに歩いていく時に使う緑地公園(りょくちこうえん)から出るところにあるマックスで買ってきたのだろう。

「ふぅ。いやぁ、ここにはマックスはにおうから持ち込み禁止とか言う人がいなくていいなぁ・・・。」

木ノ本(きのもと)が独り言を言った。それを聞いた高槻(たかつき)は頭に抱えた。なんで高槻(たかつき)が頭を抱える必要があるのだろうか。

「なぁ、木ノ本(きのもと)だっけ。その人他に何か言ってなかった。」

「えっ。他に。確か・・・スライド携帯(ケータイ)は折りたたんで、折り畳み携帯(ケータイ)はスライドして壊すっていってたっけ。」

「他にもPFPをやってるの見つかったらゲームショップに売って、顧問の育毛費になるとも言ってたなぁ。」

僕が続けた。留萌(るもい)もそのことを考えている。いったい何があったっけ。考えていると、

「後、変なあだ名もつけられたよねぇ。」

「あのバカ姉貴・・・。」

高槻(たかつき)がそうつぶやいた。なぜ姉貴なのか。あの人と高槻(たかつき)には何か接点でもあるのだろうか。

「なぁ、どうしたんだ。さっきから様子が変だぞ。」

木ノ本(きのもと)が聞くと高槻(たかつき)はそんなことどうでもいいというように、

「なぁ、そいつまだ変なこと言ってないよねぇ。」

「多分言ってないと思ったけど、どうしてだ。善知鳥(うとう)先輩でも知ってるの。」

「ああ。知ってるよ。岸川高校(きしかわこうこう)出身。お前らが1年の時は3年生。今は瀬戸学院大学(せとがくいんだいがく)の3年生。」

「なんでそこまで知ってるんだ。」

「知ってるもなにも・・・だって。茉衣(まい)は俺の・・・だから。」

「えっ。」

木ノ本(きのもと)留萌(るもい)、僕の目が点になった。

「えー。」


もしこういうことがあったら本当に世の中狭いって思いますよね。僕が言った先でこんなことありませんから当然フィクションです。


あと。これはいっておくべきことだと思うので・・・。物語中に存在する人間はほとんど地元の方言でしゃべっているという設定です。これはMTの59レ前後の後書きにも記載しましたが、理由は関西弁以外方言を知らないということと、すべてにおいて方言の知識が非常に乏しいためです。しゃべっている言葉は標準語(多分)ですが、ご了承ください。

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