191列車 そんなはずでは・・・
前回の答えは根室本線札内駅。
銀行というのはお札のこと。内で家です。
北海道のとある駅です。
「津波に絶対に負けない浜辺。」どこでしょう。
なお、今回は瀬戸学院大学のほうのストーリーです。
4月9日。瀬戸学院のほうは入学式も終わって今日から開講する。そして、サークルに入る人は今日からサークル決め。と言っても学校としてはそんなにはっきりとしたくくりはないそうだ。
(うーん・・・。サークルかぁ。別に入ろうなんて思ってないしなぁ・・・。)
考えながら歩く。はっきり美術系のサークルがあっても入る気はなかった。考えてみれば、将来デザイン系の仕事に就こうとも思っていないし、はっきり何をしようが自分の自由という状態。サークルでやっていることが将来を決めるとも言い難いし・・・。
「あっ。ちょっと。」
誰かに呼ばれる。その方向を向いてみると明らかにサークルへの勧誘だと思った。
「あたしはサークルに入る気なんて・・・。」
というと開いては自分の手をつかみ、
「ちょっと来てよ。」
(聞く気なし・・・。)
「えっ。あっ。ちょっと。」
その人に無理やり引っ張られる形になって、さっき歩いてきた方向に連れ戻されていった。
「なぁ、今頃善知鳥のやつなにしてるんだ。」
「何って。それは聞かなくても想像ついてるんじゃないか。」
「それはそうだけどさぁ・・・。いい加減やめろよなぁ・・・。おめえらもああいうのやられてどうだったんだよ。」
3人に聞いてみた。
「別に僕は何とも思いませんでしたけど。まぁ、最初からサークルに入るつもりでしたし。」
「そりゃ、神足はな・・・。」
「なんだかんだ須磨だってここに落ち着いてるじゃないか。」
「うるさいな。いつだってこっちはやめるつもりだよ。」
「のわりには今年も続けてるじゃないか。」
ガラッとドアが開いた。そして、
「連れてきたぞ。今年の新入部員一人。」
と声を上げた。
「新入部員ってなお前・・・。まだ新入でも何でもないだろ。お前が無理やり連れてきてるだけなんだから。」
「さぁ、入って。」
「うわぁ・・・。」
その声で一人床にたたきつけられた。しばらくしてから、床ともろにぶつかったところを擦ってその子が起き上がる。
「イタタ・・・。」
「大丈夫か。彼女。」
と聞かれた。そのほうを見てみれば、男子の顔がある。そして、あたりを見回してみれば、小さな部屋にまた何人も男子がいる。
「あの・・・ここは。」
自分を覗き込んでいる男子に聞いてみると、ため息をついてから、
「交通サークルの部室。」
と答えが返ってきた。
「なんだ神足。いきなり彼女作りか。」
「なわけありません。その前にこの人に彼氏がいるかもしれないじゃないですか。」
しばらく自分の頭が整理できないでいた。交通サークルということは、自分はバスとかそういう方面のサークルの部室にいるということになる。自分は部活に入るわけじゃないし、ここにいる理由もないとだんだん分かってきた。
「あの。部活には入る気ないんで。」
というと先輩たちは誰も止める気配は無かった。入る気もない部活だし、先輩たちも自分が入るということは期待してないみたいだから、このまま部室の外に行っても文句は言われないだろう。荷物をまとめてドアを開けようとするとドアが開いた。それにびっくりしていると自分の前に人がたっているのが見えた。そして、次の瞬間にはまた床に自分の身体があった。
「あのなぁ、何でお前は連れてくるんだよ。セールスより質悪いぞ。」
「いいじゃん。これでもう一人ヒロインが増えたぞ。」
「・・・。」
黙ったままでいる先輩たち。それにしてもこの人のテンションが異常だ。
「あのなぁ善知鳥。この人たちは迷惑してるんだからさぁ、無理に連れてくるとか、無理に引き留めるとかするなよな。」
「でも、淀屋橋さんだってネヤチャンを無理やり連れてきたじゃないですか。」
「あのなぁ。それとこれとは話が違うだろ。」
「あん。僕は泰雅の兄貴に無理やり連れてこられてませんよ。それとチャン付けやめろ。」
淀屋橋という人とネヤチャンという人はあきれた声で善知鳥という女の人に言った。
「えー。せっかくヒロインこれで3人にしたのに。」
「関係ないから。」
またドアが開いて入って来たのは男子。別に善知鳥という人に連れてこられたわけじゃないし・・・。その人も同じことを言っていたから部活の先輩だろう。全員の呼び方が膳所さんとなっていた。
「あのぅ。あたしはこれで帰っていいですか。」
善知鳥という人に後から連れてこられた女子がそう言うと善知鳥という人は何とも云わずに自分たちを返してくれた。さっきの言い分からして本当は返したくないんだろうけど。
外に出ると自分より後に連れてこられた人が話しかけてきた。
「ねぇ、あなたもあの善知鳥って人に無理やり連れてこられたんだよねぇ。」
「えっ。うん・・・。」
と答えると開いては何かを思い出したようだ。
「あっ。名前言ってなかったね。永原萌っていうの。よろしく。」
「あたしは黒崎梓。よろしく。」
とは答えたけど・・・。萌っていう名前は坂口と同じかぁ。もしかして、萌という名前には鉄道マニアというつながりでもあるのだろうか。そうだとしたらこの人も結構な量の知識を持っているはずだ。
「あたし、高校は岸川だったけど鉄道のことは全然詳しくないよ。」
と言ってきた。安心したというと嘘ではないかぁ・・・。次に自分の高校がどこか永原は聞いてきた。宗谷と答えると別に何も言わなかった。宗谷は有名な部活動がないからだろう。
「あいつはここに来ると思ってたのになぁ・・・。」
ふと独り言が聞こえてきた。
「えっ。」
というと永原はあわてたような表情をする。
「あっ。岸川って鉄研あるでしょ。その中に鉄道にメチャクチャ詳しい人がいてさぁ。その人大阪の専門学校のほうに行ったんだけど、もし専門学校に行かなかったらここに来てたのかなぁって。」
(・・・萌の彼氏のことか・・・。)
「なんてね。知らないよね。」
確かに。でも大方見当はついている。多分永島のことだ。下の名前は忘れてしまっているから、断定にはならないかもしれない。そもそも永島ということだけを知っているだけで漢字はどう書くかなんてわからない。多分「長島」だと思うが・・・。
「・・・永原。」
「萌でいいよ。」
「・・・萌。その人のことさぁ、もしかしたらだけど、永島っていう人じゃない。」
「えっ。そうだけど。なんで梓が知ってるの。」
「いや、あたしの高校にその永島っていう人と親しい人がいてさぁ、その人も大阪の専門学校に行ってるわけよ。だからもしかしたらその人なのかなぁって思っただけ。」
「梓好きなの。」
「違うわ。彼氏は別にいるし。」
「へぇ・・・。」
(また余計なこと言っちゃった。あたしのバカ、バカ、バカ、バカ、バカ、バカ。)
「大阪で今頃何してるのかなぁ・・・。」
頭の中で自分のことを責めていても永原のそういう声は聞こえてくる。これは永原が永島のことを好きだと思っているのではないだろうか。そう思ったけど、今これのことには触れないほうがいいと思って、これ以上話をするのはやめることにした。まさか、あの抜けている人に彼女がいるだなんて思っても見ないだろう。
「梓って電車のことなにかわかる。」
「・・・分かると思う。ふつう女子はそんなことわかんないって。大体、男子だってそういうこと知らない人のほうが多いだろ。それが分かってるっていうのはよっぽどのオタクでないと。」
「ですよねぇ・・・。でもオタクの男子ってそういうことって機械とかって言わない。」
「いや、そういうこと言ってなかったし・・・あっ、でも、萌は言ってたなぁ。」
「えっ。あたしはそんなこと言ってないけど・・・。」
(面倒くさいなぁ・・・。)
「それは分かってるよ。宗谷であたしの友達に萌っていう人がいたってだけの話。その人がそんなこと言ってたなぁってこと。」
「機械的に覚えてみる。電車のこと。永島君の話を聞く限りではすごく面白そうだし。だって電車がしゃべるとかってことも言ってたぐらいだし。」
(・・・ファンタジー。それともトーマス。)
「よしっ。・・・。」
「はっ。」
永原の言ったことに思わず目が点になった。
翌日。あってからまだ1日もたってないのに永原とは親しく話せるようになった。もちろん永原にも幼馴染というか彼氏がいることもこの日のうちに知ったことであるが・・・。苗字だけはややこしかった。放課後。同じように交通サークルの部室に行くと先輩たちも同じ表情をした。もちろん、善知鳥先輩以外。
「入ってくれるのはありがたいけど、ついてけるかなぁ。」
一人心配そうに言った。
「何言ってんだよ。大体ここには電車のこと全く知らない人だっているじゃないですか。」
「それあたしのこと。」
「善知鳥はちょっと黙ってろ。」
と言ってから、
「俺はここの部長の向日町だけど、どれぐらい分かってるかなぁ・・・。女子でも新幹線ぐらいは分かるよなぁ・・・。」
と言った。それには自分たちもうなずく。
「じゃあ、ここら辺のJRってどこが管轄してるかわかるか。」
JRは聞いたことがあるが、それ以上のことは知らない。というかJRには大きな会社が大阪やほかの地域にも支社を置いているように支社があるのか。それを今初めて知った。
「新幹線って聞いて思い浮かべるのってどんな感じのやつ。」
「えっ。新幹線ってあの丸い顔をしたあれですよねぇ。」
(0系かぁ・・・。古っ。何年前の話だよ。)
「京都に行くには東海道線の上り線か下り線どっちに乗ったらいける。」
「えっ。上り線ですよねぇ。」
「・・・ずぶの素人っていうのはいま嫌って程よく分かった。まぁ、よろしく。」
「よーし。覚えてやるぞー。」
永原が張り切ってそう言うと、
「覚えるのはいいけど、無理だな。ていうか、女子なんだしそう言う方面詳しくならなくていいから。ぶっちゃけ。」
向日町さんは苦笑いしながらそう言った。
今回からの登場人物
向日町章 誕生日 1990年7月26日 血液型 AB型 身長 172cm
淀屋橋泰雅 誕生日 1990年4月16日 血液型 B型 身長 168cm
寝屋川一真 誕生日 1991年8月20日 血液型 AB型 身長 168cm
神足勲 誕生日 1992年8月1日 血液型 A型 身長 162cm
須磨俊悟 誕生日 1992年12月27日 血液型 B型 身長 169cm
梓かわいそう・・・。
でも、これじゃあ抜け出しずらい状況・・・。
向日町章
由来は東海道本線向日町駅。
淀屋橋泰雅
由来は京阪電鉄淀屋橋駅。
寝屋川一真
由来は京阪電鉄寝屋川市駅。
神足勲
由来は東海道本線長岡京駅。
旧駅名が神足です。
須磨俊悟
由来は山陽本線須磨駅。