220列車 進化
さてさて、年代が戻ってきました。
1.名前は?
木ノ本榛名です。
2.男?女?それとも阿部さん?
女です。
3.学生?社会人?
学生です。
4.好きな番組は?
番組かぁ。鉄道旅行ネタ。
5.今、何してる?
深夜徘徊。
6.愛読書は?
鉄道雑誌。
7.もし、自分の子供が同じ進路を志したらどうする?
同じ進路。やめときなさい。
8.部屋に小説は?
あるわけないじゃん。
9.最近の悩み事?
全然ないよ。あるとしたら、御堂筋線の30000系が見たい。
10.怖い話は苦手?
好きでもないし、嫌いでもない。
11.鉄道ネタなら。好きな車両は?
好きな車両かぁ・・・。EF66電気機関車とEF65電気機関車。
12.皆さんにすすめたいもの(なんでもあり)
深夜徘徊。
13.好きな歌・アーティスト?
VVVFって歌に入るよね。
14.好きなスポーツ?
ソフトボール。
15.生まれ変わるなら男性、女性どっちがいい?
男性がいい。そのほうがいろいろと都合よかった。
16.嫌なことは?
皆から女の子らしい趣味持ちなさいって言われること。
17.自分が嫁って言っちゃうぐらい好きなもの?
海馬の青眼の白竜。いや、あれは嫁じゃないでしょ。
18.最近はまっているもの(何でもアリ)?
地下鉄乗りつぶし。浜松無いから。名古屋は乗車経験なし。東京はややこしすぎ。
19.一番行ってみたい時代?
時代。ソフトボールがサッカー抜いて1位になった時代。
20.これまでの悔いは?
男に生まれたかったです。
21.一番行ってみたい場所は?
空。
22.自分の手元にあったらいいなって思うもの?
タイムマシン。
23.自分にもし裏があるとしたら、それはどんな性格?
男の性格。
24.自分の理想の立ち位置はクラス何位?
目立たないところ。
25.一番立ち会いたい現場はどこ。
お母さんが働いているところ。
7月17日。今日からクレペリン検査の補習授業がある。15日連続。土日関係なしに行われる。自分はここでどうしても早くなりたい。難波さんはDランクにいる人は確実にAランクになると言っているけど、そう簡単になるものとは思えない。いったいどんなからくりが待っているのだろうか。自分を信じて15日間難波さんにしごかれることだ。
「おはようございます。それでは始めたいと思います。」
難波さんはそういうと全員にクレペリン検査の用紙を配った。と言っても本試験の用紙ではない。本試験のコピーだ。半分ぐらいはあるだろうか。
クレペリン検査の補習を受けに来ている人は前列右端から順番に僕、萌、栗東、高槻。2列目は平百合、草津、内山、今治。3列目は瀬野、蓬莱、百済、長万部、留萌。この人数で行う。いったいどんな秘策が待っているのだろうか。
「それでは、今から始めたいと思いますが、皆さんにはこれを計算して・・・していただきます。」
(えっ・・・。)
その言葉にあっけにとられた。たったそれだけで早くなるものなのだろうか。今僕の限界は1分間50が限界だ。たまに60近く行くことはあるが、60以上計算できた試は今まで一度もない。
「そして、皆さんには1人1列ずつ順番に行ってもらいます。今回はこっちで勝手に順番を決めさせていただきます。」
難波さんはそうことわってから、今からやるからくりの順番を決めた。順番は1から難波さん、僕、萌、栗東、高槻、平百合、草津、内山、今治、瀬野、蓬莱、百済、長万部、留萌の順番。
「それでは超ゆっくりで始めます。」
難波さんはそういうと、計算をスタートした。
このクレペリン検査補修での鉄則としてはとにかく計算についていくことが大前提である。それをすれば確実に計算量が増えるらしい。ものは試しやってみるしかない。
「2、3、5、1、7、4、1、0、5、6、3、9、4、1、0、2、7、5、8、7、4・・・。」
クレペリン検査はどうすればいいのかは結構前にも言っている。隣り合う数字を計算し、もし答えが二桁となる場合は答えとなる数字の下一桁を書けばいい。今はとにかく鉛筆を動かすことだ。
「5、3、7、2、6、3、0、7.智ちゃん次お願いします。」
と言われた。
「はい。えー、2、1、3、6、7、1・・・5、9、0、7、3、5、3、5・・・4、1・・・えー、9、7、8、2、1、6、8・・・えー、5、4。」
僕は難波さんがそうしたとおりに。いや、そうしろというとおりにそれを行った。もうわかっているかもしれないが、これは全て答えを言っているのである。つまり、僕が担当する最初の隣り合う数字は7と5。これを計算すると12になる。そして、クレペリン検査の原則の通りに答えを7と5の間に書くと2となる。それを口で言いながら、鉛筆で書く。この動作の繰り返しなのだ。しかし、僕の言い方には波がある。これは僕が苦手とする9が絡む計算もしくは、息継ぎである。9が絡む計算を行うとそのあとのペースがどうしても狂ってしまう。
(クッ・・・。えーと9+3は・・・。)
「2、7、1、5、7、1、3・・・。」
時折躓いて、ペースを上がり、また躓いて、ペースが上がる。それの繰り返しである。
「5、3、1、9.」
これで僕の担当する列が終了した。今度の3列目の担当は萌である。
「1、6、9、・・・2、3、8、5、2、6、・・・2、4、6、2、8、1、3、・・・。」
萌は終始ゆっくりとしたペースで進めていく。やがて萌の列が終了し、今度は計算の早い栗東にバトンが渡される。
「えー、6、9、4、7、5、1、2、3、7、5、8、3、5、0、1、5、0、8、4、・・・。」
さっきまでの僕や萌とは打って変わって、とてもペースが速い。僕はすぐに追いつけなくなってしまった。こうなった場合、補修での鉄則は書いていることに専念すること。しかし、今の僕には栗東がどこを言っているのかまったくわからない。仕方ないから今の実力で栗東が終了するまで栗東の列を書き続けた。僕が3分の2ぐらいに行こうとしていたところで栗東は全て言い切った。
栗東が終了すると高槻。高槻も計算はそこそこ速い。だが、まだついていける。高槻が終了すると平百合。平百合の計算にも十分ついていくことができる。平百合の次は草津。草津の計算も結構速い。栗東程ではなかったものの途中からついていけなくなった。草津の次は内山。これまでのペースから一気にスローダウン。全部の計算をゆっくりやった。内山の次は今治。今治も内山クラスのスローペース。今治が終了すると瀬野。瀬野は内山や今治より計算は速い。今までのスローペースで気が抜け気味だがまだ気を引き締めよう。瀬野が終了すると蓬莱。蓬莱もそこそこのスピード。蓬莱が終了すると百済。百済のペースが一番ついていきやすいかなぁ・・・。百済が終了すると長万部。長万部もそこそこペースが速い。長万部の列が始まってちょっとしたところで、計算した数字を間違え、それで僕は躓いた。そしてそのまま長万部の列が終了した。長万部の次は留萌。さすがJR東海の運転士の娘である。計算スピードも結構速い。長万部よりもペースは速めか・・・。
これで一回り。しかし、まだ3列残っている。その2列のうち1列を難波さんが担当した。
「5、3、8、1、7、1、8、2、4、7、5、0、1、3、2、7、6、9、3、7、5、8、7、9、0、3、
5、7、2。」
(えっ。何これ。いじめ・・・。)
難波さんは今の僕の取ってはメチャクチャのペースで計算を進めていく。栗東と同じようにすぐにどこを言っているのか見失った。そして、列の半分ぐらいで難波さんは右端まで行った。
「はい。お疲れ様でした。今日はさわりだけですので、これで終了いたします。あっ、あと。言う順番決めておいてくださいね。」
難波さんはそう言って、僕たちにこの先この部屋を使うかということを聞いて、出て行った。ということで第1日目クレペリン検査の講習は終了した。
「はぁ。栗東。お前ないだろ。あの速さ。」
終わると高槻がそう言った。
「いやいや。最後の難波さんのほうがいじめだぞ。俺ついていけたけど。」
(どんだけだ。)
「はぁ。ていうかさぁ、智ちゃんと優君と海斗君いじめ。全然ついていけなかった。」
と蓬莱。
「だよなぁ。全然ついていけなかった。なんか恐ろしいペースで計算してるなぁだった。」
瀬野が蓬莱の意見に賛成した。
(・・・そんなに恐ろしいものか・・・。)
「萌除外するってことは萌には付いていけたんだ。」
「えっ。だって萌ちゃん結構詰まってたもんね。」
(・・・クッ。)
「でも、智ちゃんは波があるからさぁ、優君みたいにサカサカ行かないんだよねぇ・・・。」
「しょうがないだろ。俺9が絡む計算苦手なんだから。」
「えっ。9が絡む計算が苦手。」
「まさか。9なんてたす数字を一つ少ない数字にすればいいだけじゃん。」
草津がすかさず理屈を言った。
「いや、頭では分かってるんだって。でも、時折どうすればいいか忘れちゃうってことがあって・・・。」
「へぇ。意外だなぁ・・・。」
「オープンキャンパスに来た時に俺は9の計算が苦手だねって難波さんに言われたもん。」
ストーリー中では言われていないが、言われたのは事実だ。僕は9が絡む計算が苦手。確かに計算してみれば9の苦手さがよく分かる。よく躓いているのはすべて9のせいだと言ってもいいくらいだ。
「まぁ、先に順番決めちゃうかぁ・・・。」
というわけで、あみだくじで順番が決められた。今度は1番から順番に高槻、今治、長万部、草津、僕、蓬莱、萌、平百合、栗東、瀬野、留萌、百済、内山となった。
しばらくたつと近畿が加わった。近畿が加わるのと入れ替わりにほとんどの人は家路についた。今実習室に残っているのは高槻、草津、近畿、僕、萌、平百合、瀬野、内山になってしまった。
「・・・。」
僕はシャープペンを持って、やら無かったクレペリン検査後半戦と前半戦の残り2列を練習でやった。もちろん声に出してである。これだけでクレペリン検査の作業量が増加するのであれば僕は惜しまないつもりでいる。百マス計算も応用するが、自分で問題を作って実践するのもいいかもしれない。
昼ごろになると、瀬野も内山も家路につき、昼以降もしばらく残っていた平百合も家路についた。残ったのは高槻、草津、近畿、僕、萌だけになった。
「さて、勉強するかぁ・・・。」
草津が全員を促して、勉強を進めた。
翌日。昨日発表された順番プラス難波さんでクレペリン検査補習授業。相変わらず栗東と難波さんのところはついていけない。昨日ついていくことができなかった草津や長万部や留萌には付いていけるようになっている。
「・・・。」
自分の順番が回ってくると自分でも速くなっているのではないかというのが実感なくわいてきた。
クレペリン検査が終了すると僕は萌に一つ頼み事をした。
「なぁ、萌。ちょっと1分計ってくれない。」
「いいよ。」
萌は時計を用意して、
「よーい。スタート。」
と言った。その瞬間に僕はシャープペンではなくクレペリン検査の時に使っている鉛筆を持って進めた。今やっている場所はクレペリン検査の練習を兼ねて行われる問題を正規の方向で見た場合逆さまになる数字の集まりである。
(えっ。ちょっと長すぎるんじゃない・・・。もう1分たったでしょ。)
もう2列目の後半に来ている。そしてすぐに3列目に移った。(補修で使う用紙に書いてある計算量は1列24計算である。)
「・・・。」
「やめっ。」
萌のその声で鉛筆を置いた。
「えーと、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、・・・。」
僕はこの1分間で計算した量を数えてみた。
「59、60、61、62、63、64、65、66・・・。」
(ウソだろ・・・。)
自分の中で計算した量がおかしいのではないかと思った。しかし、萌がちゃんと一分計ってくれたのだ。今更、1分以上計っていましたなんてことはないだろう。
「・・・。」
萌が覗き込んだ。
(ウソっ。たった2日でここまで上がったの・・・。)
前まで50数個が限界だったのだ。10個ぐらい計算できる量が増えているのだ。間違っていない。難波さんについていけば、1分間100個も夢ではないだろう。
時には騙されてみてはいかがでしょう。
クレペリン検査は作中でも述べていますように、一桁の簡単な足し算です。3から9までの数字の足し算で、答えが簡単な1、2、0が絡む計算は一切ありません。
作品もそれにできるだけ即させていますが、不勉強で2が絡む計算が含まれていると思われますので、ご了承ください。ご指摘を頂ければ、随時訂正いたします。




