285列車 年末
12月に入ると文化祭への準備の話が着々と持ち上がってくるようになった。話を聞く限りでは今回の文化祭は前と同じように商店みたいなのをクラス展はするらしい。模型をいじりたい人はそのまま模型組として借り出されるそうだ。まぁ、それはそれだ。僕の今の考えはそういうことよりも、学校が終われば、鉄道で噛むことは沿線警備ぐらいしかないってことのほうだった。これ以上やってもどうにもならなさそうだっていう理由でそう言う進路に自分がしたんだ。文句を言うつもりはないけど、どうも納得ができないところがまだある。未練しか残っていないってことか・・・。
(萌の言ってたあれなぁ・・・。書くとしても今こういう状況っていうことも書かなきゃいけなくなるんだよなぁ・・・。そういうのを書くのはあれかなぁ・・・。)
ふと前から考えている小説のことを考えてみた。萌は策士なのだろう。あの後一緒に小説を投稿してどっちがアクセス数で勝てるかっていう勝負を持ちかけてきた。半ば強制投稿を迫られる状態ではあるが、いいだろう。本心勝負する気はどこにもない。ただ、他人にこういうこととか全く話す気にならない僕の考えを少しでも多くの人が触れる機会になるとも思った。萌の言うとおり自分の軌跡、伝記・・・とは言えないがそういうものを書けたらなぁって。それに鉄道研究部の話は考えてみればかなり笑いを取れる部分があると思う。オタクっていうのはまぁ置いといて、そういう範疇から見なければ受けるのではないだろうかっていうことで高校の時から書いてみることにしたのだ。実際のところもう投稿だって始めている。まぁ、それの反響はそこそこって言ったところだ。
「おい。何考えてるのかなぁ。」
萌はつんと頬に手を当ててくる。
「まぁ、先の展開とかそういうのだって。」
「最近そういうのばっかだよね。考えるの好き。」
「まぁ、設定だけだったらね。話を書くのは苦手なんだけど。」
「そう言えば、二人とも小説書きはじめたんだっけ。」
木ノ本が聞いてきた。
「そうだよ。」
「どういう話なのさ。」
「私のは内緒。呼んでくれるんならタイトル教えるけどね。」
「ちょっ。それやったら張り合いないじゃん。」
「ナガシィのもついででいいから読んでくれる。」
「はは・・・。二人のはすごい濃そうだからやめとくわ。てか、永島話考えて書く暇あるの。ちょっと前まで小説読んでなかった。」
「読んでたよ。でも、もう全部読み切っちゃったから。」
「読み切ったって。それで暇になったから小説書くのか。すごいなぁ、理由が。」
「まぁ、萌が一緒に書かないって言ってきたからほぼ強制的に乗せられたっていうのが・・・ヒャ。」
「乗せられたって何さ。乗せられたって。」
「冷たい・・・。お願いだからやめて。」
(相変わらず仲いいなぁ・・・。)
「アハハハ・・・。」
そんな話をしながら、5階のカウンターがある部屋に行く。今は研修旅行のこととかを話し合っている。今年の研修旅行は箱根に行くのと松山に行くのと二つの案があったが、早期就業で働きに出ている人が西日本に集中していることから、全会一致で松山に行くことが決まっている。2かっていう行程をフルに活用するために行きしなは今回もフェリー。出港する港は去年と同じフェリーターミナルからで、行き先は四国の真ん中ぐらいにある東予港っていう場所だ。一時は坊っちゃん列車に乗るという案もあったのだけど、40人ぐらいで押しかけると全員が乗りきらないということが分かったため、近くの鉄道歴史パークに全員で行くことも決まっている。問題は近くの東予港からそこまで行くのにどうするかということだった。案で出ているもので、東予港の最寄り駅まで歩くことか直接伊予西条にある鉄道歴史パークまで歩いていくことのどちらかになっている。そのことも今日決めることになっている。その時間というのは今からの時間だ。
数分後、担当の講師が入ってきて、授業開始の号令で始まる。授業が開始されたら、後はこちらがすることだ。司会をするのは留萌と蓬莱だ。早期に・・・まぁ、そういうことにしておくか。
「でどっちがいい。」
留萌がみんなにそう聞く。何度も言うが、早期就業組はいない。
「面倒だし多数決にしない。」
蓬莱がそう言う。
「じゃあ、みんなどっちがいいか手あげてよ。まず、川之江駅まで歩いていきたい人。」
最寄りの川之江駅は東予港から3キロぐらい離れている。歩くと45分ぐらいかかる。と言ってもこれはふつうの速度で歩いた場合だ。もしここを歩くことになったら、僕たちは大きな荷物を抱えていくことになる。つまり、45分以上の所要時間を見込む必要がある。となったら60分ぐらいかかるだろう。もう一つの直接伊予西条に行く場合は7キロぐらいの行程で、ふつうに歩くなら1時間40分ぐらいかかる。だから、大荷物を抱えているなら2時間ぐらいはかかるか・・・。どちらがいいということを考えれば、全部荷物を抱えて歩いていくことは考えない。最寄駅まででいいからあるくことでいいか。それにそうなれば、いろいろと痩せれるか・・・。いや、ガリガリの僕が言うことではないか・・・。僕はこっちで手を挙げた。こっちの書体は草津、今治、萌と少ない。
「じゃあ、直接歩いていくほうは。」
こっちで上げている人のほうが多い。ということはこれで決定ということか。これでどっちに行くかということは決まった。後は他の自由行動を決めていくところだ。
半は二つになることが決まった。一つは犀潟、長万部、蓬莱、留萌、木ノ本の班。もう一つは僕、草津、高槻、今治、萌の班だ。後この二つの班にある程度分けて早期就業に行っている人が入ってくることになる。でも、もう行かないって決めている人もいるらしい。今日はあまり決まることはない。まず行くっていうことで決まったのは松山城だけだった。
それから数日後。難波先生のお達しで川之江駅まで行くことに決まった。さすがに直接行くことは無理っていうことになったようだ。それに蓬莱たちも納得したようなので、そういうことになった。
(ハァ・・・。どっか行ってみたいなぁ・・・。)
研修旅行とは別でどっかに行ってみたい気になる。正直内定もらったらどっかに行こうっていうことは計画していた。そして、それは今100パーセント満たされることになった。内定はすでにとられている。
(だけど・・・。)
そう。内定を取ったのは鉄道会社じゃない。本来ならば、家族で行きたいって思ってはいたけど、それはできない。それに、どこかに行くっていうこともできないだろう。このまま行くっていうのは気が引けてならない。だから行くとしたら北海道以外。それと単身で行くことになる。それか、萌がついていくかのどっちかだ。
「ふぅん。どこ行こう・・・。」
「また、どこか行くこと考えてるんだ。」
どうやらつぶやいていたみたいだ。萌がそう言ってきた。
「あっ・・・まぁ。」
「で、どこ行きたいって思ってるのかなぁ。」
ちょっとだけ考える。
「・・・まぁ、ちょっと前までなら北海道行きたいなぁって思ってたけどさぁ。」
「北海道かぁ・・・。ナガシィって北海道行くの好きなの。」
「ただ単に雪が見たいだけだよ。」
「えっ・・・。そのためだけ。」
「いいじゃん別に。普段見れないんだから。」
「こっちにいても見れるんじゃないかなぁ・・・。大阪でも雪降ることはあるんでしょ。」
「でも、少ないじゃん。冬ぐらいいっぱい雪見たいじゃん。それに北海道にいったことはあっても函館だけなんだって。」
「・・・。」
萌はしばらく何も言わなかったけど、僕に冷たい手が襲ってきた。
「ヒャ。」
「こっちのじゃダメなの。」
「少ないんだってば・・・。降ってくれるかはっきりしてくれればいいのにさぁ・・・。」
「いうことが子供だねぇ。少しぐらい我慢できないのかなぁ・・・。ナガシィ。」
すごくバカにされている感じがする。いや、バカにしてるのか。
「あっ。」
萌はちょっと思いだしたようだった。両手にさらに力が入ってプレスされるみたいになる。
「だから、冷たいってば。」
「そう言えば、ナガシィのところ成人式の案内来た。」
「んっ。ああ、来たよ。」
「で、成人式行くの。」
「行くわけないじゃん。」
「・・・アハハ・・・。やっぱり行かないんだ。」
「なんでいかなきゃいけないのさ。小学校のやつらには会いたくないし、合うといろいろ面倒くさいし。」
「ええ。成人式もしかしたら振袖着るかもしれないのに。それに綾ちゃんや夏紀ちゃんとかよく話してた人たちともあえるんだよ。嫌な人ばっかじゃないでしょ。」
「まぁ、そうだけどさぁ。」
「でも行かないの。」
「行かないよ。萌の振り袖姿だったら写真でも。」
「写真だけ。時には私の晴れ姿を見たっていいじゃない。」
「また、そのうちね。」
「そのうちって・・・。それで見なかったらどうするのさ。」
「まぁ、見ずに逝っちゃったらお墓まで持って来てよ。」
「・・・しないからね。それ。ていうか、何かってん死んでるのさ。私より生きてよね。」
「・・・冗談だって。」
「今のナガシィが言ったら冗談に聞こえないからやめてよね。」
「・・・。」
まぁ、それには深入りしないことにしておくか。萌の振り袖姿かぁ・・・。まぁ、いつか見れたらいいかなぁ・・・。うん。それでいい。それで・・・。
それから数日後。「犀潟君の内定が決まりました。」という内容のメールが来た。犀潟の内定が決まったのは近江鉄道っていう鉄道会社のようだ。
(クソッ・・・。・・・見なかったことにするか。このメール・・・。)
284列車冒頭で書いた小説自己で楽しむためのものってことで設定厨が書き出しました。
「波ノ調」ってね。




