185列車 信じられない
MAIN TRAFFICの岸川高等学校シリーズからの続編です。この小説だけでも楽しめます。また、これらの話をすべて集約したMAIN TRAFFICもございます。そちらもよろしくお願い申し上げます。
そして、しつこいようですが、この小説はフィクションですから、実在する団体とは一切関係ありません。
3月16日。卒業式が終わってからというもの自動車学校のほうに専念するようになった。誕生日の遅い僕は11日までに1段階を終了。何とか2段階に入って何度か路上も走ってきた。そんな僕には車は怖い乗り物でしかなく、運転したくないというのがどんどん本音になっていった。
萌のほうは今日学科。車を運転する人には人それぞれ特性というものがあり、その特性が及ぼす適性というものがある。今回はそれの学科を受けている。
「それでは皆さんに質問します。この質問には自分の思ったことをありのままにこたえてください。考えたりとかしたらダメですよ。」
自動車学校の講師がまずそうことわった。そして、質問が開始される。質問は森と林への分かれ道をどちらに進むかなど。そのような質問が7問出題された。
「梓。4問目って誰の名前書いた。」
隣に座っている黒崎に振った。
「えっ・・・。答えられるわけないだろ。」
黒崎は顔を赤くしてそう答えた。これで書いた人の名前は想像がつく。鳥峨家って書いたのだ。
「そう言う萌はなんて書いたのよ。」
「えっ。ナガシィって書いた。」
「運命の人がいじってる相手とはねぇ・・・。あたしそう言うことは雑用とかって言ってた3問目か7問目に書いたと思ったよ。」
「いや・・・。全部ナガシィって書いた・・・。」
「へぇ。永島君ってそんなにあの質問のストライクゾーンにいたのか。」
「・・・うん。」
だんだんと問題の質問に対するその人の特徴が講師のほうから言われてくる。
「それでは最後。第7問。これに書いた名前の人は自分が尊敬する。自分が越えられない人です。」
それを聞いて目が点になった。
「ウソ・・・。」
小さかったけど、思わず声が出た。
「越えられない人ねぇ。なんだかんだ尊敬してるんだ。」
黒崎は目を細めてこちらを見ている。今の自分にはナガシィが自分の尊敬する人だというのが信じられない。むしろ、自分の尊敬する人が・・・。
休み時間になった時、
「ねぇ、私ナガシィが自分の尊敬する人だなんて思えないよ。」
「おいおい。自分の彼氏に言うことはそれかよ。」
「梓はなんて書いたの。」
強引に黒崎の教習案内を取ろうとすると、
「やめてよ。見せられないって言ってるじゃん。」
ガードが固くなった。特に4番の回答を見られたくないのだろう。
「別にいいんじゃないの。自分の尊敬する人なら、尊敬する人ってことで。」
「ナガシィのどこに尊敬してるの・・・。」
自分に問いかけてみた。思い当たるものなんて何一つない。
「ナガシィって臆病で、カッコいいとは全然無縁で、というかかわいくて、バカなのに・・・。私そんなナガシィのこと尊敬してるわけ。」
「誰が臆病でバカだって。」
と声を掛けたら、萌はびくっと固まって、だんだんこちらに顔を向けてきた。
「ナ・・・ナガシィ。」
「悪かったな。バカで臆病で。」
(あれ。前は誰が臆病なんだよみたいな感じだったのに・・・。)
「ところで萌。お前次ってここで学科。」
「えっ。そうだけど。」
「・・・。いいよなぁ。走らなくていいんだから。」
そう言って萌の右隣に腰掛けた。
授業が終わったら今日は帰るだけ。萌と一緒に帰路に就いた。そして、また次の日も通わなくてはならない。今日は学科だけ。それが唯一の救いのような気もしていた。
3月20日。大阪に赴いた。今日は住むワンルームに入れる荷物の受け取り。それのためだ。萌のほうはもう少したったらということだった。最初見たときの第一印象狭いというのはいまも変わらず。そこに荷物が入ってくるとさらに狭くなる。だが、生活感が増すほど、狭かった部屋は広くなっていくのを感じた。
22日。また自動車学校に。そして、数日後には高速道路に乗り、100キロで高速を走ってきた。そして、数日たつと今度は検定。何とか27日に自動車学校を終えることができた。29日。今度は本免許試験。
「萌さぁ、確か20日なる前に卒検まで行ってたよねぇ。」
「待っててあげたんだから、少しは感謝しなさいよね。」
「そうじゃないでしょ。試験落ちてたんじゃないのか・・・。」
「落ちてないってば。今日が一発目。」
本当かどうかは置いといて・・・。まぁ、免許のほうも合格したことには合格した。即日交付で自分の手元に免許証がやってくる。まぁ、これは専門学校に通っている間には関係のない話なのだが・・・。まぁ、これで自動車学校の縛りから脱出できたのだ。
翌日30日。
「久しぶりに1日遊べるなぁ。」
独り言を言って離れの中に入った。ここでこういうことができるのもあとほんの少ししかない。萌はしばらくすると離れに入って来た。
「ナガシィ。和さんたちって18切符で大阪いったとかってある。」
「えっ。うん。父さんが18切符使って大阪いってるけど、それがどうかしたの。」
「ナガシィ。いつ大阪いくつもり。」
「・・・4月2日。」
「じゃあ、その日一緒に行こうよ。私のほうも18切符あるから。」
「別に一緒に行くのはいいけど、何時にここ出て、何時に向こうにつくつもりだよ。あんまり早く行ってもしょうがないだろ。」
「だから、それの計画立てるためにこっちに来たんじゃない。」
「あっそ。」
立って時刻表を取ってきた。2012年3月の時刻表。これが適用されるのは3月17日以降。当然この時刻表にはダイヤ改正で引退が発表されている100系と300系は表示から消えており、紀勢線のほうは「スーパーくろしお」と「オーシャンアロー」という名称がなくなっている。
「まぁ、簡単に浜松から東海道線で大阪まで行けばいいだろ。」
というと、
「キャッ。」
「だから、ナガシィってその声どっから出てるわけ。」
いつもと同じように僕はくすぐられているだけである。
「ちょ・・・萌。やめてっ。・・・はん。・・・わ・・分かったよ。ふ・・・ふつうじゃなきゃいいんでしょ。」
萌はクスクス笑っている。よっぽど僕をくすぐることがツボのようだ。
「ときには湖西線使っていくのもいいんじゃない。」
「湖西線。面倒だな・・・。」
「面倒って何よ。」
「あっ・・・。分かったから・・・もう。」
ちょっと萌のくすぐられたところを擦って、
「湖西線使うのはいいけど、その分時間かかるよなぁ、接続は十分いいんだけど。」
「ナガシィって、富山行った時に近江塩津まで行ってるんでしょ。だったら、それと同じように行けばいいじゃん。」
「えっ。」
頭の中を整理した。萌の言いたいことは7時06分に浜松を出る普通で豊橋に行き、豊橋で米原行きの特別快速に乗り換え10時03分に発車する新快速に乗るということ。そして、近江塩津についてすぐに来る新快速湖西線経由播州赤穂行きに乗るということである。しかし、それがつかえるのは平日ではない。平日ダイヤは休日ダイヤとは多少違う。
「ちょっと待って。今時刻表見るから・・・。」
僕はそう言って時刻表のほうに目を通してみた。
平日ダイヤで行くと7時06分浜松発は同じ。しかし、次に乗る特別快速が違うのだ7時47分発の特別快速大垣行き。この大垣行きに乗って大垣につき、次に米原方面に行ける列車は9時42分発の普通米原行き。これが米原に到着するのは10時18分。その2分後に琵琶湖線で姫路に向かう新快速は設定されているが、北陸線に入り、さらに近江塩津まで行く列車は11時03分までない。この先のプランを立てていくと近江塩津で11時40分に発車する湖西線経由播州赤穂行きがあり、これに乗っていくと大阪到着が13時28分。
「これでもまだ早いよ。」
「もうちょっとどこ行くとかって考えなさいよ。」
「はっ。だから・・・やめて。」
「私が考えてきたプランがあるんだけど聞いてよ。」
僕は萌にくすぐられたままだ。萌はそう僕の耳元でいってきた。
「き・・・聞くからやめて。」
「じゃあいうけど・・・、」
萌はそう言ったけど、僕のことをくすぐったままだ。
(はぁ。僕いじらないと欲求不満なのかなぁ・・・。いい加減やめてほしいんだけど。)
「ナガシィが今見た感じで大阪まで行って、それで宝塚線のほうに入って新三田まで行って、新三田から戻って尼崎着たら、今度は地下鉄東西線で放出まで行って、放出からおおさか東線に乗って、久宝寺からは「大和路快速」で大阪まで戻ってくればいいじゃない。」
(普段乗ったことのない路線を乗るってことね・・・。)
ここで萌はくすぐるのをやめた。僕が脇とかを擦っていると、
「ねぇ、ナガシィ聞いてる。」
「きっ。聞いてるからやめて。」
「・・・ナガシィ、そこまで警戒しなくていいよ。」
クスクス僕のことを笑っている。よく僕のことをくすぐって来るけど、別にくすぐりおさめってわけでもないのに・・・。なんでだろう。
「ていうか。それ回ってこれるのか。最低7時ぐらいには入っておいたほうがいいと思うけど。」
「だから、それを調べてほしいんだ。」
「・・・。」
福知山線の時刻を出して、13時28分以降乗れる列車を探ってみた。そして、萌の言ったとおりに設計すると、13時35分発、快速宝塚行きがある。宝塚で乗り換えるとして、14時03分発普通新三田行きに乗る。新三田に到着して、14時40分の「丹波路快速」に乗り、尼崎到着が15時15分。このすぐ後に発車する東西線の列車が設定されていたが乗れないと思い15時25分発。これで放出について15時50分。この時間から接続するおおさか東線の列車に乗って久宝寺に16時11分。乗り換えで「大和路快速」に乗ってくると大阪に16時37分。まぁ、いい具合に時間がつぶれた。
「後、くろしおの287系も見たいから。その時間にある。」
「ああ。17時20分の「くろしお22号」はちょうどそれ。」
「じゃあ、それで決まり。ありがとう。」
そのあとはいつもと同じように模型をいじった。
31日。ちょっと工程に変更が出た。浜松発車が7時19分。それから豊橋乗り換えで8時02分発の特別快速に乗ることになった。そのあとの工程は変わっていない。そして年度の変わる4月1日。使い慣れているパソコンはちょっとの間オアづけになるため、今の最新情報をあさっていた。画像検索で225系と掛けたときだった。
(225系の6000番台・・・。223系の6000番台の間違いだろ。)
半信半疑で225系を今度はウェブ検索してみると・・・。
「萌・・・。ちょっと。」
「えっ。何。」
萌がパソコン画面を覗く。
「えっ。宮原にも入って来たんだ。これ・・・。」
「ああ。・・・もしかしたら当たるかもしれないぞ。225の6000番。」
「当たりたくないよ。死んでも。」
しばらくの間画面にくぎ付けになっていると、
「どうにかしてよ。ナガシィ。」
「キャッ。ぼ・・・僕にあたるな・・・。」
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なお、先のシリーズはほぼ毎日更新をしておりましたが、こちらは月2回(毎月1日・16日)の更新とさせていただきます。
これからもMIAN TRAFFICシリーズ(この先の略記MT)をよろしくお願いします。