トロッコ問題を知っていますか?
それではあなたに質問します。
はい?
自分がここに呼ばれた理由がわからないですか?
私達は事故調査委員会の者です。
はい。
あなたがあの事故とは何の関係の無いことは把握してます。
あなたはアンケートに答えたことはありませんか。雑誌とかお店とかのプレゼント企画の応募にさりげなくついている記入項目です。年齢、性別、職業などです。
そのデーターは集められ、秘密のはずの個人情報が正確にわかるようになるのです。
たとえば、あなたが家族も友達もいないことを、私は把握できるのです。
周囲とのつながりが薄いあなたは、選ばれたのです。
あなたはトロッコ問題を知っていますか?
思考実験の一つで、こんな問いです。
トロッコが暴走しました。このままでは、暴走先のレールにいる五人が死んでしまいます。あなたは切り替えポイントいるので、暴走したトロッコを別のレールに切り替えることができます。その場合、切り替えた先のレールにいる一人が死んでしまいます。あなたが何もしなかった場合は五人が死にますが、あなたがトロッコの進路を変えた場合は犠牲者は一人に減ります。でも、それは、あなたが介入しなかった場合は死ぬことがなかった人です。
さて、あなたはどうしますか?
いえ、答えなくてもいいです。
ですから、答えないでください。
このトロッコ問題をあなたに話したのは、あなたの答えを聞きたいわけではなく、この手口は非常に有効だと説明したかったからです。
たとえば、あなたがこのトロッコ会社の社長だった場合に、安全予防の措置を怠ったことを誤魔化し責任転嫁するときに、この方法を使うのです。
トロッコが暴走して人が死んだのは、切り替えポイントにいた奴が判断を誤ったからだと。
その人の選択によって犠牲者が出てしまったと主張するのです。
ここで大事なことは、その人が実際に切り替えポイントにいなくてもいいことなんです。
いたことにしてしまえばいいのです。
つまり、何の関係もない者に、全ての責任を押し付けることが可能になるのです。
それでは、話を元に戻します。
これから、あなたに質問をします。
答えなくてもいいです。
いえ、答えないでください。
あなたの答えはこちらが用意してあるので。
トロッコ問題のたとえはまわりくどかったですね。
では、直接的に言います。
いま世間が激怒している大量の死者をだしたデパート火災事件。
その責任をあなたになすりつけます。
これからあなたに質問をします。
あなたがどんな答えをしようが、私達の用意した答えが記録に残ります。
では、これからあなたに質問します。
どうして、あのとき、あんな選択をしたのですか?
おわり




