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私は誰なの?~突然女子高生の幽霊になった私の物語  作者: 星野 満


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26/26

26. 美樹ちゃんは漢!

※登場人物紹介


◇ 首なし女子高生幽霊(私)………湖の精霊?


◇ 上杉 美樹(うえすぎみき)………桜花高校一年時、別荘の湖で溺死

◇ 明智 詩織(あけちしおり)………同高校二年生 美樹の親友

◇ 織田 海斗(おだかいと)………同高校二年生 美樹の幼馴染

◇ 北条光(ほうじょうひかる)………同高校二年生 美樹の従兄


◇ 上杉 京香(うえすぎきょうか)………美樹の母親

◇ 上杉 エリック(うえすぎえりっく)………美樹の父親

◇ 北条 武士(ほうじょうたけし)………美樹の叔父 光の父親

◇ ◇ ◇ ◇


 


「美樹はね、一旦は直ぐに怒っても直ぐに醒めちゃうタイプなのよ。昔からそういう娘なの。私の夫、マイケルが美樹をそう(しつけ)てきたから」


 京香さんは楽しげに言いました。


「『ミキ、ヒトヲニクムト、ジブンガ、イキグルシクナルダケ。ダカラ、オコッテモ、スグニワスレナサイ』って!」


「マイケルさん、あ、美樹のお父さんが?」詩織ちゃんが呆けた顔で聞き返します。



「ええそうよ。あの子は顔も性格も父親そっくり。とにかくあっけらかんとしてるのよ。ずっと恨み続けるなんてできない娘よ。だから子供の頃も、学校でハーフとか悪口いわれて怒ると、直ぐに頭を冷やしたいのか水に潜るの。東京では屋敷の温水プールによく飛び込んでたわ。──ふふ、あなたたちのキスシーンみて、美樹はショックでカッカしちゃったのね。それで湖に潜ったんだろうけど、あの子は水につかれば直ぐに切り替えられる。そんな(たくま)しい娘だと私は信じてる。」


「叔母さん……」

 詩織ちゃんは両手で口を押えました。


「だからね、だから叔母さん、なんとかしてこの日記の中を()けて、美樹がどんなことが書いてあったかあなたたちに見せたかったの。あの子はきっとあなたたちを恨んでなんかいない」


「そうだよ叔母さん……美樹って子供の頃から僕とケンカしても、翌日はケロッとしてた。なんであんな直ぐに変れるんだってびっくりしたよ。逆に僕がイジけてると『光、あんたは男の癖にいつまでもダサいって!』てよくなじられたな、ふふ」


 と北条君が思わず笑みが漏れました。

 まだ彼の頬には涙の痕が残ってたけど、さっきのお通夜のような雰囲気は感じられません。



「俺もそう思う。叔母さん、俺も美樹に子供の時『海斗、男のくせにいつまでもグズグズ気にすんな!』ってよくドヤされたの思い出したわ。どっちが男かわかりゃしない!」


「ああ、織田、あったあった!美樹がよく海斗(かいと)()クソっていってた!」


「そうそう、あいつすげー口悪いんだよ、な、(ひかる)!あははは!」


 北条君が賛同して織田君と大笑いしました。


「ほほほ、そうでしょう、二人よりよっぽど美樹は(おとこ)だったわね」

と京香さんも声を出して笑いました。


 詩織ちゃんも笑ってる三人を見つめて微笑みました。


 それでも──。


「だけど……私」と詩織ちゃんだけ、つぶやいてます。


 京香さんが詩織ちゃんの頭を優しく撫でました。



 ◇ ◇



( ちっ、あたしがいないからって北条と織田の奴ら、人をさんざんコケにしやがって!)


 美樹ちゃんが舌打ちして、私にテレパシーを送ってきます。


(それにしても詩織はグズだな、まあ、そこがあの子のかわいいとこだけどさ。でも一年も経ってんだから、いいかげん元気になれよ!)


 

 ──ふふ、美樹ちゃんたら。


 私は美樹ちゃんの横顔を見つめました。


 美樹ちゃんは頬をぷーっと大きくふくらましていても、皆を見てる顔はとても嬉しそうです。


(あん? 精霊さん、あたし嬉しいよ。それにしても、流石はあたしのママだ。あたしとパパは良く似てる。ママはあたしの事をよ~くわかってる!)


 美樹ちゃんは仁王立ちでアハハハと笑います。


 

 ──そうだね。美樹ちゃん、


 美樹ちゃんは日記を付けてたんだね。偉いなあ、美樹ちゃん。



(うん偉いだろう。こう見えてもあたしは()()()なんだよ)


 

 へえ……。



(そんでさ、精霊さんの力を借りたいといったのはこれなんだよ!)



 ──え?



 美樹ちゃんは私に向かって青い瞳をキラキラと輝かせました。


(あたしの日記の鍵だよ。精霊さんに失くした鍵を探して欲しいんだ!)



 ──鍵?



(うん、あたしあの日、ウェットスーツの腰に付けたポーチに鍵を入れちゃってたんだ。うっかりしてた。あたしの遺体が見つかった時、ポーチは腰になかったらしい。つまり濁流にのまれて湖の中に落ちゃったんだな)


 

 ──あ、そうなのね。


(うん、だから精霊さんの力を借りて湖に落ちたポーチを探して欲しいんだ)



 私の力で?──そんなこと私に出来るの?



( 出来るさ、だって精霊さんは乙女涙の主といわれる鏡湖(かがみこ)人魚(セイレーン)じゃん!)



 私が人魚?


(そうだよ、さあ一緒に湖に潜ろう、時間がない。日が暮れる前に行こう!)


 ──あ!


 と美樹ちゃんは私の手をぐっと掴んでひっぱります。

 

 途端にくるっと(きびす)をかえして、私をひっぱって控室から屋外へと飛びだしました。


 

 ──美樹ちゃん、どこに行くの?


(いいから、あたしの手を離さないで!)


 



 美樹ちゃんはそのまま、あたしをひっぱってぐんぐん高く飛んでいきます。

 

 いつしか空は夕暮れになってました。辺り一面真っ赤に染まってます。


 

 ──うんまあ、何て綺麗なんでしょう。


 

 私は空と湖を見つめて驚嘆しました。 



 湖が陽光に反射されて、今まさにレイクブルーからオレンジブルーへと水面(みなも)がキラキラと光り輝いています。


 私と手を繋ぎながら飛んでいる美樹ちゃんが伝えてきました。


(行先は乙女涙(おとめなみだ)といわれてる島だよ!)


 

 ──乙女涙!


 湖に島なんてあるの?



 (ああ、すぐそこさ、アハハハ!)


 美樹ちゃんが楽しげに笑いました。



(乙女涙の島っていってね。あたしがいつも潜っていた島の入り江があるんだ。いつもはボートで漕いでそこまでいったんだけど、今はひとっとびで島に行ける)



 美樹ちゃん、とても嬉しそう!



(嬉しいよ。ずっと精霊さんのお腹の中にいたから、久々に下界に出てさ。それも空を飛んでいるなんて、まるでスカイダイビングしてるみたい、最高じゃん!)


 

 ──凄い、こんどはスカイダイビングだって!


 空も飛べるし、湖も人魚みたいに潜れるんだもんね。


 あ、そうだった。それよ、海の中で私と美樹ちゃんがどうなっていたのか、それを知りたかったんだ。


 

 

 ねえ美樹ちゃん、私、自分が美樹ちゃんを飲み込んだ後、記憶がないんだけど、この一年どうしてたかわかる?


(ああ、多分わかるよ)


 と美樹ちゃんは空を飛びながら私にこれまでの事を説明してくれました。




※次は14日(水)以降更新予定です。いつも遅れて申し訳ありません。

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― 新着の感想 ―
あっ、そういう漢ね!wそりゃそうですよね♪ほっとしましたw うんうん、気持ちの切り替えが早くできる人っていますよね♪実は僕も割とそうですwいつまでもウジウジしていても良くない場合が多いですもんね(^^…
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