22. 詩織ちゃん、目覚めて……
※2026/1/1 追加修正済み
◇ ◇ ◇ ◇
(でも、詩織はあたしを裏切って織田と付き合っていたんだ)
──え、詩織ちゃんと織田君、付き合ってたの?
唐突に美樹ちゃんが衝撃発言をしたので私は驚きました。
美樹ちゃん、それ……と私が問いただそうとした時。
◇ ◇
「詩織!」
「あ、詩織ちゃん!」
「あ……」
真下をみると、織田君と北条君が発してました。
ベッドで眠っていた詩織ちゃんが、ようやく目覚めたのです。
「あ、織田……君、北条君……ここは?」
詩織ちゃんの大きなつぶらの瞳が、織田君と北条君に気付きました。
その目線は部屋の天井あたりをぐるぐると見回しています。
詩織ちやん、私と美樹ちゃんが空中に浮かんでいるのは見えないようでした。
「水族館の控え室だ。詩織、お前が一周忌の会場で倒れたんだ」
織田君は詩織ちゃんが目覚めてほっとしたのか、くしゃくしゃの笑顔です。
「良かった、詩織ちゃん、ずっと目覚めなかったから心配したよ」
北条君も嬉しそうです。
「ごめんね。みんなに心配かけちゃって」
詩織ちゃんは上半身をベッドから起こしました。
「あ、もう起きて大丈夫か?」
「うん、眠ったせいかスッキリしてる」
「良かった……」
織田君は詩織ちゃんにベッドサイドにあった水差しから、コップに水をいれて彼女に渡しました。
「ありがとう……」
お水を一口、二口飲んだ後、詩織ちゃんは北条君を見つめます。
「あの、北条君」
「何?」
「美樹のお母さんは?」
「あ、さっきまでここにいたんだけど、君を診てくれたお医者さんを送りにいってるよ」
「お医者さん?」
「ああ、君が倒れた時、お医者さんも一周忌に参列してたから診て貰ってたんだ、貧血だったみたいだよ、安定にしてれば大丈夫だって」
「そう……迷惑かけちゃったんだ」
「そんなこと、それより本当に大丈夫?」
「うん……」
詩織ちゃんはそのまま辺りをぐるっと見回して、何か言いたそうな表情をしました。
「ん、どうした?」
織田君が詩織ちゃんの不安そうな表情に気づきます。
詩織ちゃんは小声でいいました。
「あの、二人だけにいうけど……私、倒れる前に美樹が見えたの」
「え?」
「嘘?」
織田君と北条君がいっせいに驚きました。
「ううん、嘘じゃない……本当よ。美樹の映像見てたら、色々思い出しちゃってつらくて泣いてしまったの。その時、私の肩に触れた女の子がいて……その子多分、美樹だった」
詩織ちゃんは震える声で言いました。
「そんな、まさか……」
織田君が苦笑いしました。
北条君は無言です。
「それも……顔がないの。首から下だけ胴体だけで、それも一年の制服着てた」
「!?」
織田君と北条君は絶句したのか、真っ青な顔になってます。
◇
──美樹ちゃん、やっぱり詩織ちゃんは、私の姿が視えたのね!
(うん、そうだね。詩織が妖精さんの姿が見えたのは、あたしが離れたからかも )
美樹ちゃんが頷きました。
(あたし、妖精さんに食べられてから、ずっとあなたの中にいたんだ。あの時、初めて外界に出れたんだ、だから、詩織に見えたのかも)
──え、そうなの?
私はぎょっとしました。
美樹ちゃん、ずっと私の中にいたの?
え、でも頭だけ食べたのよね?
私は何が何だかわからなくなりました。
そういえば、あの時、私の身体は何でも擦り抜けていたのに、あの瞬間だけ詩織ちゃんの肩に、触れることができたのです。
私はしっかり詩織ちゃんの細い肩の感触を思い出していました。
◇ ◇
「は、詩織、多分美樹の映像ずっと見てたから残像、ていうか錯覚だったんじゃないか」
「違う!織田君、あれは美樹だった、間違いない!」
珍しく詩織ちゃんは声を張り上げました。
「詩織……」
「詩織ちゃん……」
「あ、私、やっぱり来るんじゃなかった」
詩織ちゃんは頭を振って両手で体を抱えました。
「私のせいだもん、あの日、美樹が私と織田君を見なければ、湖なんか入らなかった、嵐に遭わなかった!」
「何いってんだ?俺と詩織が何だって?」
「私たちキスしたじゃない!」
「え?」
「忘れた? 一年前、美樹が嵐にあった日、湖の近くの森で散歩したとき、織田君したじゃない」
「え、あの時、美樹いたのか?」
「いたわ、私、キスされた時、林の陰で美樹と目があったもん。あの時の美樹の顔が忘れらない!」
「え、そんな……」
織田君は真っ青になっています。
「もう、なんて鈍感なの!美樹はわたしたちが付き合ってるって知らなかったの!」
詩織ちゃんはとうとう泣き出してしまいました。
──ええ~そういうこと?
嵐の晩に美樹ちゃんが死んだ日に、いや私が食べた日に、そんなことがあったの?
思わず、わたしは美樹ちゃんを見つめました。
美樹ちゃんはじっと詩織ちゃんを凝視しているだけでした。
※ 今年最後の投稿です。なんとか間に合いました。(*^。^*)
元旦以降もどんどん投稿していきます。
このお話もそろそろ終盤です。
投稿なかなか進まなくてすみませんでした。
ここまで読んでくれてありがとうございます。




