19. 詩織ちゃんと美樹ちゃんの出会い
※ 2026/1/4 一部追加訂正済。
◇ ◇ ◇ ◇
宙に浮いている私と美樹ちゃん。
下を見下ろすと詩織ちゃんは未だに眠ってます。
傍らで織田君と北条君が心配そうに見つめていました。
(ふふ、精霊さん、 暗示っていうのはおおげさだけど、あたしが詩織に織田を好きにならないでって、プレッシャーをかけたってこと)
美樹ちゃんは私にテレパシーを送ってきました。
──え、プレッシャーって?
私は美樹ちゃんの顔を見つめて心で聞き返しました。
美樹ちゃんは物憂げな表情に見えましたが、それでも青い瞳がキラキラと輝いています。
( うん、その前に精霊さんにあたしと詩織の関係、少し説明するね)
美樹ちゃんは私に微笑しました。
( あたしと詩織は同じ中学、でも一年の時はクラスは違っててまだ知り合いじゃなかった。ただ、詩織の名前と顔だけは知ってたよ。ほら、ご覧の通り詩織は見た目がとても綺麗で目立つ子だったから)
と美樹ちゃんは、ベッドで寝ている詩織ちゃんを指さしました。
──美樹ちゃんの回想──
詩織と友達になったのは中学一年の冬休み。
ある日、私と幼馴染の織田は北条家に新年の挨拶をした帰り道で、若い男たちに詩織がナンパされてたのを目撃したの。ちょっと不良系の奴らだったから、あたし達は近づいて、そいつらを追っ払ってやった。
織田って空手もやってるからその頃から既に、にょきにょきと背が高くなって、タッパもあったし腕っぷしも強かった。あたしも悔しいけど空手は織田にかなわなかった。
んで織田が空手の型の構えをしただけでナンパ野郎は逃げちゃった。それで詩織はすごくあたしと織田に感謝してくれたんだ。それ以来、あたしたちは仲良くなった。
それまであたしは詩織とは喋ったことなかったから、見た目はツンとしてすましてる、いけすかない女に見えたけど、接したらすっごく大人しい子じゃん!て。
あたしは口が悪いから自分で言うのもなんだけど、女の友だち余りいないんよ。それにこの通り、ハーフで目が青いでしょう。
◇ ◇
──あ?
私は我にかえりました。
(うん、そう精霊さん、この青い瞳がさ、気味悪がれてんの!)
美樹ちゃんは、にこっと笑って片手を自分の眼に当てました。
(子供の頃からあたしの瞳や髪をからかう子が何人かいてさ、小さい時はそれが嫌で、引きこもったこともあったの。だからパパが少しでも目立たないようにって、ブルーレンズのメガネを買ってくれた。それでもいう奴はいたから、外見で差別する奴は大嫌いだったんで、のしてやったの。そしたらそれからは誰もあたしをいじめなくなった!)
──ああ、そうか。美樹ちゃん瞳の色が。
だから、先ほどの一周忌の会の映像で、美樹ちゃんは子供の頃からサングラスをかけていたんだと、私は思いだしました。
(でも、詩織ってあたしの瞳なんか何も気にせず、逆にうっとりした目でみて『エメラルドの宝石みたいに綺麗な瞳だね』っていってくれたんだ。それがとっても嬉しかった。あと、あたしってすぐぽんぽん本音をいうのも正直でいいんだって!)
──ああ、そうなのね。優しい……詩織ちゃんらしい。
その後も美樹ちゃんの過去話は続きます。
※
精霊さん、その頃の詩織もあたしと同じように孤立していたんだよ。
いまよりもっと大人しくて性格も引っ込み思案だったな。
中学入ってから詩織は顔が綺麗だからって、やたらといろんな男たちから付け回されてそれが『とても怖かった』っていってた。
あたしもそんな詩織が可哀そうになっちゃって、二人でいる時に、いい寄ってくるアホから守ってやったんだ。
そしたら詩織が完全にあたしのいいなりになった。
いいなりっていうのか、すごく懐いてきてね、あたしも自分に甘えてくる詩織がかわいかった。
二年になってクラスも同じになって、あたしたちは親友になった。
ごはんも下校もいつも一緒だった。
夏休みは、私のこの別荘に誘ったり、詩織の家にも遊びにいったりしてた。
だからあたしは高校も詩織と同じ学校に行きたかった。
詩織は頭良かったし、ランク高い桜花高校受験するっていったの。
あたしは体育は得意だけど、勉強はあまり好きじゃなかったから高校受験は猛勉強した。
塾も通ったし詩織や北条にも苦手な科目教わってね。
あ、従兄の北条はキザだけど、頭はすんごくいんだよ。
北条もだけど、織田も桜花を受験するって知って、さらに俄然やる気になって勉強したんだ。
で見事に全員合格したよ。
※ 今夜、もう一話更新します。




