第1話 【夏休み】
「あ〜やっと夏休みだぁ〜」
田舎の山奥に住む女子高生大森ひなたは今日やっと夏休みをむかえたのであった。
「ひな〜引きこもってないで散歩でも行ってきなさ〜い」
階段の下からひなたを呼ぶ声が家中に響く。
ひなたは嫌々散歩に出ていく
「ん?なんだ、アレ」
山の中にある小さな古びた公園の片隅にこの世のモノとは思えないほどきらめいた何かのゲートのようなものがあった。
「異世界ゲート?昨日はこんなのなかった……」
ここはひなたの通学路なためこの公園は知り尽くしている。
「は、入ってみようかな?夏休みだしいいっしょ!」
「行ってきまーす!!」
まだまだ好奇心旺盛なひなたは大きな声と共にこの世界を後にした。
「あ、あれ?ここが異世界?」
そこはハワイのように透き通った海が広がる海辺の綺麗な街だった。
「え?やばやば!異世界バカンスじゃん!」
元の世界へ帰ることなど全く考えず状況を飲み込み、異世界を満喫しようとしていた。
「おや?お嬢さん迷子かね?」
そこには新品のような鉄の装備を着た騎士団の男が立っていた。
「ど、どちら様で?」
「おっと、名乗るのが遅れてしまったね、私はグレディス王国の騎士団団員、ディグと申します」
「私の名前はひなた、よろしくね」
2人はお互い変な名前だと顔を見合わせる
「て、て言うか誰が迷子だってぇ!?」
「あら、迷子じゃないんですね、ヒナタ?さん」
少し鬱陶しいと思いながらディグに話しかける。
「ここはどんな国なの?」
「ここは海の綺麗な国だ、僕が暇な程に平和な国ですよ、バカンスには最適なんじゃないですか?」
「いや、聞いてたのかよ、てか、サボるなよ」
「おやおや独り言がもれていますよひなたさん」
ひなたは本当にめんどくさい奴だと察し、お礼を言ってその場を後にした。
「さっあんな奴の事は忘れてバカンスよ!バカンス」
ひなたは胸を踊らせ街へ繰り出す。
あまりの楽しさに時間を忘れ、ひなたはもう夜になっていることに気づく。
「もう夜か〜ってここ円使えなくね?」
その後ひなたは気の良いご夫婦の家に泊めてもらいひなたの異世界バカンス1日目は幕を閉じた。