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キミの世界は青いから……  作者: 白い黒猫
小学校時代
7/31

自分を守る行動を

 公園内にあった地球儀を半分に切った屋根のあるところに案内された。

 屋根の下には丸いテーブルがあり、それを囲むように曲がったベンチが、4つある。屋根は外から見ると地球儀だけど、中から見ると星空になっているようだ。

 テーブルには自動販売機でお姉さんに奢ってもらったジュースとカラフルでオモチャのようなお菓子が並ぶ。


「見て見て~可愛いでしょ! 食べて食べて~」


 お姉さんはそう言ってから。黄色のお菓子を手に取り口に放り幸せそうに笑う。

 俺達も「いただきます」と挨拶して一緒に食べる事にする。口に入れると何か分からないけどフルーツの香りがフワと広がりお菓子は確かに美味しかった。


「ここはね~フランスで今人気なお菓子みたいなの。このフワッフワなスポンジと中の果物をタップリ使ったクリームが特徴なの! 朝から行って一番先頭に並んで買ったから選び放題だったの♪」


 お姉さんは楽しげにお菓子の説明をしている。

 ゴキゲンのお姉さんだけが喋り相槌だけを返す俺達もだったけど、ジッと何かを考えていた様子のヒロシくんが真剣な表情でお姉さんを見上げた。


「ヒカリさん、お聞きしたい事があります。

人間って残情に触るとイライラしたり悲しくなったりするんですよね?」


  お姉さんは「そうよね」と頷く。


「残情が無くても、悲しくなっていたり喧嘩したりしてしまうのはどういう状況なのかな」


 ヒロシくんの言葉で俺の頭にヒロシくんのお母さんの姿が浮かぶ。

 お姉さんは笑みを引き真面目な表情になる。


「う〜ん、それは。その人のいる環境や状況がその人を苛立たせたり悲しめたりしているだけで、喧嘩になるのもその相手に対して本当に怒りを覚えているからなんだと思う……。

 その喧嘩しているのって……」


「俺の両親です」


「それは辛いよね」


 お姉さんは、ヒロシくんの頭を撫でる。


「どうすればいいのかな」


 お姉さんは優しく微笑む。


「キミはまだ子供だからできることは多分ないよ。ただキミのためにキミができることはある」


 ヒロシくん目も瞠る。


「キミの世界を作って。キミが笑って楽しめる場所やモノを見つけるの」


 ヒロシくんは少しがっかりした顔になる。


「お母さんやお父さんのことを見て見ぬふりして、逃げろっていうの?」


 お姉さんは顔を横に振る。


「あのね悲しみや苛立ちって、伝染するものなの。

 だからキミまで悲しみや苛立ちに囚われてしまうと、家族みんなが嫌な感じになるよね?

 だからまずキミだけでもイライラや悲しみから離れないと。

 人間は喜びの力で前に進む力を持てるの。苦しくても前に希望があるから頑張れたり。とにかく楽しみが必要なの! 生きていくために。

 それに子供の仕事は遊ぶことにあるから! それをサボってはダメ!

 あとねニコニコやワクワクも人に伝染することもあるから、キミの笑顔でいることは無意味なことでもないし」


 ネっと笑うお姉さんを前にヒロシくんは頷いたけれど、悩んだまま考え込んだように黙ってしまった、


「ゴメンネ。私は何もできないダメな天部で」


 悲しそうに謝るお姉さんにヒロシくんは慌てて顔を横に振る。


「いやいや! 俺が変な相談してしまったから」


 そう謝るヒロシくんの頬にお姉さんは手のひらで挟む。


「そんな申し訳ないような顔しない! 子供が変に気を使うな! 笑って!」


 そう言いながら手のひらでヒロシくんの頬をグニ〜と上に引き上がる。


「ハヒ」


「キミは可愛いんだから、笑ってさらに可愛くならないと!」


 お姉さんは途中から楽しんでいるよねという感じでヒロシくんのほっぺたを、グニグニ触っている。


「笑え~! もっと可愛くなれ~」


 お姉さんはそんな言葉をかけながらヒロシくんの頬を揉み続けた。

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