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キミの世界は青いから……  作者: 白い黒猫
高校生時代
18/31

呑気な母親

 俺の母親は絵に描いたようないつもニコニコ笑っている『呑気な母さん』。


 専業主婦をずっとしている事で、長閑に家で過ごしているというイメージで、趣味は手芸。


 家の事を済ましたら、パッチワークや編み物を楽しんでいる。おかげでお家の中は母親の作った作品で彩られ、ちょっとカントリー調な内装で結構落ち着く。


 本の整理が手間取り今日は少し帰りが遅くなってしまった。玄関を開けるとクリームシチューの香り。母親が誰かと明るく話しているのが聞こえた。


「ヒカリさんは、そちらはどう? そうお仕事を頑張っているの! いいわね〜」


  相手の声が聞こえない。どうやら電話中のようだ


「……え? ジンちゃん。そうよ私の可愛い息子よ♪

 素直で本当に良い子なのよ〜! ジンちゃんも最近学校が楽しそうで!」


 近所の人とまた俺の話をしているようだ。俺はそんな人様に誇るような息子でもないのに、母親は人に嬉しそうに俺の事を話す。これは母親という生物の困った特性だからと、もう諦めている。


 俺は溜息をつき、母親の視線に入るように動き手を振り、帰って来た事だけを知らせ部屋に行く事にする。


 ぽっちゃりした体型で、今モコモコした服を着ているため、くまのぬいぐるみのようだ。そんなマスコットのような雰囲気だから怒る気も失せる。


 着替えてキッチンに行くと、もう電話は終わっていたようで母親はシチューの鍋をおタマでかき混ぜていた。


「ジンちゃんおかえり! 今日はどうだった?」


 俺は冷蔵庫から麦茶のポットを出しコップに注ぐ。


「ん〜まあ、いつも通り?」


「いつも通りという事は、平和で穏やかってことね♪」


 その明るい言い方に俺は笑ってしまう。


「そういうことかな。最近は特に楽しい」


 俺の言葉にウンウンと嬉しそうに頷く母親。


 母親から白くて優しい空気が溢れる。俺は母親が笑顔以外の表情をしているのをあまり見た事がない。


 他の感情は困ってるという感じの顔。怒っていてもプンプンという擬音が聞こえそうな可愛いレベルの怒り。

 二人で話していると父親も帰ってくる。父親も俺たちに「ただいま」と声をかけてくる。母親の元気な「おかえり」の声と笑顔で疲れからか少し青くなっていた父親がほんわりと黄色くなる。すぐに着替えて寛ぎモードになりリビングに戻ってくる。


「お腹空いたでしょう! 今日はシチューよ! テレビで言ってた裏技使ってみたのよ!」


 テーブルにシチューの鍋の入ったシチューをテーブルにドーンと置く母親。


 晩御飯を食べながらこれぞ一家団欒という和やかな時間が始まる。


 母親自身ではなく、母親の作ったキルトや料理からも母親の心地よい空気が広がってくる。


 なんか童話とかに出てくる良い魔女みたいで、ある意味只者ではないのかもしれない。

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