懐かしい友達
最近図書館で観て面白かった映画はバタフライエフェクト。
【世界で一番悲しいハッピーエンド】というコピーの映画でコチラはタイムループモノ。
写真を媒体に過去の数分に戻れる主人公は、幼馴染の女性を救う為に何度も過去の選択を変え今を変えるが……という物語。
主人公の選択によって劇的に変化する現在の様子も面白くラストに至るまでの物語の流れが最高だった。
自分にはそんなすごい特殊能力なんてないけど、もし自分にそんな能力があったらどう過ごすのだろうか? そんな事も考えてしまった。
主人公がそんな能力を持っていることが幸せなこととは思えないけど、自分の人生を賭けて強い想いで救いたい相手がいるというのも羨ましく感じた。
そんな事考えつつ、サイトに載せる文章を考えながら俺は図書委員の仕事でカウンター業務をしていた。
カウンターの仕事は、図書館内で問題行動を起こす人がいないかの軽い監視くらいで、あまり仕事はない。
というのも貸し出しは貸出機を使って行われているし、検索機もありそこでプリントアウトされる紙にどの棚にあるのかも教えてもらえる。
だから図書委員に態々問い合わせしてくる生徒は少ない。しかも問題行動起こす人も少ないから、少しおしゃべりの声が大きくなってしまった人を注意するくらい。
本読んだり、宿題しながらカウンターに座っている。それが主な委員の時間の使い方だった。
そんなカウンターに近づいてくる人の気配は感じた。
俺はPCのディスプレイから目を離し前にいる人物に視線を動かす。
ズボンが見えて次に青のベースに金のラインの入った校章とアタッチメントベースが見える。
普通部の一年生のようだ。そしてさらに上に視線を動かすと短めの黒い髪で目の端や眉尻は上がっているのに優しそうに見える顔が見えた。
「えっ」
俺は驚きの声しかあげられなかったが、相手はにっこりと笑いかけてくる。
「やはり真田仁くんだよな」
俺は言葉につまりコクコクと頷きしか返せなかった。
「覚えているかな。俺中学校の時一緒だった」
「覚えているよ! 佐藤完くん! びっくりした同じ高校だったんだね」
俺は図書館だというのに叫んでいた。
慌てて周りに謝ってから、再び佐藤完くんと向き合う。
「何で同じ高校にいて気がつかなかったんだろう」
小声で会話を続ける。
佐藤完くんは幼稚園、小学校、中学校一緒だった友達。
本や漫画の趣味も合って行ってよく話もしていた。
そこで俺は少し違和感を覚えたが、佐藤完くんと再会できたことが嬉しかったので気にしないことにした。彼の纏う色は相変わらず青かった。
「この高校広いからね〜学部違うと本当に会えないものなんだね」
それぞれの近況などを語り合い、LINE交換して別れた。
【バタフライエフェクト】は実在する映画です。
そしてコチラ権利関係が何が難しいのか、どのサービスて配信される事がない作品です。
【バタフライエフェクト2】は配信されていたことがありますが、コチラは続編ではなく同じ能力を持った主人公の物語で別物です。
面白いですが、サスペンス要素が強くハラハラしながら見る雰囲気も全く違う作品です。
そんな状態なので、もしバタフライエフェクトを観る機会がありましたら是非ご覧下さい。




