47.波乱の気配
時々マナーの指摘が入りながら、それなりに談笑をしていた。
ラティーナ様は楽しそうでリーティアさんはちょっと呆れながらもどこか嬉しそうに見える。
(そういえばあんまり話せてないってラティーナ様言ってたっけ)
親子であっても公爵家ぐらいの地位となると自由に好き勝手話せないのかもしれない。公爵である父親も中々帰ってこないようだし、ちょっとしたすれ違いはあるのかもしれない。
学校の話を聞くラティーナ様はいつもより表情が明るい気がする。そのおかげで色々と話してしまいリーティアさんには睨まれてしまったが、今までしてもらったことを考慮すればそれもまた致し方ないことだ。
「ラティーナ様」
しばらく話をしながら美味しい紅茶とお菓子を頂いていたらスーラさんがいつのまにかラティーナ様の横に立っていた。
「…………」
「あら、そう。わかったわすぐ行くわね」
「はい」
なにかコソコソと耳打ちをされると彼女の表情が仕事の顔に引き締まった……気がする。
「ごめんなさいね。少し急用が入ったから退室するわ」
「お母様? どちらへ?」
「ふふ、ちょっと王城までね。何やらお呼び出しがかかったみたい」
「そうですか。大丈夫だとは思いますがお気を付けて」
「ええ。二人はこのまま茶会を楽しんで頂戴。それじゃあね」
そのままラティーナ様は立ち去って行った。それにしても王城から呼び出されるということは何か大きなことでも起きたのだろうか。
「お父様は家にいることが珍しいくらいだから何かあるとお母様が呼ばれるのが普通なのよ。たぶんお母様については色々と聞いているんじゃない?」
「うん、何か色々と改革のようなものをバシバシやったって」
彼女は原作者であるがゆえにこの国の問題点というところは熟知しているはずだ。だからこそピンポイントに成果が出る対策を行っているわけで、そのせいで信頼度はめちゃめちゃに高いらしい。
「お母様って凄いと思わない? 貴族とか平民とかそういう括りじゃなくて国全体を良くしようって毎日色々なことをやってるのよ」
「それは確かに凄い……」
「私も昔からお母様に……もちろんお父様にもだけど、広い視野を持って色んな人達のことを考えなさいって言われたわ」
「あーなるほど」
幼少期からそういう風に育てられてきたのなら今の彼女の性格にも頷ける。きっと原作だったら違う教育を受けて貴族主義に育っていたのかもしれない。
「本当、凄いわよね……だけど、それに比べて私は……」
「リーティアさん?」
「お茶、冷めちゃったわね。今日はここまでにして片付けましょう」
「え、あ、うん」
なんだか一瞬もやっとした嫌な空気が流れた気がした。だけどそれは無理やり打ち切られてしまったので聞くに聞けず流されてしまった。
(まあ、明日とかタイミング読んで聞けばいいか)
しかし、私のそんな後回しの考えは王城から帰ってきたラティーナ様からもたらされた情報によって消し飛ばされることになるのだった。
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