41.これからのこと
目が覚めると馴染みのない天井が飛び込んできた。
「あ、ステラさん! よかった、起きたのね」
声の方に顔を向けるとリーティアさんが椅子に座っていた。
「お母さまから急に体調を悪くしたって聞いたけど……具合は大丈夫?」
「あ、ええと、大丈夫だと思う。まさかリーティアさんが看病を?」
「私は偶然いただけなの。ここまで運んだりしてくれたのは使用人よ」
確か、ラティーナ様が私と同じ日本出身でなんとこの世界を描いた原作者であり、それでいて……そう、この世界に飛んできた理由だ。
彼女は何らかの事故に巻き込まれてしまったと言っていた。だから私もそうではないのかと聞かれた。
「……っ」
やっぱり思い出そうとすると鈍い痛みが走る。そう、たぶんこれはフィルターがかかっているのだろう。あの光魔法に覚醒した時と授業に出るようになってから思い出した記憶。きっとこの体が受け入れられる段階になったら思い出すようになっているのかもしれない。
(だとしたらどんな重い記憶なんだ、まじで……)
完全に忘れているわけじゃなく、断片的にピースのような記憶は思い出せる。そう、あれは確か先輩絡みの何かであったはずだ。それもとても大事だった気がする。
「ちょっと、本当に大丈夫なの?」
何とかうまい具合に思い出せないか試行錯誤していたら不安そうな声がかかる。
「あ、ああ、ごめんなさい。本当に具合は大丈夫」
「も、もしかしてマナーレッスンが厳しかったかしら。それでムリが祟って……」
「いや、たぶんそれはないと思う。うん」
他の貴族についてわからないけどたぶんかなり優しい難易度で教えてくれているのはわかった。まず講義の時間も少ないし講師はめっちゃ優しいおかげで変な負担もない。色々と面倒くさがりな私のことを考えているのだろうなぁというのは窺い知れた。
「まぁ、たまに体調を崩しちゃうことはあるから、そういうものだと思うよ。今はもう本当に大丈夫だから」
「……そう? それならよかった。でも無理はしないでね。貴女に何かあったら国から怒られちゃうから」
ちょっと冗談めかしてそう言われる。そういえば光魔法に覚醒したせいで国から保護の名目で学園に入ったことを今更思い出した。
光魔法……光魔法か。
「ねぇ、リーティアさんちょっと頼みたいことがあるんだけど」
「なに? 別に明日は一日寝ていてもいいけれど」
「うぐっ」
まさか彼女からそんな魅力的な提案が来るとは思ってなくて怯んでしまう。し、しかし今ここでそっちを選んでしまうとまじでこのまま休みを終える可能性もある。
ここは心を鬼にして言うほかあるまい。
「その、魔法をちゃんと使えるよう教えて欲しいんだけど……」
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