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22.お母様とステラさん

 自分の部屋だというのになぜか落ち着かない。ソワソワと椅子に座っては立ち上がることを繰り返すのは自分でもおかしいとは思うが、ステラさんとお母様が一体何を話しているのか気になってしょうがない。


「お嬢様、そのように慌てても仕方ありませんよ」

「それは、わかってるけど……」


 お付きのメイドの言葉を受けても心配はつきない。


 お母様のことは心から尊敬している。幼少のころから付きっ切りで色々なことを教えてくれたし、お母様自体数々の偉業を成し遂げてきていた。

 ただ、底知れぬというのは昔から変わっていない。どこか未来まで見据えているような行動には私だけじゃなくて、周囲皆が驚かされているばかりで、お父様もそんなお母様に絶大な信頼と愛情を向けている。娘の前でさえもあまりにも仲睦まじすぎるのはちょっと控えてはもらいたいが。


「でもやっぱり気になるわ! もしかして派閥に引き抜こうとか考えていないかしら……ステラさんは光魔法の適性持ちだし」

「まだ力の内容はわかっていないなら、無理に勧誘などはしないでしょう」

「そう、そうね……」


 お母様からステラさんについてわかったことがあったら手紙で書いて送って欲しい。と連絡があった時はどういうことだろうかと疑問に思ったが、まさか「預言」の力を持っているなんて想像もつかなかった。

 流石に本人から秘密を隠して欲しいと言われていたので、そのこと自体は伏せているがお母様のこと、とっくにそう結論付けていてもおかしくはない。


「だけど一体なんの話をしているのかしら。少しぐらい教えてくれてもいいのに」

「まあまあ、どうぞラベンダーのハーブティです。寝る前にリラックスして明日聞けばいいではありませんか」

「あ、ありがとう……」


 淹れてくれた温かいハーブティがゆっくりと心を落ち着かせてくれる。ともかく今日はどうしようない。お母様が二人きりにして欲しいといえば邪魔するわけにはいかない。


(もう寝ようかしら……)


 今日出来ることはない。ベッドに入ってしまうかと思ったその時だった。


「リーティアちゃん起きてるー?」


 扉の外から暢気な声とノック音が響いた。眠気がぶっ飛ぶ。


「お、お母様!?」

「お嬢様、私が開けますので」


 メイドの彼女は手早く扉を開けると、声の主のお母様が一人で立っていた。


「いやー、帰る前に娘の顔ぐらい見ておこうかと思ってねぇ」

「もうお話は終わったんですか? それと護衛の方々は?」

「護衛は外で待機してるわよ。ステラちゃんもさっき色々と話したけど面白い子ねぇ。貴女が"関心"を示すのもわかるわぁ」


 関心、という言葉が強調された。まだお母様にも話していない、いや話せないことがあるのだが、それももしかしたら……


「そ、それより寮といえども護衛もなしに歩くのは不用心です。ちゃんと護衛はつけてください」

「大丈夫よー、私だって護身ぐらいできるもの」

「そういう問題では……」

「まぁまぁ、とにかく今回はありがとうね。貴女の手紙がなかったらとっても強い方々を連れてこれなかったわ」

「やっぱり……ただの護衛ではなかったのですね」

「そりゃそうよ。王家お抱えの魔物に対してのエキスパート達なのよ」


 どうりであんなにあっさりと片付いたわけだ。というかそういう方を簡単に借りてこれるお母様の影響力が怖い。


「さて、リーティアちゃんが元気なのも確認したしもう行くわね。帰って色々と整理しないと」

「……はい。その今日はありがとうございました」


 でも、そんなお母様だからこそ尊敬できるし、好きだ。出来ればもっと学校での話とかしたかったけど多忙なのは知っている。我慢しなくては。


「……もう、そんな寂しい顔しないで」

「わ、ぷっ」


 そしてそんな思いが透けていたのだろう。お母様は優しく微笑むと優しく私を抱きしめてくれた。


「学園に通ってから会う時間も減っていたものね。貴女の年ぐらいならまだ寂しいでしょうに」

「べ、別にそういうわけでは……」


 言葉とは裏腹に優しくなでて貰えるだけで心が軽くなる。


「うふふ、そうだ。今度の長期休暇にステラさんの予定があったら一度家に一緒に来なさいな。きっと楽しくなるわよ」

「えっ、ステラさんと、ですか?」

「そうそう、まだ先の話だけどね。ステラさんにも聞いてみなさい」

「は、はぁ」


 お母様はよっぽどステラさんのことが気にいったのだろうか。それとも、もしかして「力」についてもう知っているのだろうか。

 そう思っていたらお母様は離れてしまった。


「じゃあそろそろ本当に行くわね。貴女もしっかり学園で学んで後悔のない選択をしなさいね。どういう人生でもお母さんは応援するから」

「……はい」


 その言葉に少し胸が苦しくなる感覚を受けながら私はお母様を見送った。


「……今日は寝るわ。貴女も休んで頂戴」

「はい。おやすみなさいお嬢様」


 そうして、色々なことがあった一日がやっと終わった。

 私はステラさんにどうしても聞きたいことをいつ言い出すか、悩んだまま眠りにつくことになった。


いつも読んで頂きありがとうございます!

しばらくリーティアさんのターンになります!よろしくお願いします!

感想や評価、誤字脱字報告もいつもありがとうございます!本当にありがたいです!

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― 新着の感想 ―
[良い点] なんかお母様ならもうどんな事態ても大体も心構えして備えている感じですw あとは謎の先輩と連想してしまいますね。まぁ、先輩が異世界に来なくてもそこまで気にしないかもしれないけど。
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