18.なにもそこまでしなくとも?
更新が遅れてしまいすみませんでした……
そんなリーティアさんとの話し合いがあった夜から数日後。幸いなことにまだ魔物乱入事件は起きていない。
しかし、それよりも変なことが起きていた……
「えー、というわけで本日よりしばらくリーティア様のお母様……つまるところレイファール公爵夫人であるラティーナ様が学園を視察なさいます。ですので、皆様はこの学園の生徒として恥ずかしくない振る舞いを心掛けてくださいね」
担任であるウェール先生が若干の緊張を隠せないままそう告げる。もちろん私を含むクラスメイトは突然の訪問に少なからず驚いていたし、他のクラスでも同じだろう。ただし、リーティアさんを除いて。
(ま、まさか……!?)
いや、まさかも何もない。呼んだのは恐らく彼女だ。
「また、その関係で警護隊がつくため物々しくなるかもしれませんが、皆様は気にせず勉学に励みましょう」
そして、これが彼女の考えた答えなのだろうか。
(いやいやいやありえないでしょ!? 魔物が出てくるかもしれないってのに!? いや、そりゃ確かにそうすればいざという時に助けにはなるかもだけど……)
はっきり言って危険だ。そもそも貴族の中でも階級の高い公爵家の夫人にもしものことがあった時、学園の負う責任はいかほどのものだろうか。
ということを朝のホームルーム後に詰め寄って訴えた。もちろん、周りには聞こえないように細心の注意は払ってだ。
「お母様は信用できるし手紙で話してみたのよ。そうしたらこうしたらいいって……まさか本当に来るとは私も思っていなかったけど」
「ど、どう説明を……?」
「預言については言ってないわよ。ただ、危険をよく察知する子がいて、その子が凄く嫌な予感がするって言ってたことを伝えただけ」
「それでこんなことする……?」
「お母様は昔からそういう人よ。やることにびっくりするけど大体正しい結果になるからきっと大丈夫」
「えぇ……」
漫画ではリーティアの母親なんて出てこなかったはずだ。メインで登場する大人と言えば主人公の両親とか王様や王妃とかだけだった。こんなアグレッシブなのは知らない。
「あ、それとステラさんの名前を挙げたらぜひ会いたいと言っていたから、もしかしたらお誘いがあるかもしれないわ」
「え、えっ、無理……」
「どうしてよ。自慢じゃないけど私のお母様に招待されることはけっこう凄い事なのよ。自慢ではないですけどね」
そういう彼女は嬉しそうで、何となく母親のことが凄く好きなのは伝わってきた。そういう情報なんてなかったけど、これも変わったことになるんだろうか。
「でも、いつ事件が起きるかもわからないのに……ずっと視察するわけにもいかないですよね?」
「そこはそうなのよね。お母様には何か考えがあるのかもしれないけれど……」
「いやいや、流石にそんな都合よく──」
都合よく事が起こるわけがない。そう言おうとした私の耳にどういうことか外から悲鳴が聞こえてきたのは決して聞き間違いではないはずだ。
そして、それとほぼ同時に非常事態を通告するいつもとは違う学園の鐘の音が鳴り響いた。
「……うそでしょ」
あまりにも出来過ぎたタイミング。どうやら魔物乱入事件が始まったらしい。
いつも読んで頂きありがとうございます!
次回から魔物乱入事件についてお話が進んでいきますので、楽しんで頂けるよう頑張ります!
よろしくお願いします!