4 前世
来世なのか。
それとも空想なのか。
私は夢を見ていた。
もしくは物語を読んでいた。
何かの映像を見ていたのかもしれない。
そんな不思議な感覚だった。
私はここよりも技術の発達した場所で、生きていた。
平凡な幼稚園。その私はとても気弱で、ものをとられたりして泣いていた。
小学校でもそう。
中学ではマシになったけど気弱なのは変わらず。
高校大学社会人。
目まぐるしい勢いで物語は進んでいく。
私は気弱だったからか、強気な悪い男にひかれた。
それはリアルのことじゃない。
現実でそんなことをする勇気はなかった。
ゲームの話だった。
悪人ばかりが攻略対象の乙女ゲームにはまっていた。
そんな潤いも何もない日々。
変わったのは、悪そうだけど自信満々な男に声をかけられてからだ。
私はちょっと気になったから、話だけを聞いてみた。
その直後だった。
その男と付き合っているという女が現れたのは。
私は、浮気相手と言われてその女に刺された。
町で声をかけられ、少し話していたら、浮気相手だと思われて刺されたのだ。
痛かったのに、痛みはどんどんなくなっていく。
死ぬんだな、そう思った。
周りから悲鳴が聞こえる。
ああ。悪いなんてロクなもんじゃない。
やっぱり真面目で、まともな男のほうがいいよねえ。
そんなことを思いながら、私は死んだ。