2/19
受験
(ヤバいヤバいヤバいヤバい)
大学受験の試験真っ只中、人生を懸けて挑む試験ではそのほとんどの人が事前に猛勉強をしているため、解けない問題はいくつかあれど、全く問題が解けていない人物はおそらくこの人物、山野 智也くらいだろう。
(この英語の長文の設問、答えが一切見つからない…!)
英語の試験中、英語で書かれた長文を読解し、その文章についての設問を解くのだが、その設問に当たる文章が見つけられない。
(この長文の意味は分かるんだ。だけど何回読み返しても設問が訊ねている内容が長文に書かれてない…!)
「そこまで。」
「うわああああぁぁぁ!!」
「静かに。」
問題に一人頭を抱えていた智也を余所に、試験終了の合図は容赦なく告げられる。
「終わった。」
ほぼ白紙状態の解答用紙が無慈悲にも回収された後の机の上には、冊子になった問題用紙だけが取り残されていた。
放心状態の智也はおもむろに再度問題用紙を開いてみる。
「長文飛ばしてた…」
智也は合計4ページで構成された長文の2ページ分を読み飛ばしていた。
3週間後、智也は不合格の通知を受け取った。