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二人の世界
「綺麗だね!」
隣の女性が、ベージュのダッフルコートを着込んで赤いマフラーを首に巻き、両手の平に『はぁー』と暖かい息を吹きかけながら目を輝かせている。
「あぁ。一緒に来れて良かったね。」
目の前には高い場所から見下ろした夜の景色が広がっている。
ふわりと舞う雪が、二人の世界と目の前の光景をさらにロマンチックに演出する。
「うん。来れて良かった!
また一緒に来れるかな?」
その景色を見ながら女性は隣の男性に左肩にそっともたれかかる。
「もちろん。また一緒に来よう。」
女性の肩に手を回し、さらに引き寄せる。
今度はマフラーで口の辺りを覆い、少し頬を赤らめている女性を見て、一層愛おしく感じた。