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06.ブルーノ家で朝食を



ブルーノ家のダイニングテーブルには朝食とともに搾りたての牛乳が並んでいた。

目の前に座る父の尊顔は今日も朝っぱらから胸やけするほど麗しい。


「昨日、帰りの馬車で胸が大きくて穏やかな子がほしいと嘆いていただろう? 急いで手配したから朝食に間に合ってよかったよ」


娘に弱い父は一晩で手配したらしい。巨乳で穏やかな、キャサリーン好みの、()を。

目の前で満面の笑みを浮かべてこちらの反応を伺っている。


「お父様、どうもありがとうございます。とても嬉しいです」


――違う、そうじゃない。

搾りたての牛乳が毎朝飲めるのは嬉しいが、そうじゃない。

ぐっと本音を呑み込むと、キャサリーンは笑顔でお礼を告げた。父に悪気はないのだ。

傍に控えていたメイド長が「旦那様よろしゅうございましたね」と目元を拭っているから、この対応は正解だったのだろう。



「ところでお父様、お願いがありますの」

「なんだい可愛いキャシー。命知らずのどこぞの王族なら昨夜縄で縛って事故に見せかけて崖から突き落としておいたから安心していいよ」


この父親は一晩のうちに牛の手配のみならず、どこかの王族の始末までしていたらしい。夜行性の妖怪なのだろうか。

どこの誰だか知らないが、今の話に安心できる要素があったか。

穏やかなはずの朝食の時間に、さらりと国際問題レベルの犯罪が暴露されたが、突っ込んではいけないと本能が告げている。


キャサリーンは本題を切り出すことにした。


「4日後のスミス侯爵の舞踏会に出席したいのです。お父様なら招待状を手に入れられるでしょう?」

「……何故?」


締まりのない顔で朝食を進めていた父の動きが止まった。


「私、アンナしかお友達がいないでしょう? 昨日頑張ってみたのだけど緊張してうまくいかなくて。少しずつ慣れて、他の女の子とも仲良くなりたいのです」

「お茶会ではダメなのかい? わざわざハエもいる場所に行かなくても……」


父の言うハエとは、きっと男性陣のことだろう。となるとハエが群がる麗しい令嬢はウンコということになるが、そこは考えないでおく。


「お茶会だと近くに座った方としかお話できないし、参加も少人数でしょう? もっと色々な方と気軽にお話してみたいの」


昨日の敗因は、自分好みの癒し系美少女ばかりに声をかけたこと。結果、気持ち悪がられて逃げられてしまった。

キャサリーンは失敗を踏まえ、色々なタイプの女性に声をかけてみようと決めていた。前世はもとより今世も高望みできそうにないので、"数打ちゃ当たる"作戦も辞さない構えだ。


「うまくいったら一生のお付き合いになるんですもの、お屋敷に招いたりしたいの」


――そう。お屋敷の、ベッドで。お付き合い。

下心まみれだが嘘はついていない。




舞踏会の日に外せない予定があるらしく、父は最後まで渋い顔をしていたが、結局『アンナも一緒に行くこと』、『ダンスの誘いは断ること』を条件に舞踏会の許可をもらった。


(舞踏会なのにダンス断れって何しに行くんだ。いや、おっぱい漁りに行くんだけどさ)



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