Case1-8ドア目
-洋館の一室。
栞がドアを開け、紅茶を持って入ってくる。
「それにしても、ここ、お湯が出るなんて思ってなかったわ」
「茶葉は紅茶しかなかったけど、電気やガスは生きてますね。不法侵入かもしれないけど」
「ねーちゃん以外はノーカウントだろ」
「流石に幽霊を罪に問うほど世知辛いことはなかろうて」
(あれ、でもここ最初に来たときは電気ついたっけ…?)
悟志はしばらく前の記憶にわずかな違和感を感じていた。
「持ち上げられないけど、飲めるものなんですね」
「あら、おいしいわ!どこで入れ方習ったの?」
「あ、これは、バイト先が喫茶店で~」
(そういえば、俺たちこんな世間話っぽいことしてなかったな)
生きているものの日常からは離れていたことを感じる。
「よし、情報をまとめるぞ」
「私達が聞いてきた情報だと、犯人はおそらく女性ではないです。刺し傷の位置とか、深さとか。」
「そして、財布にはお金は残ったまま。警察は交友関係で当たって全員にアリバイがあったので通り魔の線で追っている」
「警察もそれ以上は手掛かりなさそうだったな」
「お兄ちゃん、何か見てないの?もう一回よーく思い出して?」
全員の視線が悟志に集まる。
「えーっと」
「ー!!」
全員の視線は、悟志の先の窓の外に釘くぎ付けになっている。
「ーえ、どうした」
振り返った悟志の目にも見えたのだ、ガラスの外に立っている、女性の幽霊が。
「きゃぁぁぁぁー」
電気が消える。
「うぁ…あ…あぁ…」
幽霊は悟志の腕をつかんで何か話しかけているがー
再度電気がついて、女性の幽霊は消えていた。
「幽霊が幽霊にたたられるってあるの!?」
「なにしたんだよ、あんた…」
「いや、心当たりないぞ」
「ーあの子、火傷していたわ」
「火傷…火事…もしかして…!?」
「ちょっと待って、調べる」スマホで検索を行う。
「ーあった…これ…」
「君がなくなった日の火事の被害者かもしれんのう」
「」