Case1-5ドア目
―悟志の実家の近くの公園
「つまり、だ。犯人はおまえを刺して逃げた。しかも何も取らずに。」
「うーん…」
「変じゃな」
「変ですね…強盗じゃない。しかも、野次馬からそう遠くない場所で刺されています」
「やっぱりあなた、誰かに恨まれていたんじゃない?」
「おい…」
通りすがった女性がこちらを見て立ち止まった。
「ひっ、うわぁっ」
―あぁ、またこの反応か。なんだか慣れてきたな
しかし、いつもと違った。
「…?えっ、悟志…?悟志だよね?」
「は…?栞…?」
***
「もーびっくりしたよ!なんか集団で幽霊がいる、怖いって思ったら悟志なんだもん。あ、皆さんも失礼な感じですみませんでした。」
「この、ものすごく幽霊に理解のあるやたら明るいお嬢さんは一体…」
「俺の友人、いや、えっと、中学生の時の彼女です。そういえばお前幽霊が見えるんだったな」
「-そうだね、幽霊が見えるって言ってもバカにしなかったのは悟志だけだったんだよね。ありがたかったな…久しぶりの再会がこんな形っていうのはちょっとやるせないけど。」
「なるほど、まだ犯人もはっきりしないと…」
「あぁ」
「……」
「よし!私が手伝ってあげるわ!生身の人間の協力者がいたほうが都合がいいでしょ!」
「えぇ、、いや、ありがたいけども…」
「いいのよ、私がつらかった時に悟志には助けてもらったし。それにもう、私が悟志にしてあげられることってこれくらいでしょ!恩返しと思ってありがたく受け取ってよ」
「…ありがとう」
「ただなぁ、こいつから話を聞いて、自宅にも行ったけどなにもわからなくてな」
「…それなら。警察に行きましょ!」