Case1-9ドア目
-〇月×日、○○区 夜1時頃発生した火災でアパートの一室が全焼した。住宅街だったためあたり一帯は騒然となった。
この火災で亡くなったのは△△大学2年、木下あかりさんとみられている。
「これ、俺が見た火災だな」
「おそらくあの子ね、そしてなぜあなたは彼女に恨まれているの」
「…まさかたばこのポイ捨て…」
「流石にそんなことはしない!」
「うーん、たまたま同じ時期に近くで亡くなったので引き寄せられただけかもしれんがの」
「あの子も混乱しているみたいで多分会話できる状態じゃないよね。。」
「ーなぁ、状態ってどういうことだ…?」
「あーええとね」
栞は全員をぐるっと見回して
「今見えている皆さんは普通に生きている人みたいに見えています。多分、お互いにそうだと思うけど」
「そうだな」
「でもね、亡くなったときの混乱だとかで落ち着いていないとその時の状態で見えるものなの」
「ー落ち武者の幽霊って長らく引きずってんだな…考えたことなかったぜ」
「いや、彼らはボロボロになっても戦うことが誉だから…あれが最善の姿かもしれない、多分」
「まぁ、私から見れば皆さんがなぜかきれいすぎるようにも見えるんだけどね」
「そういう状態だと会話はできないのね?」
「はい、そうなんです」
「ー確かに俺は刺されているから見た目はあまり生きてる時と変わらないけれど、そういえば全く痛みとかはないな…」
ーさて、どうしたものかね…
「そういえばさ、犯人の顔って覚えてないの…?」
「いや、わかるにはわかるけどさ…俺と同じくらいの、若い男でー…一見おとなしそうな感じの」
「抽象的すぎますよ」
「ふふ、わしに任せてみておくれ。いかつい感じかな?それともシュッとした感じの…?」
ーしばらく後、良じいによって犯人の似顔絵が出来上がった。
「…似てる…!!」
「質問の仕方とかただもんじゃなかっただろ、爺さん何もんだよ…」
「昔ちょっとなぁ、まさか死んでも役立つとは僥倖じゃな」
「流石にこの辺り犯人がふらふらしているとも思えないですが、これ頭に叩き込んでおきましょう」
「私たちはもうちょっと警察の様子をうかがってみようかな」
「そうだな、俺たちはお前が刺された現場に行ってみようぜ」