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俺達は既に死んでいるー
とある洋館ー
陽のさす窓辺。
そこが俺達の探偵事務所だ。
ただひとつ、普通の探偵事務所と違うのは、俺達がもう生きてはいないってことだけー。
カードを選ぶ手に全員の視線が集まるー
「やったああー!!!!」
俺は思いっきり叫ぶ。
「あー・・」
ナオトはカードを放り投げ、ひらひらと机に落ちた。
吉田さんはそれを目で追っている。
「負けたわ。」
マダムの溜め息をかき消すように、そらが文句を言う。
「えーっ、ずるーい」
「なっ、ちゃんと勝ったんだよ!」
「うー」
「やめなさいよ」「子供相手に大人げないな」
マダムとナオトに文句を言われ怯んだ。うん、全くもってその通りだ。大人げない。一応、自覚はある。
「まぁまぁ」
良爺が間に入る。
「なんで俺達がこんな奴に協力しないといけないんだよ」
「しょうがないですよ、だって私達新人幽霊なんですから」
「あっ、あなた、真っ先に解決したからって、先に成仏しないで下さいよ」
「まぁまぁ、とにかく初めての依頼人の話を聞こうじゃないかね」
そう、そうなのだー
俺達は既に死んでいるー