表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

32/35

31. あり得ない




「フルネームどうも。会議ぶりね。ウッドマン」


 女は、凄惨な場に似合わない笑みを浮かべていた。




 あり得ない。

 あり得ないあり得ないあり得ない!




「どうして生きている。確かに心臓を貫かれたはずだ。あの状態で生きているわけがない。ただの人間のくせに…………という顔をしているわね」


「っ、な、なんのことやら……」


「視線が泳いでいる。動悸が激しい。知性だけはあると思っていたのだけれど……あなたって嘘が下手なのね」



 カァ……! と顔が赤くなるのを感じた。


 全て言い当てられ、しかも生意気に指摘までされたのだ。



「戦争が始まってからなんか見られているなぁ……と思っていたけれど、やっぱり盗撮していたのね。風呂場での件といい、魔王よりも犯罪者の方がお似合いよね」


「ちょっとセリカ。本人が自覚していないことを言ってあげないの。否定はしないけれど、彼が可哀想になってしまうわ」


「そんなことを何一つ思っていないくせに、よく言うわね」


 セリカは歩き出し、エリザベートに並ぶ。

 最悪の二人が揃ってしまった。


 これ以上ないほどに、私の本能が警鐘を鳴らしている。




「どうして、ここがわかった。私の作戦は完璧だったはずだ!」


 もう『仲間』を演じている必要は無い。

 私は屈辱に打ち震えながらも、叫ぶ。



 ──くすくす。

 彼女達は薄く笑う。


 こちらを馬鹿にするように、口元を小さく歪めていた。



「フォリアが教えてくれたのよ」


「……………………は?」


「聞こえなかった? フォリアがこの場所を教えてくれたのよ」



 意味がわからなかった。

 なぜなら、フォリアは私が──。



「フォリアを操ったと思った? 残念。彼女は貴方の傀儡になったふりをしていただけ。最初は不意を突かれてちょっと支配されちゃったけれど、少し抵抗してみたら案外簡単だったと言っていたわ」


「そんなはずはない! 私の傀儡術は完璧だ。これまでだって失敗したことは、はぇ?」



 気付けば私は、地面に横たわっていた。

 そして遅れて感じたのは──痛みだった。



 ゴロンと、視界の端に何かが転がった。

 そちらに視線を向けると────



「あぁああああああああああ! わた、わ、私の足が、あ、ぁぁ、あああああ!!」


「あらごめんなさい? 耳障りだったから、つい斬ってしまったわ」


 見えなかった。

 剣を握るのも、振るのも、何もかもが見えなかった。


 なんだ、なんだなんでだどうしてだ!


 これは人間なのか。


 おかしい。

 何かがおかしい。


 こんなはずではない。


 だって私の計画は完璧だったはずだ!



「確かに貴方の作戦は良く出来ていたわ。でも結果を急ぎ過ぎて出しゃばったのが敗因となったわね」


 ──知らないの?

 と、奴は笑った。



「操者は、最後まで舞台に出るものではないのよ」


「っ、ふざけるな! 小娘如きが私に指図するな! 私は正しい。これは何かの間違いだ。作戦は完璧だった。なのにお前らが」




「おっと手が滑った」




 ──キンッ、という鋭い音。

 瞬間、世界が回り始めた。



 私は────、────。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ