市営のシエスタ
後ろは山 鬱蒼とした厚い葉
蒸散した水分が見えずとも充満している
公民館 置き残された陽炎は
ゆらゆら ゆらめき
煎餅なサンダルは妙に温いが
入口のタイルはひえびえとしている
棒状の蛍光灯は気絶したままで
官制の惰眠には年代物の図書も動かない
職員は机に突っ伏して埃が積もる
午後の日差しは熱気強く
胸にべとべとと絡みついてくる
水蒸気 濁っている くぐもっている
気体 滞っている 重なっている
温度はゆるやかに上がっていき
比例して昼寝も続いていく
何も起きていない
いつまでも起きていない
後ろは山 新陳代謝の蒸散は意図せぬうちに
葉々瀕死でもなお水分を放出している
蝉も鳴かない