幼女
爆発した衝撃で上を塞いでいた柱が崩れ扉がむき出しになっていた。現代でいうところの床下収納のような感じだが長年扉の上に柱があったためかその部分だけ丸く汚れができていた。高垣もその汚れがなければここが隠し扉だとは思はなかっただろう。
扉は意外とすんなり開けることができた。定期的に開閉はされていたのかもしれない。
「っうわ!?」
高垣が扉の中を覗くとそこには爛爛と輝く二つの黄色い目がこちらをジッと見つめていた。
自分が起こしたことではあるが見渡す限り生きてる人間いや、むしろ虫一匹いないと思い込んでいた高垣の心臓はビクンッと跳ねた。ついでに体も一緒に跳ねたようで後ろに転ぶ。
「いたっ」
尻もちをついたが不思議と痛みは感じなかった。それなのに痛いといったのは脊髄反射からだろう。体制を立て直した高垣はもう一度恐る恐る扉の中を見ようと顔を近づける。
何でこんなとこに生き物飼ってんだよ。この国は何かよからぬことでもしてたんじゃないだろうな。最近のネット小説じゃ勇者を召喚して魔王を倒させておいて、その後に用済みとばかりに暗殺を企てるなんてのもあるぐらいだし。この国がそうじゃないとも言い切れないな。
ん?あれ?目が黄色いからてっきり爬虫類かと思ったら人形っぽい、まさかキメラ・・・か?いや、幼女じゃねーか。何してんだこの国は。幼女監禁とか救いようがないぞ、もしかして吹き飛ばして正解だったんじゃないか?・・・んな分けないか。
「ご飯?今日はちょっと早いね~」
食事を持ってきたと思ったようだ
「すまんが、ご飯じゃないぞ。ちょっと興味本位で開けただけだ」
「そうなの?」
「そうだ」
「・・・・」
「・・・・」
気まずいっ!こんな薄暗いとこに閉じ込められている幼女に向かって俺はなんで”ちょっと興味本位で”だよ!違うだろっそこは大丈夫か?とか今出してやるからな。とかじゃないのかよっ。こんな時までコミュ障引きずりやがって馬鹿野郎!
幼女は見た目5歳ぐらいで少し汚れてはいるものの幼女趣味じゃない高垣から見てもとてもかわいらしかった。西洋人の顔立ちで髪の毛は天然パーマでフワフワでピンクがかっている。まるで縁日で売られている綿菓子のようだった。
それなのに目は少し吊り上がっていて意志の強そうな大きな目がいまだ興味津々といった光をたたえている。顔も小さく全体的にまとまっていて端正に作られたビスクードールっていうのかなそんな感じだ。
「俺と一緒にここから出るか?」
決して高垣が幼女趣味に目覚めたわけではない、ここに閉じ込められていたから無いとは思うがもし仮にこの子の両親がこの城の中にいたのならきっと死んでしまっている。それに間違いなく彼女を世話していた人間は死んでいる。謝罪を込めての言葉だった。
それにこんなところに幼女をしかも、檻に入れられた状態でおいておくことなんてできるわけがない。
幼女は初め不思議そうにこちらを見ていたがうれしそうに笑ってから
「うんっ!」
元気いっぱいに頷いた。
カギは手に包み込むように持ってスキルを利用したらあっさりと壊れた。よかったかっこよく言った手前壊せなかったらかっこ悪い。でもさっきまでより爆発が大きかった気がしたがなんでだ?