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特級魔法使いの件は一旦、情報が入るまで横に置いておく事にした。
そんな時、数ヶ月前に出したユーリス先生への手紙の返事が速達でやって来た。いったいなんだろうかと思い、中身を見る。
『たいへんですスカーレット。フランが村からいなくなりました。もしかたら、あなたを追いかけて行ってしまったのかもしれません』
フランは村を出る際にユーリス先生に預けていった。さすがに、フランメキャットをコノートにまで連れて来れない。見つかったら即駆除されてしまうだろう。手紙を読んだ私は頭を抱える。フランの事、どうすれば良いのか。ローガンとオリバーに相談しようかと考える。けれど、男の子の二人には近々剣の試験が待っていた。二人とも頑張って外で練習している。
「うーん」
私は悩んだ挙句、とりあえず散歩にでも出てみる事にした。歩けば良い考えも浮かぶかもしれない。放課後の道は、仕事帰りと買い物をする客で賑わっている。中には、これから夜店の準備を始める姿も見られる。私はそれを見ながら、丘の上の公園を目指した。柵にもたれて町を見下ろす。どうすれば、フランを助けられるだろうか。
「どうしました、そんなに悩んで」
声をかけて来たのは、生徒会長だった。
「生徒会長さん……」
「どうぞディランと呼んでください。スカーレットさん」
彼はにこにこ笑う。
「何かお困りの様子ですが、私では力になれませんか?」
私はそこで、彼の一族について思い出した。
「あの、ディランさんのお兄さんは騎士団長さんなんですよね?」
「そうですよ、兄上は騎士団長をしております」
「それじゃ、城の周りにいる危ないモンスターとかも殺したりするんですか?」
ディランさんは顎に手を当てて考える。
「そうですね。国の警護は騎士団の仕事です」
私は唾を飲む。
「ディランさんにお願いがあります」
「お願いですか? 私に出来る事なら力を貸しましょう」
私はディランさんに、フランの事を話した。大事な友人だから、殺さずに捕まえて貰えないかと。
「フランメキャットですか。確かにコノートの周辺で見かけたら、即刻駆除対象になりますね……」
彼は少し考えた後に口を開く。
「わかりました、私から兄上に話しをしておきます。ですが、いくらそのモンスターが頭の良い子だと言っても大人しくこちらの話しを聞いてくれるかわわかりません」
私は髪に付けたリボンを外して手渡す。
「コレを投げてみてください。あの子なら、わかってくれるはずです」
フランは頭の良い子だからどうすれば最善か、きっと選ぶ事ができる。
「わかりました。引き受けましょう」
「ありがとうございます!」
私はディランの言葉に胸を撫で下ろした。
寮に帰ると、ラウンジでローガンとオリバーが互いの手当をしていた。あっちこっち、包帯だらけである。
「いてて」
「やぁスカーレット、どうかな俺たち少しは男前が上がったかい?」
「そうだね。すごく、かっこよくなってる」
「そりゃ嬉しいなぁ」
目モトを青くしたオリバーがそう言ったので、三人で笑い合った。
つづく




