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君が居た時…

作者: 秋原 悠

「おはよう!」

彼女は元気に朝の挨拶を僕に向けて言った。

「おはよ…」

彼女とは正反対に僕は眠たい目を擦りながら力なく言う。

「元気に元気に!」

バンバンと背中を叩かれ半分ほど眠気が吹き飛ぶ。

なんてことのない日常が今日も始まった思うとやる気が出ない僕は欠伸をした。

「今日空いてる?」

唐突に聞いてくる彼女にやる気ゼロの顔を向けて

「空いてるよ」

とまるで肯定する機械のように答える。

「では、駅前のカフェで待ってるから来てね」

そう言うと彼女は走り去っていってしまう。

まだ行くなんて言ってないんだけど…。

まぁ、結局は断る理由もないので行くんだが…。

放課後になり彼女の教室に行ったが既に居ないようだ。

先に行ったかな?下駄箱で靴を履きかえながら思った。

この学校から目的のカフェはそう遠くない。

歩いて七分といったところだ。

だが早めに着くために歩くスピードを速めた。

彼女が待っているかもしれないので、あまり待たせるのもどうかと思った。

駅前に着いて、彼女が言っていたカフェに向う。

中をガラス越しに見るが彼女は居ない。

辺りを見回すと車道を挟んだ反対側の歩道に彼女が居た。

声をかけてみる。

すると彼女はすぐにこちらに気付き、手を振っている。

そして気にも止める事もなく、近くにあった横断歩道を使い、僕の方に走ってくる。

僕も横断歩道に向かい、歩く。

その時何かの異変に気が付いた。

僕の後ろから激しいエンジン音が響いてくる。

前の信号が赤にもかかわらず、猛スピードでトラックが突っ込んでくる。

そして、その直線上には横断歩道の半ばで脅えている彼女が居た。

まわりに人は居ない。

ぶつかる!咄嗟に走りだし横断歩道に死に物狂いで向かう。

彼女に必死で呼び掛け逃げるように言うが反応が無い。

完全にへたりこんでいた。

横断歩道に辿り着き、彼女を抱き抱えたまま走る。

だが…。ドン!何かが潰れる音が聞こえた。

衝撃が体を包んだ。

間に合わなかった…。

そのまま衝突した勢いで彼女と僕の体が弾き飛ばされる。

僕はそのまま意識を失った。

その後に奇跡的に僕は一命を取り留めた。

しかし、彼女は助からなかったと医師から聞いた。

せめてもの救いが即死だったことだろうか…。

生まれて初めて本気で泣いたと思う。

それから僕に手紙が渡された。赤黒い血が付着した手紙だった。封筒に入っており、封がハートマークのシールでされていて封筒の端に血で汚れているが、なんとか読める。僕の名前が見覚えのある筆跡で書いてある。彼女の字だった…。警官の話では彼女の制服のポケットの中に入っていて、あとで僕に渡そうとしていたみたいである…。それから一年近くの月日が流れたが手紙は未開封のまま一度も読んでいない…。

何か暗い話です。感想などがありましたらご連絡ください。

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― 新着の感想 ―
[一言] 良いんやけど 少し尻切れ蜻蛉やなー 少し余韻が欲しかった
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