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タイトル未定2026/04/03 22:51

作者: てんてんたん
掲載日:2026/04/03

山が消えた日

転機はすぐに訪れた。領地を奪った悪徳侯爵の手下が、アイリスを仕留めにやってきたのだ。

囲まれたアイリスは、震える手で俺を構えた。

「この剣は……光り輝く聖剣! 一振りすれば、悪しき者すべてを塵に帰すはず……!」

彼女の強烈な「妄想」が、俺を通じて世界に干渉した。

俺の錆びついた刀身が、太陽よりも眩しく発光する。アイリスが目をつぶって、がむしゃらに俺を横に一閃した。

ズドォォォォォン!!

爆音と共に、追っ手はおろか、背後にあった標高1000メートル級の山の一部が消滅した。

断面は鏡のように滑らか。アイリスは腰を抜かし、俺は心の中で突っ込んだ。

(やりすぎだわ! 物理法則仕事しろ!)

物理無視の快進撃

どうやら俺の能力は、持ち主の想像力が豊かであればあるほど、デタラメな威力を発揮するらしい。

• アイリスが「この剣は音速を超える」と思えば、振った瞬間に衝撃波で街の門が吹き飛ぶ。

• アイリスが「この剣はどんな傷も癒やす」と思えば、俺の峰で叩かれた重傷者がフルマラソンを完走する勢いで完治する。

• アイリスが「この剣で料理をすれば美味しくなる」と思えば、俺で切ったただの泥大根が、宮廷料理も裸足で逃げ出す絶品ステーキに変わる。

「さすが聖剣様! 最近は意思疎通もできている気がします!」

アイリスは俺を磨きながら満面の笑みを浮かべる。俺は喋れないが、刀身を少し振動させて返事をするのが日課になった。

今や彼女は「一撃令嬢」として恐れられ、俺は「神の鉄屑」として崇められている。

次は魔王軍が攻めてくるらしいが、彼女のことだ。「聖剣なら魔王を一睨みで倒せるはず」とか言い出すに違いない。

(よし、次は視線だけで空間ごと消去してやるか)

意思を持つ最強のなまくら刀と、天然すぎる勘違い令嬢。

世界を書き換える俺たちのデタラメな旅は、まだ始まったばかりだ。

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