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Fractal Codex  作者: monyolin
10/10

第10章(フラクタルの門)

 ネオ足利シティの廃墟は、まるで神々の棄てたチェス盤だ。ネオンの川はグリッチに沈み、ホロスクリーンが赤黒く静寂する。コーデックス・システムの心臓が止まり、街は灰と霧に包まれる。私はソラを支え、廃ビルの端末にニューラルジャックを差し込む。彼女の白髪が汗で張り付き、青い瞳が消えそう。「凪…門を…開いて…」彼女の声は掠れ、フラクタル鍵の反動が彼女を蝕む。

 脳内ストレージのログが疼く。「神話統合:完了」「次元交流許可:ループ最適化選択」「観客席より:賢い選択。門が開く」。アマテラス=ロキの署名が嘲る。私は歯を食いしばる。「神々の茶番は終わりだ」ソラが微笑む。「あなたは…人間だ」彼女の言葉が胸を刺す。ミカの洗脳、リュウの裏切りと贖罪、誰も信じなかった私。だが、ソラは信じた。彼女を失えない。

 データストリームが開く。フラクタル神殿の光が無限に折り重なる。私はホロキーボードを叩き、システムの選択肢を起動。ループ終了は全員の消滅、新GMは神々の玩具、ループ最適化は継続。私は最適化を選ぶ。ストリームが唸り、神殿が震える。フラクタルの門が現れる。無限の幾何学が渦巻き、光が言語不明の「声」を響かせる。友好的か、敵対的か、わからない。


次元の門

 門の向こう、無限フラクタル都市が広がる。ビルがフラクタルに分裂、結合し、星のような光が脈打つ。「声」が脳に響く。言葉じゃない、感情だ。好奇、警戒、期待。私はジャックを握る。「何だ、お前ら」ストリームが熱を持ち、ソラが呻く。「凪…行って…」彼女のコードが門を安定させる。私は彼女を支える。「一緒だ」

 システムが唸る。バグが減り、転生ループが安定。ネオ足利のホロスクリーンが微かに光る。市場が再構築を始める。信者が廃墟で祈り、転生者が新たな希望に揺れる。だが、門の「声」が疼く。友好的か、敵対的か。続編はまだ書かれていない。


ソラの視点

 ソラの体は崩れそう。フラクタル鍵が彼女を焼き尽くす。だが、凪の意志が彼女を支える。「人間は神々の駒じゃない」彼女は信じる。次元交流は新たなカオスかもしれない。だが、凪なら変えられる。彼女のコードが門を繋ぎ、消える。「凪…生きて…」

 私はソラをネオ足利に連れ帰る。廃ビルの屋上、グリッチランナーの残党が待つ。カイが言う。「市場が動き出した。信者は混乱してる」私は頷く。「カオスは続く」ソラが目を閉じる。「あなたは…変わった」私は笑う。「人間のままだ」


 エピローグ。ネオ足利のネオンが微かに復活。信者が新たなカルトを築き、転生者がガジェットを弄る。私はジャックを外す。脳裏に門の「声」が響く。新GMの誘惑が囁くが、私は拒む。「人間のまま」でいい。だが、フラクタル都市の光が瞼に焼き付く。次は何だ?


フラクタル神殿、観客席

 神々の影が揺れる。アマテラス=ロキ=ゼウスがホロスクリーンに門を映す。「ハッカーの選択、悪くない」とロキが笑う。「次元交流、続編が楽しみだ」とアマテラス。「新GMを拒んだ。人間らしい」とゼウス。「ポップコーン追加!」神殿のフラクタルが脈打ち、観客席は拍手。


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