第8話 急襲
リドールたちのトライアドは、苦しみながらも任された区画で魔物を掃討していった。
実戦経験を積み重ねるうちに、戦術的にも、個々の力量的にも、少しずつレベルが上がっているように思われた。
「私たち、結構強くなったんじゃない?」
「確かに、1日に討伐できる数も増えてきたな」
「も、もう少しで、この辺りを制圧できるかもしれませんね」
「担当区域が片付いたら、主力軍に合流しても良い頃合いかもな」
セシウス魔法師団長率いる主力軍は、中央で一進一退の攻防を強いられていた。
伝令によれば、敵の指揮官らしき魔族が、近いうちに前線に出てくるのではないか、ということであった。
「魔物1体でもあれだけ厄介なことを考えると、魔族の敵将を相手にするとなれば、相当な戦力を集める必要があるだろうな」
「さすがにお父様でも、厳しい戦いになると思う。私たちも、早くお役に立てればいいんだけど……」
リドールたちは、少しでも早く担当地域の魔物を殲滅し、主力軍に合流することを、当面の目標に掲げた。
◇◆◇◆
その日もリドールたちは、ハイウルフの探索に出ていた。
未探索の区画も、あと僅かといったところだった。
「ス、スキャニング《探知魔法》に反応があります」
「俺もだ。2時の方向……距離20m、か?」
「そうね。でも……なんか、おかしくない?」
「確かにな。ハイウルフとは違う気が……」
その時だった。
3人の頭上に、魔法陣が展開された。
「退避!!」
リドールの叫び声と共に、3人は飛び退いた。
ほぼ同時に、雷撃音が鳴り響き、地面がえぐれた。
――サンダボルト《雷撃魔法》? 範囲が広い……!
「みんな! 大丈夫か?」
リドールの声が飛んだ。
「私はなんとか!」
「ラフィト、無事か?」
「……」
「ラフィト! 返事しろ!!」
土煙りがようやく収まり、リドールが辺りに目を凝らすと、雷撃に被弾し、意識のないラフィトが横たわっていた。
「マリー、ラフィトの治癒を! 俺は敵を食い止める!」
「わかった!」
ふたりはラフィトの周りに集まり、隊形を整えた。
「ハイウルフが全滅しそうだと聞いて、やってきてみれば……このようなガキどもが相手とはな」
――言葉を!? まさか……。
霞の向こうから現れたのは、人の姿をした何かであった。
頭から突き出す2本の角と、青い肌。
「……魔族! こっちに現れるなんてな……!!」
次回予告:第9話 魔族の力
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