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第5話 魔法実習

 王子リドールと公爵令嬢マリアーナがトライアドを組んだという噂は、瞬く間に学校全体に広まった。



「1年最強トライアド!」

「上級生の中でも、やっていけるんじゃない?」

「でも、あとひとりのメンバーって……」



 オリエンテーションの次の日から、早速魔法実習の授業が始まった。

 トライアド単位での模擬戦が中心だった。



 リドールたちのトライアドは、やはり群を抜いていた。

 ラフィトを除いて、は。


 

「ねえ、ラフィト。あなた、魔法実技は苦手なの?」



 マリアーナは、少し気の毒そうに尋ねた。

 ラフィトも始めに比べると、随分トライアドに馴染んではきたものの、やはり他のふたりとの距離感は拭えなかった。



「す、すみません。実戦経験は、ほとんどありません。故郷では、生活魔法しか使わなかったものですから……」

「つまり、攻撃魔法や防御魔法は、不得手なのね?」

「はい。で、できるだけおふたりのご迷惑にならないよう、防御魔法だけでも上手くなりたいのですが」



――やっぱり、古代魔法の継承は途絶えたってこと?



「わかった。じゃあ、放課後に防御魔法から特訓ね!」

「教えていただけるんですか?」

「もちろん! 私たち、トライアドだもの!」



 その日から、毎日放課後、ラフィトとマリアーナは特訓に明け暮れた。

 始めは興味がなさそうに見えたリドールも、いつしか練習に加わるようになった。



「暇だしな」

「素直じゃないね、リドは昔から」

「うるさいよ」



 その甲斐あってか、ラフィトの防御魔法は、何とか及第点まで上達した。

 しかし、周囲のラフィトを見る目は、相変わらず冷やかだった。



「明らかに、平民が足を引っ張ってるよな」



 模擬戦では、どのトライアドも、あからさまにラフィトを標的にした。

 もっとも、リドールとマリアーナで勝ち切ってしまうことには、変わりはなかったが。



「今日も派手にやられちゃったね」



 ラフィトにヒーリング《治癒魔法》を施しながら、マリアーナは言った。



「私とリドで、倍返ししてやったけどね」

「い、いつも足手まといで、すみません」

「いいよ、そんなの」

「リドールさんとマリアーナさんは、その……とても連携が取れているのですね」

「うーん、小さい頃からずっと、お父様にしごかれているからかな」



 マリアーナは、顔をしかめながら言った。



「リドなんて昔……」

「おい、余計なことをしゃべるな」



 リドールが、たまらず割って入った。



「ところでラフィト、前から気にはなっていたんだが……いつも首に下げている飾り、それは指輪か?」

「こ、これですか?」



 ラフィトは、襟元から首飾りを出して言った。



「父の形見です。先祖代々受け継がれている指輪で……。肌身離さぬよう、言いつかっているのです」

「そうか、お父上の……。それは悪いことを聞いてしまった。すまない」

「い、いえ、もう亡くなって5年になりますので」



 ◇◆◇◆



 ダムランド国内に魔物が侵入した、という一報が、王都から魔法学校に伝えられたのは、この2日後のことだった。

次回予告:第6話 魔物


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


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