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第35話 最終話 大戦の終わりに

 魔神デルムの消失により、大戦は幕を下ろした。

 ダムランド、ひいては人間側の勝利であった。



「さて。名残惜しいが、天界へ戻るとするか」



 龍神アレスは、空に向けて拳を伸ばした。



 その時だった。



「覇王剣……グランヌス!!」



 リドールの声が聞こえた。



「……?」



 アレスは、声のする方を見やった。



 破裂音と共に、グランヌスがラフィトの残したブルク《龍神の城壁》を、内側から破壊した。



「……ほう、あの魔法を打ち破ったか。大したものだ」



 中から、満身創痍のリドールとマリアーナが飛び出してきた。



 リドールは、足を引きずりながら龍神アレスの正面に歩み出た。



「……このままあなたを返すわけにはいかない!」

「……? いや……少年よ……」



 アレスがリドールに気を取られている間に、マリアーナは、すかさず祈りの体勢を整えた。



「精霊魔法……ブレスオブゴッド《神の息吹》!!」



 龍神アレスの体が、淡い光で包まれた。



「……?」



 アレスは、困惑してマリアーナを見た。



「あなたが私たちを救ってくれたことには感謝してる。でも、ラフィトが消えちゃったら、何にもならないよ!!」



 リドールも剣を構えた。



「差し違えてでも……たとえ不敬だとしても……ラフィトは返してもらう!!」

「……まあ待て……」



「精霊魔法しか私には……。ラフィトの魂、戻ってきて!!」



 マリアーナは、泣いていた。

 それでも、術をかけ続けた。



 龍神アレスは、マリアーナに諭すように言った。



「娘よ、落ち着け」



 アレスは、マリアーナに歩み寄り、頭に手を置いた。



「我は、この子を…ラフィトといったか…連れては行かんぞ」

「え?」

「娘、それから、グランヌスの少年よ。心配をかけてすまぬな。我の子孫も、よき友たちに恵まれておるものよ。よもや、神にたてついてまで、この子を取り戻そうとするとはな」



 アレスは、優しく微笑み言った。



「そなたらの友は無事だ。この子を、ラフィトを、これからもよろしく頼む」



 アレスは指輪を外した。

 まばゆい光が放たれ、アレスは幽体となり、天へ昇っていった。



〈息災でな……ラフィト……〉



 あとには、ラフィトが横たわっていた。

 その脇には、龍神の指輪が落ちていた。



 ◇◆◇◆



 大戦集結後、国王ラウルスは戦死者を悼むため、大規模な国葬を執り行った。

 戦死者の名が刻まれた慰霊碑が大広場に作られ、黙祷が捧げられた。



 ダムランド国内全てが3日間の喪に服した後、戦勝祭が開催された。



 リドールたちのトライアドには、それぞれ勲章が授与された。



「マリー、お前は明日からどうするんだ?」



 授賞式の後、リドールがたずねた。



「そうね、私はお父様と、お母様の故郷までお墓参りに行くつもり。リドは?」

「俺は、父上と被災地の視察に行って来るよ」

「王族も大変だね」



「ラフィトはどうするの?」



「……ぼくは……少し旅に出ようかと思います」

「旅に?」



「……はい。海を渡ってみたいのです。ぼくは……

大陸を旅してみたい。まだ魔族や魔物の残党に苦しんでいる地域もあると聞きますので、人々の手助けをしながら、世界を見て回りたいのです」



「ふーん……、旅か……」



「それ、おもしろそうだね! どこから行く?」



 マリアーナが、待ちきれないように言った。



「……え?」



「ねえ、リド?」

「そうだな」



「……え!?」



「じゃ、決まりね。私のお墓参りとリドの被災地回りが終わったら、すぐ出発しましょ!」



「……それは……」



「みんなで行くに決まってるでしょ!」



 マリアーナは、満面の笑みを浮かべて言った。



「私たち、トライアドなんだから!!」



 ―了―


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