第32話 神々の因縁
――やったのか? 龍神魔法の反動で……体がもう……。
ラフィトは、崩れ落ちるように倒れた。
「ラフィト!」
マリアーナが駆け寄った。
リドールも、足を引きずりながらラフィトの元へ急いだ。
「二人とも無茶し過ぎだよ! ちょっと待って。いま回復を……」
その時、地響きが鳴った。
「……よくも……人間ごときが……。不敬にも程があるわ!!」
リドールたちは驚愕した。
地面がめくれ上がり、デルムが姿を現した。
――くっ……! 仕留め切れなかったか……。
「三人まとめて消し飛べ!」
デルムの前に、禍々しい巨大な魔法陣が展開した。
急激に辺りが暗くなり、暴風が吹き荒れた。
「サタンブラスト《魔神の爆炎》!!」
魔法陣からの放たれた緑色の炎は、渦を巻き周囲を駆け巡った。
あらゆる物を蹂躙し尽くし、炎は轟音と共に、天の彼方へと消えて行った。
周辺一帯から万物の気配が消え、無の静寂に包まれた。
◇◆◇◆
「よもや人間どもに、これほど追い詰められるとはな。まだ余が完全体でないとは言え、あっぱれであった」
「……ん?」
ドルムは、微かな気配を感じ、周囲に目を凝らした。
「……な、何だと……!」
吹き飛ばされ、散り散りに倒れていた三人が、それぞれ立ち上がろうとしていた。
「……どういうことだ!? 凌げるはずは……」
その時、デルムはマリアーナの杖の魔玉が、微かに光っているのを見た。
「……そうか、精霊魔法……! やはりあの杖は……!」
デルムは、まっすぐマリアーナに歩み寄り、言った。
「小娘、一体貴様は……?」
「……」
「その杖をどこで手に入れた?」
「……お母様の形見だよ。神様が、なんでそんなことを?」
「形見……とな。小娘よ、その杖は神代、精霊神ルキアによって作られた聖杖、ラングだ。精霊樹の杖に、神の瞳と呼ばれる魔玉が埋め込まれておる。余にも破壊できん代物だ」
「……聖杖ラング……」
「因果なものよ。貴様ら人間に、龍神の末裔、闘神の剣、精霊神の聖杖、が味方するとはの」
「……どういうこと?」
◇◆◇◆
「神代、この世は創世神セトによって形成された。我ら古代五大神は、地上の支配を任され、この地へ降り立った」
「五大神、我…魔神デルム、精霊神ルキア、邪神オグマ、闘神バハメト、そして最強と言われた龍神アレス、は各々に縄張りを持ち、眷属を従え、この地上界を数千年に渡り治めた」
「しかしある時、創世神セトは、無力ではあるが勤勉な種族、人間を作った。セトは我らに、地上界を人間に譲渡するよう命じた」
「それに激怒した我と邪神オグマは、反乱を起こした。精霊神と闘神、龍神は、我らを討伐に動いた」
「戦乱は、1000年以上続き、我らは敗れた。創世神セトは、我を魔界へ、邪神オグマを冥界へと封印した」
「……それはつまり……」
「貴様ら三人の操る力の源は、遥か古代に、余の仇敵であった古代三神の力だということだ」
次回予告:第33話 龍神降臨
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